2020年10月11日

カメムシとの二十年戦争 前編

 北軽井沢に宿をオープンしてから二十年になります。 二十年という長い間住むことによって、ようやく自然との共生について理解できるようになった気がします。標高千百メートルの北軽井沢に来て住んでみて、最初に感じた事は自然の厳しさです。

 冬の厳しさ、除雪の苦労、水道管の凍結、野生動物・野鳥・虫たちとの戦い。

 青ゲラと言うキツツキが屋根を穴だらけにする。ボロボロにしてくれる。水道管が凍結して破裂してすごいことになってしまう。イノシシが庭にやってきて、花壇を掘り起こしてしまう。ネズミがチューリップや百合の球根を片っ端から食べてしまう。カモシカ・クマ・タヌキ・キツネが、庭を荒らしうんちをしまくる。モグラが地面を掘り起こす。ネズミが侵入する。夕方になるとヤブ蚊が出てきて、無慈悲な攻撃をしてくる。アリたちが情け容赦なく侵入してくる。

 もちろん、いろんな対策で撃退します。各種の機械の取り付け、超音波や特殊な振動でネズミや虫を屋根裏・縁の下から追い払ったり、庭中にパラフィンを埋め込んでモグラを撃退したり、犬を飼って野生動物が近付かないようにしたり、建物の基礎部分にチョークの線を引いてアリの侵入を防いだり、ヤブ蚊を撃退するために薬剤をまいたり、蚊をブロックするハーブや蚊よけ草を植えてみたりです。

 しかしカメムシだけは手強かった。カメムシの奴は、秋になると大発生する。宿の壁に何千匹から何万匹と徘徊する。そして家の中に侵入してくるのです。これを何とかしなければならない。でないとお客様からクレームがくる。というわけで最初は、大量の殺虫剤を買ってきて、毎日のように壁・窓に振りまいていましたが、全く効き目なし。相変わらず何千何万という大群が現れます。

「そうだ壁の色を変えればいいんだ!」

 昆虫は白い色に反応します。白い色が大好きです。だから自然の中にある花はたいてい白です。虫をおびき寄せて受粉させるためです。オープン当初の北軽井沢ブルーベリーは、白に近い水色でした。白っぽかった。あらゆる昆虫を呼び寄せる色だったんです。そこで、濃い群青色のペンキに塗り替えてみました。


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 これで何万何千という虫が、何千何百という数に減りましたが、 十分の一に減ったのはいいとしても、それでも数が多すぎる。困っていると、カメムシ駆除の業者さんの営業さんがやってきました。駆除業者の営業さんは自信たっぷりに
「カメムシの侵入を防げます」
と言います。
「いやいや無理でしょ」
「それができるんです」

 業者さん曰く、カメムシは、サッシの隙間から入ってくる。紙がギリギリ一枚入るような隙間でも体をぺちゃんこにして侵入してくる。なのでサッシのところに薬剤をくまなく塗ってしまえば、お腹から薬剤が浸透して死んでしまうらしい。特にカメムシのお腹の部分は、薄いので殺虫剤が浸透しやすいらしい。
「なるほど」
と思った私は、業者さんには頼まず、自分で試してみました。全てのサッシに対して薬剤を塗ってみたら、なるほど、これは効果がある。カメムシたちが次々と死んでいく。これで部屋の中を飛び回るカメムシは無くなったけれど、毎日大量のカメムシの死骸を掃除することになる。あまり気持ちの良いものではありません。

 それでも五年・十年とたつうちに、何千何万と言うカメムシが死んでいき、宿の中で越冬するカメムシが激減していきます。そのせいか家の中に侵入する数もめっきり減ってきました。
 しかし、それでも侵入してくるカメムシの数は多い。お客さんにしてみたら、カメムシが一匹でも部屋の中を飛び回っていたら嫌な気分になる。これを限りなくゼロにするには、侵入してきた虫を殺すよりも、侵入させない事が大切ではないか?と気づき窓を二重窓にしました。そして内窓と外窓の間に、各種の虫除け剤を入れて実験しました。

 カメムシいやよは、どうだろうか?
 ハーブ系統のものは、どうだろうか?

とか、いろいろ試行錯誤していくうちに、木酢や竹酢が効果があることに気がつきました。特に竹酢がいい。発生する直前に外壁やサッシにまいておけば、カメムシの徘徊が激減する。年度によっては、ほとんど出ないこともある。昆虫というものは、焦げた匂いを嫌う。だから木酢や竹酢の匂いがあると建物に寄ってこない。


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 私は、若い頃に知床半島を一ヶ月にわたって調査したことがあるのですが、知床の原生林では大量の虫たちが襲ってくる。しかし焚き火をすると虫を撃退できる。虫は焦げた匂いや煙を嫌がる。だから木酢や竹酢が有効なのです。

 逆に言うと、宿の周りで焚き火をしていぶしてしまえば、カメムシはいなくなる?と思い、落葉を片っ端から燃やしてみたら、カメムシが寄って来ない。こうして、殺虫剤を使わずにカメムシを撃退できるようになりました。宿のオープンから十年ぐらいたった頃です。私は満足し、その後、五年ぐらいは、木酢竹酢と落葉焚き火で、カメムシを追い払っていました。子供が生まれる前までは・・・・。





つづく。

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posted by マネージャー at 08:51| Comment(0) | 業界裏話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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