霊の見える話 その5
ハイカー(登山家)の友人に、不思議な能力をもった人が居ました。
その人は、遭難しかかると、不思議と行くべき道がみえるという
不思議な能力をもっていたのです。
だから、彼は神懸かり的な冒険を何度も行い、
全て成功させていました。
どんなピンチに陥っても、
「道が見えてくる」
という特技を使うため
全て助かるのですから
当然と言えば、当然でした。
ですから、少々の無謀も行っていました。
そして、先日、その「道が見えてくる」不思議な能力をもった
友人から連絡があり、久々に東京で会ったのですが、
その友人は真っ青になっていました。
「おれの能力を知っているよな」
「ああ、道が見えるんだろ」
「あれ、消えてしまったんだ」
「え?」
「もう見えなくなってしまった」
「・・・・」
「ショックだった」
「だろうな」
「でも見えなくなったことにショックだったんじゃない」
「・・・・」
「そういう能力が無くなってしまうと、俺には、山の技術が徹底的に不足していることに気がついたんだ」
「・・・・」
超能力の無い普通のハイカーたちは、この十数年の間に
さまざまな経験と技術を磨いたのに対し、
「道が見えてくる」不思議な能力をもった人の技術は
あまり進歩しなかった。
彼は、その能力うえに科学的な山岳研究も怠りがちでした。
だから、能力が無くなると、自分に経験と技術が足りなくなっていることに
きずいてしまったのです。
つづく
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