2010年10月17日

片手(五十肩)だけで北アルプス縦走してみた3

片手(五十肩)だけで北アルプス縦走してみた3


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 そして横尾到着が、朝9時30分。私は、ここで、一つの決断をしました。槍ヶ岳の殺生ヒュッテに行くのを断念。今日の目標を、北穂高小屋にしました。

 コースタイムは、どちらも9時間ですが、北穂高小屋の方が急登なので、コースタイムを縮められると判断したからです。しかし、これはとんでもない誤算であることを後で思い知らされます。北穂高小屋に行くと言うことは、涸沢を通過することになりますが、この涸沢の景色があまりにも美しすぎるため、写真撮影で立ち止まってばかりになり、なかなか前へ進めないからです。

 こう書くと「写真なんか撮らなければいいのに」と、思われるかもしれませんが、こんな景色を見させられたら、例え親が危篤でも立ち止まってしまうのではないでしょうか? 景色に見とれてしまい、少しも前進できず、グズグズしながら12時20分に涸沢小屋に到着。ここで食事とトイレにしました。

 で、やっぱり、いました。
 山ガールたちと、アミューズなどの団体さんが。 


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 しかし、私が会いたかったのは、休暇中の山小屋関係者。しかし、それらしき人はいません。彼らは、みんな涸沢ヒュッテの方に泊まるからです。だから涸沢小屋には、アミューズの人たちしか見えなかった。だからちょっと残念でしたが、私たちは、あこがれの北穂高小屋に泊まる予定なので、問題なし。

 北穂高小屋は、山屋のあこがれ。
 なぜならば、北アルプスで一番標高の高い山小屋であり、
 北穂高の山頂イコール北穂高小屋だからです。
 つまり、北穂高小屋に寝るということは、
 北穂高の山頂に寝るようなもの。
 そして、ここでみる槍ヶ岳と奥穂高は、日本で一番美しいのです。
 おまけに眼下に美しい涸沢&横尾本谷が見える。

 なのに、今まで私は泊まれなかった。というか、泊まることが不可能だった。山岳会でも、『風のたより』という旅グループでも、この北穂高小屋だけは宿泊対象から外さざるをえなかった。それは、定員が少ないからです。混雑期に二十人ものの団体さんを連れて泊まることなど絶対に無理な山小屋でした。しかし、今回は夫婦2人なので遠慮無く泊まれます。


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 涸沢小屋で昼食とトイレを終えて13時。
 私たちは、北穂高に向けて出発しました。
 涸沢から北穂高までの一般的なコースタイムは、3時間。
 16時までには北穂高小屋にチェックインできる計算になります。 


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 ちなみに13時という時間は、山小屋ではチェックインタイムになります。この時期の日没は17時頃であり、夕食は17事30分頃になりますから、15時頃までにチェックインするのが山小屋の常識ですし、遅くとも16時半頃までにチェックインしなければ、小屋の人に嫌な顔をされます。場合によってはチェックインを待たされる可能性もあります。


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 私は、荷物を背負ってなければ、一般的なコースタイムの半分くらいで登れる人間です。今回は、13s装備なので、さすがにそれは無理ですが、それでも一般的なコースタイムより、3割くらい早く登れます。しかし、それは岩場がなければの話しであって、五十肩だと、そうはいきません。

 上高地から涸沢までは、岩場はゼロでした。
 だから一般的なコースタイムより、3割くらい早く到着していました。
 ところが涸沢から北穂高のコースには岩場があった。
 その岩場を登ろうとすると五十肩によって

「痛っ!」

 何度うずくまったことだろうか?

 五十肩になると、手が肩より上にあがりません。
 五十肩になると、手に体重をかけられません。
 五十肩になると、重い物をひっぱることができません。


 もし、無理に手をつかうと
 肩に激痛がはしり
 5分くらいうずくまってしまう。
 これは岩場では、非常な危険な行為です。

 それは分かっているのですが、つい手を使ってしまう。
 そして「痛っ!」とうずくまる。


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 こんな痛い目に何度かあうことによって、
 なんとか片手だけで岩登りできるようになってきました。
 
 すると
「なんで、こんな簡単なことができないんだ」
という思いをし愕然とするのです。

 たかだか片手が使えないだけなのに、
 山の岩場では、致命的なハンデとなる。
 とっても簡単な作業が、いっさい出来ない。

 悔しい。
 とても悔しい。
 こんなことで恐怖の大キレットを通過できるのだろうか?


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 私は岩場を這いつくばって、ソロリソロリと登りながら、
 片手を使えない恐怖を何度も味わっていました。
 耳にこんな言葉が聞こえてきそうだ。

「そんなんで、よくハンデのある人を山に連れて行ったな」

 だから断念するわけにはいかなかった。
 絶対に登りきって、五十肩でも
 北穂高から槍ヶ岳までいけることを証明しないと。


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(眼下に見える涸沢ヒュッテ)

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(前穂高の勇姿)


 美しい紅葉は、涸沢の岸壁を艶やかにかざり、
 その赤い屏風図が、五十肩の私に何かささやいてきます。

『その先には、もっと美しいものが待ってるよ』

 涸沢の紅葉たちが、私を励ましてくれているような気がしました。


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 そして3時間後。
 16時に北穂高到着。
 ちょうどコースタイムどうりの時刻に北穂高登頂成功。


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(今回は35リットルのザック。超最低限の荷物しか入ってない。徹底した軽量化を行った)


 そして、北穂高小屋にチェックイン。


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 うわさどうり北穂高小屋は、小さかった。
 でも、人数が少ないために個室をもらいました。
 これは有りがたかった。
 あと、小さいために登山者どうしが、フレンドリーになりやすい。
 ユースホステルのように見知らぬ同志が仲良く語りあう。
 その光景が、また良かった。


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 そして、日没。
 素晴らしい夕焼けでした。


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 赤く染まる槍ヶ岳。
 明日、あそこに行こうと、固く決意しました。
 ただし、そのためには五十肩で、大キレットを通過しなければならない。


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(五十肩には、ちょっと怖い大キレット)


そして、17時40分。
小屋の夕飯。
うわさどうり美味しかった。

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豚のしょうが焼きが2枚も。これはありがたい。
味噌汁は甘かった。
醤油も甘かった。
きっと塩分が不足しているからだと思い、味噌汁は2杯おかわりしました。
お茶もガブガブ3杯飲み、御飯も大盛りで二杯おかわりしました。


この後、寒さに震えながら、すぐに仮眠したのですが、
2時間後に目覚めて、念のためにトイレにいってみたら、
小便がでない。
味噌汁は2杯おかわりし、お茶も御飯茶碗で3杯飲んだのに小便がでない。

「食事の水分は、全て体内に吸収されてしまったのか?」

私は、上高地から北穂高小屋までの9時間の間に、
5本のアミノバイタルウォーターと3本のアミノバイタルゼリーを飲んでいます。
3リットルの水分を補給し、
そのうえ汗も全くかいてないのに、
水分が足りなかったとは.....

意外も意外。超意外!



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 そして、もう一つ意外だったのは、食事前に寒気が襲ってきていたのに、食後に2時間の仮眠をとった後には、暑さで目が覚めてしまったということです。
(嫁さんも同様でした)

 これは、エネルギーが足りなかったか、アミノ酸が足りなくて免疫機能が落ちたかのどっちかです。これも、また今回の実験で証明されていまったわけですが、私の食事計算だと今日一日で2500カロリーをとっている。これでもカロリーが足りなかったわけです。もしくはアミノ酸が足りなくて免疫機能が落ちてる可能性もある。念のためにさらにアミノバイタルゼリーを補給し、チーカマを食べました。

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 さて、万歩計をみてみたら、その日9時間の歩行数は、3万4086歩。移動距離は、20キロメートル。消費カロリーを計算したら、6500キロカロリーでした。やはり、4000キロカロリー不足していました。

 ちなみに、小浅間山の山頂までで、私の足で3000歩。湯の丸山で、5000歩です。上高地から北穂高まてが34000歩ということは、小浅間山を11回登った勘定になります。湯の丸山なら7回ですね。とすれば短期間にダイエットするには、北アルプスくらい適したところはないかもしれません。もし、その気になれば、10日間くらい山にこもれば、アッという間に痩せることが可能になりますね。

つづく

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posted by マネージャー at 11:33| Comment(6) | TrackBack(0) | 上高地・北アルプス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
強行軍、お疲れ様です。
でも山小屋の食事って、かなり豪華なんですね。
昔のYHの食事を想像していました。
この山小屋が特別なんですか?
Posted by イトウ at 2010年10月17日 16:08
北穂高岳の小屋に泊まれてラッキーでした。
こんなところなんですね。ご飯もおいしそうです。
赤く染まる槍と大キレットにきゃーきゃー言ってます。

それにしても、ものすごいカロリーですよね。
一日で上高地から上がってくるんだもの。
心なしか、山頂の写真、スマートに見えるんですけど。。。

カロリーが足りなかったのに体は大丈夫だったのですか?
あの肩でよくぞ上がりました。
そして、翌日の大キレットが。。。どうなったんだろう。
おそろしぃ〜
Posted by ささらー at 2010年10月17日 20:32
登山での消費カロリーはすごいですね。
そう考えるとこれからのツアーは寒くなるからちょっと多めにカロリー摂取
できるようにしておいたほうがいいかもしれませんね。
Posted by マサ at 2010年10月17日 22:48
イトウさん
>でも山小屋の食事って、かなり豪華なんですね。
徐々に豪華になりつつありますが、ここは特に豪華です。
生野菜のサラダが美味しかったですね。
でも、大半の山小屋では、冷凍野菜を自然解凍しただけのところが多いです。
肉も湯煎のものだったり。

山小屋で美味しいので有名なところは、燕山荘のグループ。
涸沢ヒュッテ・北穂高小屋ですね。
そしてナンバーワンは、燕山荘かな?
ここはヘリではなく、ケーブルカーで荷揚げしているのでコストがかからないんですよね。

ちなみに、うちのスタッフのラッコが、ここで働いていました。


Posted by マネージャー at 2010年10月18日 08:04
ささらーさん

>それにしても、ものすごいカロリーですよね。

本当に凄いカロリーです。計算だと北穂高小屋でなく、涸沢ヒュッテで泊まったとしても5000カロリーです。『風のたより』レベルのツアーでも、充分消費カロリーが大きいですね。

>カロリーが足りなかったのに体は大丈夫だったのですか?

私の推測によると、カロリーが足りなくても初日は、大丈夫だと思います。逆にダイエットができて、よいくらいかもしれません。しかし、2日目からは、危険になるでしょうね。

それよりもアミノ酸の不足の方が深刻だったかもしれませんね。

浴びるほどアミノ酸を飲んで登ってきたにもかかわらず、寒気を感じたのですから、あきらかに免疫系が低下していたと思われます。免疫の正体はアミノ酸ですからね。アミノ酸が不足してくると生体にとって重要度の低い順に切り離されていくから、免疫などは真っ先に切り捨てられますから、もし免疫が弱ってきたらアミノ酸の欠乏を考えてよいでしょう。また、活性酸素に対抗して老化を防ぐ役目を負ったアミノ酸も多いですが、これも生体の維持に関しては優先度が低いので、かなり速い段階で切り捨られる可能性があります。自覚症状がないうちにこういうところがダメージを受けている可能性は大いにあるでしょう。

若い頃の登山なら気にしなくてよくても、五十歳ちかい今となっては、アミノ酸の不足の無い登山が重要になってきます。
Posted by マネージャー at 2010年10月18日 08:20
マサさん

>登山での消費カロリーはすごいですね。

本当に凄いです。でもまあ、日帰り登山なら、カロリー不足を心配するよりアミノ酸不足を心配した方が良いと思います。今回の実験で分かったことですが、日帰り登山には、アミノバイタルプロを2個と、マルチビタミンが必要だと思いました。マルチビタミンをすすめる理由は、ビタミンの配合比が重要になってくるからです。
「きちんと朝食をとれば良いではないか」
という意見もありますが、間違いですね。朝食の栄養(アミノ酸とビタミン)が吸収されるのは、4時間後。つまり登山が終わっている可能性がある。


Posted by マネージャー at 2010年10月18日 08:28
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