−東映まんが祭りVS東宝チャンピオン祭り−
子供の頃の楽しみといったら、春休み・夏休み・冬休みに上映される『東映まんが祭り』と『東宝チャンピオン祭り』です。しかし、両方とも見れる裕福な子供などいません。 そうなるとゴジラファンの私は、ゴジラ映画が上映される『東宝チャンピオン祭り』に行きたいと親にねだるのですが、親は絶対に許してくれません。仕方なく『東映まんが祭り』の方を見るはめになります。
『東映まんが祭り』では、「家なき子」とか「長靴を履いた猫」といった文部省推薦のアニメをやっていましたから、街を破壊するゴジラ映画より、親としては、名作アニメを公開する東映まんが祭りの方を見せたかったのでしょうね。
ちなみに、どうして『東宝チャンピオン祭り』なのかと言いますと、男子アニメのチャンピオンである「巨人の星」と女子アニメのチャンピオンである「アタックナンバーワン」と怪獣映画のチャンピオンであるゴジラを一挙に上映するからチャンピオン祭りなんだそうです。しかし、巨人の星・アタックナンバーワン・ゴジラを同列に並べるという発想がすごいですね。
そうなると『東映まんが祭り』の方は、対抗して「デビルマン対マジンガーZ」といった作品を発表しました。それを聞いた子供たちは喜んだのなんの。学校では
「デビルマンとマジンガーZ、どちらが勝つのだろう?」
という噂でもちきりになり、予想屋が現われたり、賭けの対象になったりしました。
けれど、公開されたアニメを見てみると、デビルマンとマジンガーZは、戦わず、2人で協力して悪をやつけるというものでした。終ったあとの劇場では、
「金返せ!」
の罵声がとびかいました。中には、
「俺は、金を払ってないけれど、金返せ!」
と怒鳴る奴もいました。トイレや裏口から泥棒のように忍び込んできて無料で映画をみている奴らの声です。
ちなみに東宝チャンピオン祭りでも、東映まんが祭りでも、オープニングソングや、エンデングソングが流れると、映画館にいる子供たちは一斉に歌いだしたものです。思えば昔の子供たちは、恐ろしいことをしていました。これにくらべれば、現代のチビッコたちの方が、数段行儀がよいです。
「最近の若い者は・・・・」
という愚痴を聞きますけれど、映画館のマナーに関しては、最近のチビッコたちの方が行儀がいいです。私が子供の頃は、映画館の中で、歌は歌うは、鬼ごっこはするは、かくれんぼはするは・・・・で、よく知らないおじさんに尻を叩かれたものです。