つづきです。今回は、友だちと親についてです。
小学校時代のイジメの大半は、嫉妬が原因です。友だちの奪い合いから生まれることが多いんです。ピンとこない人は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んでみてください。ジョバンニ・カンパネルラ・ザネリの3人の三角関係の心理を理解できれば、どうしてイジメが生まれるか分かると思います。
こんなことは、子供の頃、みんなが知っていたことなのですが、大人になると、どういう訳か忘れてしまいます。だから大人たちは、どうして子供たちイジメにあうか、いまひとつ理解できないんですね。まあ、そんな事、どうでも良いんですが、ここから先は、私の昔話です。
昭和47年にオイルショックがありました。
当時、私は小学校5年生でした。
オイルショック以前と、オイルショック以後。
佐渡島は、全く変わってしまいました。
オイルショック以前は、一般的に公務員やサラリーマンの家庭は、地味で普通の生活をしていました。ところが農家の方は、羽振りが良かったんです。父親が出稼ぎで、大儲けして帰ってきたからです。それが、当時の子供たちに、どのような影響を与えたかと言いますと、お年玉や、小遣いや、オモチャ、土産物で、ぐーんと差が出たんです。なにしろ出稼ぎは金になりました。毎月十七万くらい稼いだそうですから。
財布に百円くらいしか入ってない子供と、五千円入っている子供で分かれていました。当時の公務員の初任給が三万円でしたから、小学生が五千円もっていることじたいが、どれほど異常なことであったかが分かるかと思います。当然のことながら、そういう子の回りには、子供たちがいっぱい集まります。
テープレコーダー(当時はオープンリールだった)を買ったと聞くと、みんな押しかけたり、カラーテレビを買ったと聞いては、みんな押しかけました。もちろん私も押しかけました。そしてテープレコーダーで、歌を吹き込んだり、ラジオドラマを作って遊んだりしました。カラーテレビの色を調整して真っ赤にしたり、真っ青にしたり、真空管を抜いたり入れたりして、遊んだものです。
ところで友だちができると、友だちを家に連れてきましたよね。
出稼ぎ農家の子供の友だちを自宅に連れてきて遊んだりする。
すると私の両親が、いい顔をしないのです。
逆に両親が公務員の友だちを連れてくると、大歓迎したりする。
うちの親に友だちの家庭環境なんか、分かるわけがないのですが、
どういう訳か、嗅覚で差別する。
こういう事は、私の家ばかりかと思ったら、そうではない。
どこの家庭でも、大なり小なり友だち差別があった。
どうやら、どこの親も、子供の友だちに対して好き嫌いがあった。
二人いた私の弟たちも同じような疑問をもってました。
ひょっとしたら親の方では、全く気がついてないかもしれない。
無意識だったかもしれない。
けれど、子供たちには、明確に差別がわかっていたんです。
これは、私の家だけでなく、どこの家でも同じようなことがあった。
そこで、大人になってから親に
「どうして友だち差別をしたのか?」
と聞いたのですが、親は自分が差別したと思ってないという。あきらかに差別しているし、弟たちも、同感であるにもかかわらず、親たちはシラを切るというか、覚えてない。
で、考えてみました。
どうして、どの親も友だち差別をしたのに、
本人に記憶がないのか?という点を。
出稼ぎ農家の子供の友だちは、親から高価なオモチャをわんさか貰っていました。お年玉も私の二十倍くらいもらってました。ピカピカの自転車や、膨大な漫画や、最新の家電製品もあった。私は、とても羨ましがって、親にねだったかもしれない。すると、親は、いい顔をしなかったかもしれない。
特に漫画には、いい顔をしなかった気がする。私の親だって漫画を買う小遣い銭くらいは、出そうと思えば出せたと思う。けれど、どんなに金があっても漫画だけは買わせなかったと思います。現に漫画をもっていると全部、焼かれてしまいましたから。そういう家庭環境のところに、出稼ぎ農家の子供の友だちが、大量の漫画を持って遊びに来ていたんですよね。
親は、いい顔をしなかっただろうなあ。
と言うことは、親たちは、子供の友だちを差別したのではなく、子供の友だちの文化を差別したことになる。人種差別ではなく、文化差別であった可能性が高い。
しかし、それは、大人になったから、そういう冷静に分析できるのですが、子供の頃は、そこまで背後を考察できなかったので、親に対して理不尽な思いをもちましたね。それが溜まって反抗期の時に爆発したこともありました。
しかし、その反抗期の爆発も、今となって思い出してみれば、実に底の浅い爆発でした。赤面ものです。しかし、底の浅い爆発であっても、油断していると大火傷しますから、世の親御さんは注意した方がいいですね。
ここで、話が変わりますが、親が子供たちの友だちを差別し始めると、その空気が微妙に子供たちに伝わり、イジメに発展するのですよ。すると、今まで遊びの中心にいた、出稼ぎ農家の子供の友だちが、一転してイジメの対象になる。
物と金を持っている子供というのは、子供たちの中心にもなりやすいですが、ふとしたことからイジメの対象にもなりやすいんです。そして、そのイジメは、親たちの何気ない行動や言動がきっかけとなるケースもあります。
最初にも言いましたが、ピンとこない人は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んでみてください。ジョバンニ・カンパネルラ・ザネリの3人の三角関係の心理を理解できれば、どうしてイジメが生まれるか分かると思います。
機会がありましたら、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を、このブログで解説してみましょう。冒頭で、どうして、小学校時代のイジメの大半は、嫉妬が原因であり、友だちの奪い合いから生まれることが多いと言ったかが分かると思います。
つづく。
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