白い雪原
1月の北軽井沢は、白い雪原に覆われます。
あちこちで、かまくらや、雪だるまを作る子供たちを目にするようになります。
私も子どもの頃に、庭先で、よく雪だるまを作りました。
すると通りがかりのお爺さんが、
「元気いいなあ、雪だるまを作っているのかい?」
と声をかけてきました。
そして、御菓子やミカンなどをもらっていました。
ある日のことです。
あれは私が小学校5年生だった1月のことでした。
もうすぐ中学生にならんとしている私は、雪だるま造りの遊びにも飽きて
もっと写実的な雪の彫刻を作り始めました。
すると通りがかりのお爺さんが、
「雪人形を作ってはいかん」
と声をかけてきました。
「雪人形?」
「作るなら雪だるまにしなさい」
「はあ?」
「雪人形を作ると、雪ん子がでるぞ」
「雪ん子?」
「そうだ、雪ん子がでる。だから雪人形を作ってはいかん」
「・・・・」
「だから雪だるまにしなさい」
「・・・・」
おじいさんに逆らうほど根性の無かった私は、
雪の彫刻造りをやめて、平凡な雪だるま造りに変更してしまいました。
けれど、何か気になってしまっていました。
「雪人形ってなんだろう? 雪ん子ってなんだろう?」
でも、当時(昭和47年)には、インターネットというものはなく、雪人形も雪ん子についても調べるすべはありませんでした。そこで両親や学校の先生などの身近な大人に聞いてみたのですが、誰も知らないと言います。で、ますます雪人形や雪ん子にたいする興味がわいてきました。そして、雪だるまではなく、雪人形を密かに作ろうと決心したのです。
別に、雪人形を造ったからと言って、何かがおきるとも思わなかったし、そもそも雪人形とは何かさえも知らないままでしたから、密かに人里離れた山の中に、こっそりと雪だるまを造る要領で雪人形を作ろうと思いました。
つづく
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