ニホンカモシカの謎2
ニホンカモシカは、鹿ではありません。
ニホンカモシカは、牛の仲間です。
鹿ではなくて、牛なんです。
ヤギなんかも牛の仲間ですが、ヤギ・牛・カモシカは、種としては、親戚同士なんですね。そして、ニホンカモシカは本家にあたりまして、まあ牛科動物の御先祖様にあたります。つまり、一番古い牛科動物なんですね。
最初にカモシカが登場し、ヤギなんかがあらわれ、最後に牛たちに進化し、カモシカたちはしだいに姿を消していったわけです。それだけにカモシカには、古代から変化しない原始的な形質をそのままにしているという特徴があります。
例えば、反芻(はんすう)について。反芻(はんすう)とは、4つの胃袋を使って、エサを徹底的に分解消化する機能のことですが、牛やニホンカモシカたちは、第一胃袋にエサを入れ、それを口に戻して、もう一度かみ直し、また第一胃袋に戻すといったことをするわけです。
こうやってエサを消化するわけですが、カモシカたちは一番古い牛科動物であめるために、牛やヤギに較べて4つの胃袋が小さいんです。
だから、牛たちに較べると、どうしても不利なんです。そして、その小さい胃袋は、ちょっとしたストレスで、すぐに機能が停止してしまう。現代人みたいに神経質でストレスに弱いんですね。
だから北軽井沢付近の国立公園で、ニホンカモシカがよく出てくるところは、ペットの犬を制限しています。例えば、池ノ平湿原では、犬をつれて入ることを禁止されていますが、これはカモシカにストレスを与えないためです。
カモシカにストレス?
そんな過保護な・・・・。
と思われるかもしれませんが、決して過保護ではありません。本当にストレスに弱いんです。ちょっとしたことで、すぐに下痢してしまう。そのために、長い間、カモシカの飼育は不可能だと、日本全国の動物園で言われてきたんです(カモシカの謎1を参照してください)。
話は変わりますが、今日は、カモシカウオッチングのコツを伝授したいと思います。
カモシカは、1日2回ほど反芻(はんすう)活動します。まず、朝起きると、第一胃袋がいっぱいになるまでエサを食べます。そして第一胃袋がいっぱいになると、どこかに隠れて胃袋からエサを口に戻してモグモグと反芻(はんすう)しますが、こうなるとカモシカを見つけにくいんです。ですから、エサを食べにでかけている早朝か、もしくは、2回目のお食事タイムのお昼過ぎにカモシカに出会える可能性が高いですね。
逆に、お昼頃(10時〜12時)に、見晴らしの良いところで、じっとしているカモシカを発見したら、反芻(はんすう)していると考えて良いですね。胃袋に入っているエサを口に戻してモグモグやっているんです。そのために休んでいるように見えるんです。
となれば、次の日も、その次の日も、その場所で反芻している可能性が高いので、翌日は、高倍率の双眼鏡を準備して、風向きを考慮して、遠くからウオッチングしてもいいかもしれません。私は、8〜24倍の双眼鏡を使っています。
あと、カモシカは、縄張り性動物ですから、一度、発見した場所であるなら、もう一度、同じところで発見できる可能性が高いんです。ですから、カモシカのマーキングを見つけたらチャンスですね。カメラの準備をしておきましょう。
それからカモシカのマーキングですが、浅間山麓・志賀高原・嬬恋村・北軽井沢なら簡単にみつかります。足のモモくらいの太さの木で、1周ぐるりと樹皮がはがれ、細かいギザギザのような跡がついていたら、もうカモシカの生活範囲です。
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