しかし、これが、いつもの年の秋の気候である。
今年の秋が暖かすぎたのだ。
ところで三十年来の古い友人が尋ねてきた。
出張で北軽井沢に来たついでに、うちに泊まってくれた。
そして世を徹して語り合ったのだが、
少し驚いたことがあった。
自分では、その友人のことをよく知っているつもりでいたのだが、実は、それほどよく知ってなかったことに気がついた。彼の挫折や、失恋や、趣味や、仕事や、会社のことなど、何でも知っているつもりでいたが、じつはそうではなかったことに気がついた。
古い友人は、もうすぐ六十歳近くになるが、彼が若い頃は、自分の幼少の頃の事を決して話さなかったのだ。その時その時の時代のことしか話さなかった。もちろん詳しく話してくれたが、あくまでも、その時代の「今」を語ったわけで、過去は決して語ってなかった。
しかし、今回は違っていた。お互い、歳をとりすぎたためか、初めて過去を語った。幼少の頃に飼っていた犬(樺太犬)のこととか、彼の父親のこととか、南極探検のこととか、捕鯨船のこととかを語った。なので驚いた。と同時に、やっと合点がいったこともたくさんあった。
人間というものは、はかりしれない。あの人のことは何でも知っていると思ったら実は何も知らなかった。彼の青春時代の何年間、一緒にすごし、たいていのことを知っていたと思ったら、案外なにも知らなかったことを思い知らされた。と同時に、ああ、なるほど、そうだったのか?という長年の疑問も解けた。
しかし、それはお互い歳をとって、精神にゆとりをもてたから、気軽に過去を語れるようになったのかもしれない。
そういう意味で、青春時代というものは氷山に似ている。大部分が隠れて見えてないが、見えている部分は、きりたった氷の断崖である。鋭く冷たい鋭利の刃物のような形をしている。しかし、本当は大半が海という過去に沈んでいて、巨大に見えている氷山の断崖は、小さな小さな一部分かもしれないのだ。
しかし、歳をとると、氷山は、どんどん溶けてしまい、小さくなっていく。そして溶けゆくごとに、過去を思い出して底が浅くなっていく。
つづく。
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お互いにある程度、苦楽を経てきた同士がしんみりと話せますね。
となると、早くて30代後半ぐらいの人からかなあ。
記憶の法則によって、辛い記憶が消えて
楽しい記憶だけになってしまうのか?
記憶が改ざんされてしまうのか?
とにかく、淡々と話せるようにはなりますね。