トムラウシ山遭難事故に思う5
続きです。
今まで、トムラウシ山遭難事故をおこしたガイドさんにキツイことを言ってきましたが、今度は、ガイドの立場になって考えてみます。というのも、私たちも無償とはいえ、御客様を連れてガイドをすることがあるので、ガイド側の気持ち、ツアー会社の気持ちが多少はわかるからです。
北軽井沢ブルーベリーYGHでも、『風のたより』の皆さんのボランティアにお願いしてガイドツアーを行っています。基本的に無償です。保健代が300円とガソリン代だけです。まれに私がガイドに出かけることもありますが、これは営業ではありませんから、やはり(実費を除いて)無償です。
無償にする理由の一つは、天候が悪ければ、必ず撤退するからです。
まあ、それだけが理由の全部では、ありませんが、理由の6割を占めます。本格的なガイド業なんて、宿業と兼務でこなせるほど甘くありません。雨が降ったら登らない、吹雪いたら登らない、天候が急変したら、すぐに下山する。頂上はめざさない。そういうところは徹底してガイドツアーを行っています。
でも、そこまで慎重に行動しても
事故がおこる時は、おこる。
御客様が怪我をする時もある。 だから余計に慎重になってしまう。
年々、臆病になっていく自分がいる。
しかしね、そういうガイド側の心を鞭打つかのような
御客様の激怒の声が浴びせられることがあるんです。
たとえば、こんな会話(電話)が、年に何回かあります。
「来週は、××山登山ですよね?」
「そうです。でも雨天の時は、温泉ツアーになります」
「それじゃ困るんだよ、はっきりしてくれよ、行くの? 行かないの?」
「こればかりは天候しだいなので・・・」
「それ、おかしいだろう? いかねえならホームページに書くなよ」
「ホームページにも、雨天中止と書いてありますが」
「こっちは、百名山やってるんだ、行ってくれなきゃ困るんだよ」
「それでは、他をあたってください。なんなら必ず連れて行って行ってくれるガイド業者を御紹介しましょうか?」
「それじゃ金がかかるだろう!」
こんな風に、無茶苦茶言ってくる人が希にいます。
スノーシューツアーの時も、
「今週のスノーシューツアーは、どこに行くんですか?」
「それは天候によって決まります。吹雪いたり、雪崩の危険性を考慮して、前日に行ける場所を御客様に提案することになっています」
「それって、おかしいんじゃないの?」
「私どもの宿は、そういうシステムをとっていますので、もし御不満でしたら、他の会社を紹介しますが」
「他の会社は、おたくの3倍の値段なんだよ。それじゃ困るんだよ。四阿山に絶対に行く日を決めてよ」
「では、別価格で、1日4万円のガイド料金で四阿山を御案内いたします」
「なんだよ、それ、ボリすぎだろう」
「いえ、御客様、一日営業を停止して、装備のチェックと四阿山の事前調査と荷物のデポを行わなければなりませんから、これが最低ラインになります。一般のガイド会社でも、この価格になっているはずです」
「もう、いいよ!」
てな、ことがありました。
こういう事があるたびに、世の中には、
「危険なところに行くには、
コストがかかる」 という単純明快なことを知らない人が、
いるんだなと思いしらされます。
私は、電話がきれた後に、
コストをかけたくなかったら、危険に踏み込まないでくれ!
無料どうぜんで危険を手に入れようと思わないでくれ! と叫んでいます。
逆にいうと、ガイド会社には、北軽井沢ブルーベリーYGHなんかよりも、もっと御客様からのプレッシャーがあるでしょうね。なにしろ、それで食べているから。
それと、今回のトムラウシ山で遭難事故にあわれた皆さんは、
危険に対するコストをどう考えていたんでしょうか?
そういえば、こんな画像が。
ほーっ、今時のツアー会社は、
ポーターもやっているんですねえ。
なるほどねえ。
念のために言っておきますが、
ポーターとガイドは、全く別物ですから。 気をつけてください。
ガイドぽい人が、3人いたとしても、
本物は1人で、
ポーターが2人ということもありえます。
生まれて初めてトムラウシに登る人が、
ガイドなんてことはありませんから。
そういう人が混じってたら、
その人は、おそらくポーターです。 それから念を押しておきますが
ポーターというのは、あくまでも荷物持ちですから。
つづく。
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posted by マネージャー at 01:18|
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