2014年12月23日

言霊

 今日は、天皇誕生日である。息子とささやかなお祝いをした。なぜならば、息子の名前は大昔の皇室、ヤマトタケルから取っているからである。ヤマトタケルは、浦賀水道で妻をなくしました。そのために、関東から去る時に、吾妻やと、 3回叫んで別れを惜しんだと言います。その謂れから、この地方を吾妻郡と言われています。そして妻に恋する村と書いて、嬬恋村という村が生まれました。うちの息子は、その伝説から名前をいただいております。決して、どこかの俳優の名前からもらったわけではありません。

 そんな事はどうでもいいとして、そもそもタケルという名前は、日本最古の名前です。最古でありながら、古くもなく新しくもなくいく世代にわたって滅びなかった名前でもあります。音読みではなく訓読みの名前です。もちろん訓読みですから、ヤマト言葉です。実は、戦後にやまと言葉だけで、作詞された歌謡曲が大量生産されました。 1つはフォークソングです。もう一つは演歌です。両者はまったく似て非なるものですが、歌詞のほとんどが大和言葉という共通点があります。だから、非常に日本人の心にしみいる曲が大量生産されました。

 では戦前はどうだったのかというと、意外に大和言葉は使われてないのですね。唱歌にしても軍歌にしても校歌にしても音読みの漢語を使っているのですね。戦後に横文字を使って歌謡曲を大量失生産したケースと非常によく似ている。で、そういう曲を今振り返ってみると、今ひとつ親しみがもてない。その時代ならいいのだろうけれど、時代が過ぎ去ってしまうと、ちょっと堅苦しかったり、感情移入がしにくくなったりしています。

 そんな中で、今でも日本人の心にしみる曲というものがあります。童謡です。不思議なことに童謡は、大和言葉だけで書かれており、しかも大正時代に作られたものが今でもほとんど歌われています。有名な童謡の大半が、大正時代から昭和初期にかけて作られたものばかりであることに驚かされます。

 そこで思い出すのが、小学校の時の音楽の授業です。小学校6年生の時に滝廉太郎について学びました。そして代表作の箱根八里、花、荒城の月の3曲をレコードで聞かされ、どれが1番好きなのかアンケートを取らされたのです。その時、私は箱根8里を選びました。しかし、それは少数派で、当時の小学校6年生の大半は、花を選んでいます。

 実は、箱根8里も、荒城の月も、唱歌なんですね。にもかかわらず、これを選ぶ子供たちはいなかったわけです。それに対して、花は、組歌『四季』の1部なんです。普通なら子供たちは、唱歌を選びそうなものですが、そうではなくて組歌『四季』 の花を選んだわけです。で、花の歌詞を改めて調べてみたら、やはりやまと言葉ばかりでした。逆に箱根八里も、荒城の月も漢語ばかりなんです。しかし、花の方は、大和言葉ばかり。ちょっと歌詞を紹介してみましょう。

 春のうららの 隅田川
 のぼりくだりの 船人が
 櫂のしづくも 花と散る
 ながめを何に たとふべき

 散りゆく桜の花びらと、逆光に光れ水しぶきの雫を重ねていますね。起承転結のお手本のような歌詞です。頼山陽も真っ青の起承転結です。ちなみに頼山陽は、起承転結の極意を、このような文章にして、説明したそうです。

大阪本町 糸屋の娘
姉は十六 妹が十四
諸国大名は 弓矢で殺す
糸屋の娘は 目で殺す

 このような起承転結を使った技法は、もともとは漢詩の技法です。漢詩の技法でありながら、文章そのものがやまと言葉で書かれてある限り、日本人の心を深く捉えて離しませんから不思議です。逆に漢詩の技法を使ってなくて、序急破の技法を使ったとしても、ヤマト言葉が少なかったりすると、何やら難しく聞こえてきますから不思議です。難しくかっこよく聞こえるかもしれないけれど、言霊は感じないわけです。

 そう考えてみると、いくら外国産のレトリックを使っても言霊には影響しないということになります。単語さえ、ヤマト言葉で語られていれば、どのようなレトリックやどのような文法でも問題は無い。ということになりますね。そう考えると、なぜ日本人が、あれほど簡単に中国文明を取り入れることができたのか?  なぜあれほど簡単に西洋文明を取り入れることができるようになったのか?  それに対する答えも見えてくるのかもしれませんね。

つづく。

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posted by マネージャー at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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