2017年09月12日

汚れ無き悪戯 その3・文字を使ったイタズラ

 夏休み中、息子は、いつも保育園で私を待っていました。私は、決まって13時に息子を迎えに行ってたのですが、時々 、遅れることがあります。そんな時、息子は玄関先で椅子に座って絵本を読みながら私を待っていました。息子は私の姿を見つけると、とたんに笑顔となって絵本を教室に戻して駆け寄ってきます。

 息子は、保育園に通っています。
 といっても、子供園という施設です。

 子供園というのは、基本的に幼稚園なんですが、幼稚園が終わると、延長保育という形で保育園になります。もちろん延長保育を受けるには、保育園児と言う形で入園します。幼稚園に入園した子供たちは、延長保育を受けることありません。うちの息子は、幼稚園には入っていません。保育園児として、子供園に入園しています。けれど、幼稚園児と一緒に幼稚園教育を受けるわけです。ただし、幼稚園は午前中で終わってしまうので、幼稚園児は給食を食べたらすぐ帰ってしまいます。そして残された保育園児が、延長保育を受けるわけです。これが子供園のシステムです。

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 ところで、幼稚園には、長期間の夏休みがあります。保育園には基本的にそういうものはありません。夏の間、幼稚園が夏休みに入ると、子供園は、朝から晩まで保育園になってしまいます。もちろん息子も保育園に預けます。保育園ですから送迎バスはありません。幼稚園にはスクールバスがあるのですが、保育園にはスクールバスありません。親が連れていくしかないのです。当然のことながら、その役目は父親である私の仕事となります。私が買い出しに出かけるからです。

 夏休みは、 1年で1番お客さんが来る時期で、死ぬほど忙しいので、買い出しのついでに息子を子供園に預けます。そして大急ぎで、宿に戻って掃除洗濯をし、庭や家のメンテナンスをし、ベットメイクを終わらせ、大量のゴミを捨て、昼飯を食らって、ペットの犬を散歩させて、 13時頃に息子が待っている保育園に向かうわけです。毎日忙しさで死にそうなくらいです。本当ならば、 16時頃まで息子を預けておきたいのですが、そういうわけにはいきません。お客さんが、チェックインしてくるからです。電車バスでやってくるお客さんの送迎もあります。 13時までに息子を家に連れ帰って、風呂に入れなければいけません。

 宿屋の人間は、たいてい14時前に風呂に入ります。 15時からは食事の準備があるので、体を清潔にしておかないとならないからです。なので、13時に息子を連れて帰り、一緒に風呂に入るのですが、これがまた一苦労なんですね。小さな子供が、 13時におとなしく風呂に入ってくれるわけがないからです。もちろん風呂から上がったら昼寝をさせるわけですが、これもまたおとなしく昼寝をしてくれるとは限りません。

 そこで役立つのが、絵本とビデオです。私は息子に2歳になる前に、文字を覚えさせたので、息子は暇があれば自分で絵本を読むようになりました。嬉しいことに、子供園のほうでも絵本の貸し出しをしてくれます。息子は毎日、いろんな絵本を借りて持ってきます。そして、私に読んでくれとせがんできます。 2歳で文字を覚え、もう4歳5ヶ月になっているので、かなりすらすらと自分だけで絵本を読めるようになっています。それでも、親に読んでくれと言ってきます。

 まず母親に読ませて、次に父親の私に読ませます。 2人とも読み方が違うので、 2つの読み方を楽しんでいるようです。そして、そろそろ寝てくれないかなーとこちらが思っていると、
「今度はタケちゃんが読むね」
と、お気に入りの絵本を持ってきて、私に読んで聞かせます。私は、日頃の睡眠不足のせいか、息子が絵本を読んでくれると、ウトウトと寝込んでしまいます。気がついたら御客様のチェックイン開始時間の15時頃ということがままありました。

 で、息子のほうは昼寝してくれたかというと、これがまた寝てないんですよ。 1人で他の絵本を読んでたりする。仕方がないので、録画したビデオを見せて、こちらは夕食の準備をします。そうしないと、仕事の邪魔をしにくるんです。

「タケちゃんも料理を作りたい!」
「タケちゃんもゴミ袋のセットする!」
「タケちゃんも皿洗いする!」
「タケちゃんも皿を運ぶ!」

 幼児を育てているお母さんなら分かるかと思いますが、こうなってしまうと、もう仕事どころではありませんから、このような状態にならないように、息子が好きそうなEテレの幼児番組を大量に録画しておいてみせるわけです。

 ここで不思議なことがおきます。大量の幼児番組を録画してあるので、ストックはいくらでもあります。 1回見た番組はもう見ないだろうと思って、別の日付の番組を見せようとするんですが、そうすると息子は怒り出します。気に入った番組を何度も何度も見たがるのです。それこそ何十回と同じ番組を見ようとします。そして同じところでケラケラと笑っているんです。

「この番組、前に見たよね、別の日付のものを見ようか」

といっても、受け付けません。同じ番組だけを何度も何度も見ようとします。

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 これは絵本においても同じで、気に絵本を何度も何度も繰り返し声を出して読みます。もちろん借りてきた新しい本も読むんですが、どちらかというと親に読んでもらうことのほうが多く、自分が自主的に読む本は、やはりお気に入りの本に限られてきます。お気に入りの本だと親にも読んで聞かせます。何度も聞かされる私は、悪いと思いつつも、寝てしまう。

 これじゃ、どっちが親か分からない展開です。

 話は変わりますが、息子が通ってる子供園では、積極的に絵本の貸し出しをしてくれます。なので息子は毎日、いろんな絵本を持って帰ります。最初は庭先の木陰でお母さんに読んでもらい、次に、風呂上がりに、または寝る前に、布団の上で父親の私に読んでもらいます。

 そこで気がついたんですが、息子が借りてくる絵本に1つの傾向がありました。毎回同じ作者なんです。いつも作者が一緒なんです。もちろん、その作者の絵本を一通り読破すると、別の作者の絵本に移ります。どうやら息子は、絵本の作風を理解している様なんですね。一時期は、アニメ「はなかっぱ」の作者である「あきやまただし」の絵本ばかり借りていました。

 こう書くと、息子は「あきやまただし」のファンになっていたみたいに聞こえますが、本人にそういう意図があったとは思えません。たくさんの絵本を読んでいるうちに、知らず知らずのうちに自分の好みが出来上がったんだと思われます。もちろん、息子は「あきやまただし」なんて人に興味を持ってないし、名前も知らないと思います。しかし一時期に、その作者の本ばかり借りていたことは確かなんです。もっとも、現在は別の絵本作家の本ばかり借りています。ブームは一過性だったようです。

 これも子供園に大量の絵本の蔵書があったからで、それを毎日1冊ずつ借りられるから、 3歳から4歳の間に濃密な読書力が備わったのではないかと思われます。それと、子供園にある大量の蔵書は、もう一つ別の効果を息子にもたらしています。絵本のなかには、読んでもらいたい絵本と、自分の声に出して読みたい本の2種類あるということです。これは大量の絵本が身近にないと、幼児には気づけないのです。

 読んでもらいたい絵本というのは、ストーリーのある絵本です。そういう絵本は、借りてきてすぐに、
「お父さん読んで」
と言ってきます。それに対して、自分で読みたい絵本には、ほぼストーリーがありません。擬音がほとんどだったり、童謡の歌詞だったり、単純な単語の羅列だったりします。例えば「お弁当箱の歌」の歌詞をそのまま絵本にしたような本は、大のお気に入りで、 1日に5回も6回も読みます。というか、私に読んで聞かせてくれます。よくもまあ飽きないものだなぁと感心しますが、これも子供園に大量の蔵書があったために、読んでもらう絵本と、自分が読む絵本を使い分けるようになったんだと思います。

 この息子の読書好きは、2歳になる前に、ひらがなカタカナを覚えさせたことと無関係ではないでしょう。また、 3歳以降に漢字を覚えさせたこととも無関係ないと思われます。

 私はよく息子とスーパーに買い出しに行きますが、その時に文字を読むと得するということを学習しています。例えば御菓子売り場に行くと、息子は片っ端からラベルを読み始めます。そして大好きな煎餅という文字を見つけると、
「お父さん煎餅があるよ」
と、私に煎餅をおねだりしてくるわけですが、私は苦笑しながら買ってあげます。すると、それに味をしめて、息子はいろんな商品のラベルを次々と読み始め、自分の好物が入っていたら盛んにおねだりします。私もついつい、買ってあげるものですから、息子にとって文字を読むという行為は、「得をする」とイコールなんです。こうなると絵本に限らず、様々な文字を読もうとします。

 また、自動車で移動している時に、牛丼の吉野家の看板・カツ丼のカツ屋の看板を見つけたりすると
「お父さん、吉野家があるよ 。あそこでご飯を食べようか」
「カツ丼のカツ屋があるよ」
「スシローだ、お寿司屋さんがあるよ、お寿司を食べよう」
なんて言ってきます。

 これがもし、オフシーズンだったら、喜んで、吉野家・カツ屋・スシロー・サイゼリアなんかに入って、親子で食事をするんですが、夏休みの忙しい時は、とてもそんな暇ありません。大急ぎで買い物をして、車の中でサンドイッチをほおばりながら、宿に向かわなければなりません。なぜならば、夏の軽井沢は、ものすごく渋滞するからです。のんびり買い物をしている暇なんかありませんし、外食なんてもってのほかです。気がついたら食事をしてないことなんかザラで、うちの息子も夜の9時ぐらいまで夕食が食べられないことが何度もあります。

 どんなに息子がねだったとしても
 外食なんてできるわけがないのです!
 マックのドライブスルーにも行けないし、
 吉野家に入る時間も無い!


 うちの宿の食事は、品数が多いので、作るのも大変ならば、皿を洗うのも大変で、 3台の食洗機をフル稼働しても夜の9時ぐらいまでかかってしまいます。息子の食事を作るどころではありません。それは息子も分かっているようで、駄々をこねることもなく、じっと腹を空かして我慢をしているのですが、それも少しずつ不満になってきたんでしょう。絵本では無く、大人のよむ雑誌を読み始めるようになってきました。そしてJAFの機関紙である「JAFメイト」という雑誌なんかを読んでいる。

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 ある日の夕方のことです。
「お父さんハサミをください」
と言ってきました。なんだろうと思ってハサミを渡すと、息子は何かを盛んに切り取っていました。それもきれいに切り取っていました。そして切り取った紙の破片を私に渡してきたのです。

「こ、これは・・・・」

 渡された紙の破片は、毎月送られてくるJAFの機関紙である「JAFメイト」という雑誌に付録で付いている提携割引施設の割引券でした。それも、吉野家・カツ屋・・・・。

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 無言の圧力に私の心は、折れそうになりました。
 それにしても綺麗に切ったものだ。
 漢字が読めると、こういう技を使ってくるんだなあ・・・・。
 いや、参った。
 しかし、古い雑誌から切り取ったので、期限が切れているんだよなあ。


つづく。

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posted by マネージャー at 22:37| Comment(0) | グンマーで嫁が出産と育児 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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