2009年07月16日

業界裏話12 宿は客を選んでるという事実1

業界裏話12 宿は客を選んでるという意外な事実1

 宿をやるまで気がつかなかったことで、
 宿をはじめてから愕然と知ってしまった真実は、
「宿は客を選んでる」
ということでした。

 これは、自分が客である間は、
 全く気がつかなかった盲点でした。

 私が御客様であった時は、漫然と「この宿に泊まってやっているんだ」という気分でいたのですが、いざ、宿を始めて見ると、そうではないことに愕然としてしまいます。と、書いても何のことか分からないでしょうから、具体的に、どういうことかを解説してみましょう。

 たとえば、1泊2食で2万円の価格設定したとします。すると、自動的に1泊2食で7千円しか使えない御客様を切り捨ててしまうことになる。2万円の御客様だけをターゲットにしてしまうことになる。となると、そういう御客様しか来なくなるのです。もちろん御客様の方も、2万円のサービスを要求してきます。宿の特色が、2万円レベルとなってしまう。

 逆に1泊2食で七千円の価格設定したとします。
 すると2万円の御客様は、絶対に泊まりに来ません。

 では、1泊2食で七千円の価格設定で、
 2万円のサービスをしたとします。
 はたして2万円の御客様は、泊まりに来るでしょうか?

 泊まりに来ないのです

 ということは、サービスの問題では無いのです。客層の問題なのです。いくら格安でも客層が違うところに泊まりにはこない。どんなにハイグレートなハードとサービスがあっても、客層が違ったら、そこには泊まりに来ないんですね。

 もっと分かりやすく説明しましょう。

 幼児オーケーの宿に、静かな雰囲気を好まれる御客様はきません。
 カップルばかり来る宿に、一人旅の御客様も来ません。
 なんとなく居づらくなりますから。

 で、北軽井沢ブルーベリーYGHがオープンした時なんですが、最初は、ユースホステルではなくて、ペンションでした。このペンションを友人に経営を任せたら、赤字が雪だるまのように膨れあがりました。

 これではいかんと、百冊以上のビジネス本を読み、経理や、マーケッティングを勉強し、経営セミナーにも出かけ、集客のための勝利の方程式を作り上げて、友人から経営をとりあげて、再建をはじめたわけですが、今度は、アッという間に黒字になった。だから御客様の増やし方は、心得ているつもりです。

 でも、2年目から御客様を減らすことにした。
 わざと断るようにしたのです。

 理由は、客層がバラバラであったために
 クレームが生じたためです。
 具体的に述べますと、こんな感じになります。

1.口コミで、宿の良い評判が流れる。
2.その口コミを聞いた御客様が、勘違いする。
3.帝国ホテル並みのサービスかな?と勘違いする。
4.で、実際泊まってみると、話が違うではないか!
  と激怒する。

 クレームの具体例を述べてみましょう。

 他の御客様の幼児がドタバタうるさい
 安い酒しか置いてないし、カラオケもない
 客の家族全員の名前を覚えてない
 マネージャー(女将)が部屋まで挨拶に来ない
 はやめに到着(午前11時30分)したのにチェックインさせてくれない
 浴衣が置いてないし、ドリンクバーもない
 スタッフと御客様が一緒に食べるのはおかしい
 見送りにスタッフ全員がでてこない
 料金先払いもおかしい

 これらのクレームをだした人の多くは、ふだんは2万から3万の宿に泊まっておられるのでしょう。そういう御客様が、6500円の宿に泊まって、こんなクレームを出すのか?と驚かれるかもしれませんが、

口コミで、
過剰に良い宿の評判が流れると、
こういうミステリーなことも、
おこりえるのですよ。


 口コミで良い評判が流れすぎると、6500円という値段である事実は、どこかに消えてしまいます。そして「素晴らしい宿」という口コミだけが頭に残ってしまう。で、自分が泊まるべき宿を間違えてしまう。違う客層の宿に間違って泊まってしまう。

 つまり、不幸な出会いが発生する。

 初期の頃の北軽井沢ブルーベリーYGHには、こんな不幸な出会いが、数多くあったのです。今では、それを避けるために、ホームページの予約フォーマットに、予約前に読むべき注意書きを載せています。

これです!

http://www.kaze3.cc/11-q-a/0-giyuyo/qa2.htm


つづく

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posted by マネージャー at 14:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界裏話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする