2009年08月06日

トムラウシ山遭難事故14+α+α+α

Yさん

>その中で、「山屋」の方は「捨てる」事について徹底されているなと思っておりました。
>「捨てる」と言っても、山の為に色々な「無駄」を捨てると言う意味で、
>より良い条件での登頂及び下山を第一にした「合理的思考」に長けている印象があります。

 おっしゃるとうりですね。これは山屋にかぎらず、危険な場所を探検する人たちは、目標を限定する傾向がある。経済でいえば、ランチャスターの弱者の戦略です。ペンション経営でいえば、差別化です。大ホテルが真似できないような特殊化によって、大ホテルに勝つ。これが弱者の戦略です。

 トムラウシ山の大自然は、強者です。危険(リスク)があ。それに対抗する人間は、弱者。危険(リスク)がある場合、それを避けるには、目標を限定すればいい。そして、この場合の目標は、安全であるはずです。

 例えば、うちは宿屋ですが、御客様に食事提供する際の第一目標は安全です。味は、その次になる。で、北軽井沢には生で食べられる美味しいトウモロコシ『みらい』があるのですが、これを生では出しません。茹でて殺菌する。茹でると甘みが減少するのですが、そこを敢えて茹でる。味は2の次なんです。ところが魯山人は、味を第一にした。そのために彼の体は、寄生虫に蝕まれていきました。魯山人は、それで本望だったと思いますが、宿業者の考えは違います。

 宿は、一回の食中毒で壊滅します。
 ツアー会社も、同じでしょう。
 いや、同じでないと困る。
 だから危ない橋は渡れないんです。

 で、大自然という強者に対して弱者の戦略で立ち向かうとしたら、安全確保のための目標限定と、ロジスティック(補給)を確立するしかないはずです。



>今回の遭難事件、天候も要因のひとつではあるのですが、今回の遭難の要因には、
>1現地判断(ガイド)のミス
>2組織のミス
>3天候
>の三要素が複合して絡み合っているとは思いますが、
>今回、8人死亡のうち何人かの死因の一つには、ヘタカル様提唱の
>「熱収支の悪化に伴う低体温症」があり、
>1次要因として、天候条件と天候に関する判断ミス、
>その2次要因として、気象状況における情報不足及び情報不足に伴う判断ミスがあった、
>という事が、おぼろげながら判ってきました。


 憶測ですが、いろいろな情報を勘案するとガイドさんは、真面目で誠実な方たちだったような気がします。遭難中も一生懸命、ツアー客に尽くしていた。ただ、判断だけが間違っていた。御客様の体調を見誤ったことも、病人を放置したことも、出発したことも、大沼で2時間も停滞(戸田証言)したことも、隊を分割したことも、テントを小屋に置いてきたことも、天候予測も、何もかも間違っていた。

 だれど、遭難中も一生懸命、ツアー客に尽くしていた。
 人事を尽くしていた。

 しかしね、彼らの一生懸命は、ポーターとしての一生懸命であって、ガイドとしての一生懸命ではないですよ。スイス人ガイドは、傲慢ですよ。ネパール人ガイドも同じです。荷物なんか持ってくれません。その仕事は、あくまでもポーターの仕事なんです。

 ポーターとガイドは、本質的に違うんです。
 極論するとガイドは、判断するための存在。
 だから、判断材料は、何が何でも持参するはず。
 衛星携帯というものがあるなら使うのは当然です。



>極端に言えば、何も捨てれず、参加者の命を捨てた。(様に見えます)
>1.行程を捨てれず、救助や予定変更のコストを捨てれず、
>2.体調の悪い人を(最初の日に避難という言う意味で)捨てれず、
>3.体調の悪い人への付き添いと言うことでのガイド人員の融通を捨てれず、
>(2.3については手遅れになってから要救助者、ガイドの命もろとも捨ててしまいましたが)
>4.結果的にこの時期としては(恐らく)究極の悪天候にツアー全体を、
>  寄集め大人数、体調不良者つきで放り込んだ。
>5.最終日に、最後に安全に替えて捨てたのはテント二貼り(後からのツアー客に残した?)。


おっしゃるとうりですね。
特に5番は、捨ててはならないものです。
捨てるべきモノを捨てずに、
捨ててはいけないものを捨ててしまった。


>結果としては天候条件もありますけれど、8人の命が失われて…
>言葉は悪いのですが、主催側はお金を惜しんで、
>安全を捨て続けて、結局大勢の命を捨ててしまった。


 私の感覚からいうと、アミューズが、安全でない登山を奨励しているとは、思えない。会社の経営者が、そういうリスクを抱え込み商売しているとは、にわかには信じにくい。しかし、現実には、かなり杜撰な登山計画がなされており、後方支援体制も皆無。

 でも、それなら、もっとまともな人選をすべきですね。
 後方支援をしないなら、もっと、すごいガイドをつけないと。
 そのお金をケチったのかどうかは不明ですが、

 5回の経験者一人と、
 未経験者2人なら、
 もっと後方支援しないとダメでしょう。



>「安全第一」ではなく、もしかすると
>1、お金、2、段取り(行程)≒登頂、3、安全位の優先順位
>だったのかなと。全部が揃う条件なら問題ないですが、
>全部は取れないですよ!と言う今回の様な時に、
>優先順位が低いもの(安全)から犠牲になってしまった。
>という感じで、効率的ではあっても合理的じゃない。


 22万円のツアー費用をとっていて、トムラウシ山に登れなかったらクレームがくるのですかねえ。だとしたらガイドの方たちに、とても同情しますが、それでも安全第一に断固拒否するのがガイドの仕事だったと思います。スペシャリストなんですから。

 そのためのガイドなんですから

 で、私の感想ですが、5回しか登って無くて、スペシャリストと言えるかどうか。それでスペシャリストなら、私もトムラウシのスペシャリストになります。

 でも、そんなことありえない。春夏秋に2回づつ、それを3シーズンくらいやらないと、つまり3年で18回くらいやらないと、スペシャリストとは言えないでしょう。ポーターならともかく。

 本物のスペシャリストなら、
 会社が拝金主義でも、
 断固拒否して停滞したはずです。



>私が指摘した天候条件は、仮に全てにおいて仮説が正しかったとしても、
>あくまでも「最悪の結果」への決定的な一押しにしか過ぎない。


そうですね。


>■ガイドは先述した優先順位に基いてという事であれば、
>実に一生懸命だったと思います。

>■打てる手を打ってそれでもトラブルは起こることはあります。
>でも、今回は打てる手をほぼすべて打たず、考えうる最悪のパターンに陥っている。

8人は死にすぎですよね。この遭難は、もっと被害を減らせたはずです。2時間の停滞(戸田証言)が無ければ、少なくとも死者は半分ですんだはずです。

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posted by マネージャー at 18:46| Comment(3) | TrackBack(0) | 登山関係の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鐵音茶房(くろがねさぼう)

鐵音茶房(くろがねさぼう)
この店は、なんと!
鉄でできている。

トイレも
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壁も
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カウンターも
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天井も
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客席も
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しかし、カフェなのだ!
これで1000円。
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これで1000円
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アップで寄ってみる。
でかい!
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でかい!
そして美味い。
これで1000円。
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おすすめの店です。

軽井沢町追分119−8
国道18号線浅間サンライン入り口交差点の角にあります
電話:0267−46−4453
定休日:水、木(8月木曜のみ)


つづく。

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posted by マネージャー at 07:19| Comment(3) | TrackBack(0) | 信濃追分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

トムラウシ山遭難事故と百名山3

トムラウシ山遭難事故と百名山3
つづきです。

 私は、江戸時代の旅と、現代の百名山の危険度は、ほぼ同じくらいだと考えています。ひょっとしたら百名山よりも、江戸時代の旅の方が危険かもしれない。

 実は、根拠があります。

 私は昔、1990年頃利尻グリーンヒルユースホステルという宿に泊まって、利尻山に登ったことがあります。そのユースホステルでは、

 利尻山に登って、
 利尻島一週55キロメートルを歩く


のが流行っていまして、それにチャレンジしたわけですが、利尻山の登山は、たいしたことなく登れました。

 といっても、ただ普通に登ったわけではありません。
 海抜ゼロから頂上を制圧するために、
 海岸に足をつけてから登りますから
 コースタイムは13時間です。

 もちろん団体登山です。
 といってもユースホステル側が、
 ガイドしてくれるわけではありませんから、
 私が隊長(ツアーリーダー)となって、朝4時に出発しました。

 人数は、二十人くらいでした。
 平均年齢は二十歳前後。
 男女比は半々でした。

 そして登山経験は、私一人。なので緊張しましたが、なんとか全員脱落させることなく、帰ってくることができました。天候に恵まれたことと若さもあって、みんな元気いっぱい降りてきました。

 で、翌日、利尻島一週55キロメートル完全歩行を12時間かけて歩いたのですが、これには参った。登山では、なんでも無かったのに利尻島一週55キロメートルは、地獄でした。これは、私だけでなく、参加者全員がそういってました。と、ここまで書くと、

「登山の疲れがのこってたんじゃないの?」

と言うことがいるかもしれませんが、そういう事ではないのです。

 というのも、翌日に、また、私は利尻山に登ったからです。
 海抜ゼロから頂上を制圧。
 コースタイムは13時間です。
 利尻島一週55キロメートル完全歩行より1時間多いコースです。

 にも関わらず、登山では、全く問題なかった。むしろリハビリになったくらいでした。利尻島一週55キロメートルを12時間かけて歩いた時の疲れを、登山することによって取り除くことができたんですね。これは、私だけでなく、一緒に参加した人も、みんな同じ証言をしている。

 信じられないかもしれませんが、本当です。
 登山より平地を歩いた方が疲れる。


 で、その翌日、性懲りもなく、私はまた、ユースホステルの他の御客様たちと、利尻島一週55キロメートルを12時間かけて歩いたのですよ。

 今度は、アスファルトを歩かないようにしました。
 土の上を歩くようにしたのですが、無駄だった。
 やはり地獄だった。体に悪いと思った。

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 これは私だけではありません。
 参加者みんな同じ発言をしている。
 だから、その次の日に、また利尻山に登りました。
 すると、リハビリになった。
 体が楽になった。
 この時点で私は確信しましたね。

「登山の方が絶対に楽である」

と。つまり、

 登山→一週→登山→一週→登山→一週

と、登山3回・一週3回を、6日間かけて行ったのですが、登山より徒歩で55キロ歩く方が圧倒的に体に悪いなあと確信しました。登山は、時間がかかっても、歩く距離は短いので、足に与えるダメージも少ない。となると、百名山よりも、江戸時代の御遍路の旅の方が辛かったのではないかという気がしてきたのです。

 で、それを実証するために東ヨーロッパ徒歩の旅を行いましたが、
 やはり同じ結論になりました。
 それについては、機会があったら述べることにしましょう。

 問題は、登山であっても、平地を延々と歩くコースがあるということです。トムラウシ山遭難事故のコースは、だらだらと、やたら長いコースなんですよね。この長さから、ツアー参加者の足に、どういうダメージを与えたか?という点が気になります。

 というのも、利尻島を徒歩で一週すると、途中で動けなくなる人もでてくるからです。そういう人は、頭に熱をもつていたりする。で、タクシーを呼んだり、路線バスの力をかりたりする。しかし、そんな彼らも利尻山なら脱落せずに登れた。


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つづく。

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posted by マネージャー at 01:12| Comment(6) | TrackBack(0) | 登山関係の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする