それにしても時代劇という奴は、どうして昔の番組の方が面白いのでしょうかね? 昔は
『子連れ狼』
『木枯し紋次郎』
『三匹の侍』
『唖侍、鬼一法眼』
と言った時代劇の傑作が次々と生れていました。紙面の関係で、すべてを紹介できないのが残念ですが、以上の四作品は、日本テレビ時代劇の最高傑作です。

特に『唖侍、鬼一法眼』は絶品で、唖(おし)つまり会話のできないサムライが、旅をしつつ事件に巻き込まれていくという作品でした。
何がすごいかって、
主人公が言葉を話せないことくらい、
すごい時代劇はありません。
主人公にセリフのないテレビドラマなんて聞いたことがありません。
かって『名もなく貧しく美しく』や『星の金貨』といった聾唖者のドラマがありましたが、あれには手話という立派なセリフがありましたし、字幕スーパーも流れました。けれど『鬼一法眼』は手話はできないから手話による会話ができないし、字幕スーパーも流れません。
そのうえ、お涙ちょうだいという視点がなく、『星の金貨』のように同情をさそって視聴率をかせごうという所がまるでないのです。悪人を懲らしめる身体障害者。同情をさそわない身体障害者の物語が『鬼一法眼』という時代劇のコンセプトであり、それに関しては『座頭一』なんかよりも徹底していました。
昔、ビートたけしが聾唖者を主人公にした映画を撮って失敗したことがありましたが、言葉を話せない人を主人公にすることは、目の見えない人を主人公にするより、よほど難しいものです。座頭一を作るより、鬼一法眼を作る方がよほど難しいんですね。

そういえば『鬼一法眼』の主演は、若山富三郎でした。
若山富三郎の弟が勝新太郎。
そして勝新太郎といえば『座頭一』です。
考えてみれば、若山富三郎と勝新太郎は、兄弟でやたらと強い障害者の役をやっていたのですね。不思議といえば不思議な兄弟です。
ところで、残念なことに『鬼一法眼』は、放送禁止用語が大量にでてくる作品なので、今では絶対に放送できない作品となっています。まさに幻の作品で、ウルトラセブンの13話と同様、二度と見ることができないのです。ああ、もう一度『鬼一法眼』を見たい!
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