「鶴の恩返し」と「夕鶴」が、全く違う物語だとしたら、貴方は驚きますか? 「鶴の恩返し」は、恩返しする鶴の話し。「夕鶴」は、木下順二が佐渡島の民話、「鶴女房」を元にした戯曲です。そして、この二つは、話しのストーリーが、とても似ています。
『昔々、ある所に、おじいさんが住んでいました。ある日、おじいさんは、罠にはまって傷ついた鶴を助けてあげました。それから数日後、吹雪の晩に、おじいさんの所に、若い女の人が助けを求めてきました。若い女の人は、吹雪が止むまで、おじいさんの所に泊めてもらう事になりました。
吹雪は何日も続きました。手持ち無沙汰に暮す若い女の人は、「機(はた)を織らして下さい」と、おじいさんに言いました。そういうわけで、若い女の人は機織りを始めました。そのさい、「機織りをしている間、絶対に中を覗かないで下さいね」という約束をしたのでした。
けれど、この約束を、おじいさんは破ってしまいました。機織りをしている姿を覗いてしまったのです。すると、そこには若い女の人ではなく、鶴が機を織っていたのでした。驚いて腰を抜かしているおじいさんの所に、若い女の人は、できあがった反物を持ってやって来ました。そして「おじいさんさようなら」と、言った若い女の人は鶴になって、遠い空に飛んでいきました。』
皆さんも御存知の「鶴の恩返し」です。子供の頃、絵本か何かで読んだ事があるかと思います。私も子供の頃、「鶴の恩返し」の絵本を読みました。でも、私は「おや?」と、子供心に首を傾げたものでした。
私は、幼小の頃、佐渡島は北片辺という部落で過した事があります。北片辺と言えば、佐渡島でも有数の民話の宝庫で、『安寿と厨子王』『鶴女房』をはじめ、多くの民話が語られてきた所です。私も多くの民話を、土地の老婆に聞いたものです。当然、「夕鶴」のモデルになった「鶴女房」も何度も聞かされました。
「鶴の恩返し」の物語の主役はおじいさんです。
そして、物語のテーマは、恩返しという事になります。
では、「夕鶴」の元となった「鶴女房」は、
どんな御話しでしょう?
つづく
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