シルマンデーに間に合わない。何のために御客様を減らしてまで夏の忙しい合間に努力してきたのか? と一瞬落ち込んだ私ですが、シルマンデーが無理なら、日本ユースホステル協会の55周年記念を発売日にしようと思い直し、どうせなら千部くらい印刷し、300〜500冊くらいを全国の書店に配本できないものかと考えました。
とはいうももの、いくら金を積んでも300冊も配本してくれるものではありません。取り次ぎ業者が、本の内容を審査して、オーケーがでないかぎり無理なのだそうです。だから大金を支払って500冊を御願いしても、100冊しか配本されなかったということもよくあるそうです。
また、100冊配本されたとしても、店頭に100冊並ぶかどうかは、微妙なところです。
ダンボール箱から取り出されないまま返品されることも多いのだそうで、これは、本の委託販売制度と関係あります。
本の問屋さんは、売れる本と売れない本をセットで委託配本するわけですが、小売りである書店は、売れない本を箱から出さないまま返品してしまうのだそうです。
そう考えると、仮に『リヒャルト・シルマン伝』を全国の書店に配本してみたところで、あまり意味は無いのかなと思い、最初の計画では、配本予定は無かったのです。
しかし、委託配本は、初版の第1回きりです。これを逃すと二度と配本のチャンスが無いのです。
それを考えると、せっかく、リヒャルト・シルマンの名前を全国に知らしめるチャンスがあるにも関わらず、それを使わないというのは、みすみす広報のチャンスを失うようなものだと思いなおしました。
はたして、この配本が、どれだけユースホステルと、リヒャルト・シルマンの知名度をあげるかわかりませんが、これで少しでも、ユースホステルについて社会へのアピールになればと思いました。
ここで本音を言ってしまえば、書店で買われるより、事務局から直接買ってもらった方が、少しでも私たちの資金の回収につながります。しかし、それでは、シルマンを広報する意味が無いんですよね。やはり、本は書店に並んでほしいし、普通の人に買ってもらって読んで欲しいのです。たとえ、どんなに赤字になったとしてもです。
ちなみに日本ユースホステル運動55周年記念のイベントは、10月16日です。本は、15日までに全国の書店に配本され、早ければ15日、遅くとも16日に並ぶ手はずになっていますが、本当に並ぶかどうかは、そもそも著者が無名であり、リヒャルト・シルマンという人間も、日本では全く無名なので、全く期待できません。
それで、もし『リヒャルト・シルマン伝』に興味がある人がおられましたら、どうか書店の人に聞いてみてください。リヒャルト・シルマン伝があるかどうか質問してみてください。質問するだけなら、お金はかかりません。
もし、配本されていれば、箱から取り出して見せてくれるはずです。そして、パラパラっと立ち読みをして、興味がわきましたら買っていただけると嬉しいです。
最初から買うつもりのある方は、書店に注文してもよし、web書店で検索されて買うもよし、事務局への購入予約フォーマットから注文してもよし。どういった買い方でもよいと思います。
発売前に、手に入れたい方は、事務局に注文した方が、何日か早く手に入ると思います。事務局に本が届くのは、10月10日頃だと思いますので、その数日後には届くと思います。
最後に感想です。
本を書き、自分で出版してみて、世の中に、こんな大変なことはないと思いました。
私は、本を出している人をとても無条件に尊敬します。費用と手間を考えたら本を出すことは、絶対にわりにあいません。
特に学術書を出している人、
小松政夫じゃないが、
あんたは、偉い!
たとえ大学教授であろうと、
仕事でだしている人であっても、
趣味ででしている人でも、常人のなせる技ではないと思いました。
かくいう私も、シルマン伝を出すまでに百冊以上の参考文献を手に入れ、国会図書館でコピー(1ページ30円)しまくりましたが、資料代だけで50万はかかっています。肝心なドイツ語の資料は皆無なのにです。あったところで私にはドイツ語は読めないので、意味は無いのですが、本格的なシルマン伝を書こうと思ったら、ドイツ語を勉強した上に、あと100万円の資料代がかかったはずです。
これを学術書の印税で回収することは、絶対に不可能なはずですから、手間と労力を考えたら、どんな有名教授のネームバリューを使っても大赤字になったはずです。
ちなみに印税は、1割が相場で、良く売れている本でさえ、三千部をこえることはありません。計算すれば分かると思いますが、本を出すということは、金をドブに捨てる行為に等しいものです。それを自分で行ってみて今更ながら本を書き上げ、そして出版することの難しさを感じました。