二つ岩神社は佐渡金山のすぐそばにあります。金山には、金鉱石から金を精練する工場がたくさんありました。それら精練工場では、炭に多量の酸素を送り、燃焼効率をあげるフイゴと呼ばれるポンプが大量に使われていました。そして、そのフイゴには動物の皮、つまりムジナの皮が使われていたのです。
私は佐渡の記録を調べていくうちに恐ろしい事を発見してしまいました。それは二つ岩に団三郎という鉄砲猟師が住んでいて、ムジナの皮を大量に金山に売って、大儲けしていたという記録です。これはどういう事なのでしょう?
さらにこんな記録もありました。
「団三郎は村人に金貸しをしていたが、村人は借りた金を返さなくなったため団三郎は金を貸すのをやめた」
という記録です。また、団三郎は村人から殺生で金を稼ぐ男として、あまりよく思われてなかったようでした。
どうやら、ムジナの団三郎の伝説と、この団三郎という鉄砲猟師の記録には何か関連があるようです。ムジナの団三郎の伝説は、鉄砲猟師の団三郎から生れたのかもしれません。そうすると、ムジナの団三郎の最後というのはいったい何を意味するのでしょうか?
いつしか私は、幼かった頃に会った、
御供物泥棒を思いだしていました。
「あの人は鉄砲猟師の団三郎かもしれないな・・・」
そう思うと、私はあの大男にすまないなと言う気持ちで一杯になります。なにしろ、私は鉄砲猟師の団三郎を、御供物泥棒と間違えてしまったのですから・・・。
「ほーっ、これ(御供物)はムジナの団三郎の物だったのか。わしはてっきり自分の物と思っていた。それが本当ならムジナの団三郎に悪い事をしたなあ・・・。なにしろ長い間、わしは、これが自分のものだと思っておったから・・・」
あの時の大男の言った言葉を思いだした私は、こう思いました。鉄砲猟師の団三郎は、とても気のいい奴だったに違いない・・・。
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