2010年03月13日

私の小学校時代を思い出した12 ドモシジュウ

私の小学校時代を思い出した12

 つづきです。今回は、についてです。

 昔に比べれば、食事は贅沢になりましたよね。私が小学校時代は、夕食のおかずの品数は、1品+漬け物+味噌汁だけでした。そして、その1品は、たいてい魚でした。

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 魚は、いまでこそ贅沢な食べ物ですが、昔は、とても安かった。卵二個分の値段で買えました。逆に肉の値段は、35年前から変化ないですかね。しかし、その安い魚さえも自給自足。つまり父親の趣味である釣りで捕まえていました。だから私が育った家庭のエンゲル係数は、かなり低かったと思います。

 特に鯛・ハチメ(メバル)・キス・サヨリ・カレーなんかは、父親が大量に釣ってくることもあって、死ぬほど喰わされましたから、子供の頃は嫌いな魚でした。今にして思えば、贅沢な話なのですが、当時は嫌で嫌でたまらなかったです。

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 その父親の釣りの趣味も、冬になると不可能になりますから、鯛・ハチメ(メバル)・キス・サヨリなどから解放されるのですが、今度は、スケトウ・寒ブリ・鱈ばかり食べさせられるので、これも嫌いになりました。今にして思えば、なんと贅沢な話でしょうか。寒ブリなんて、今じゃ高価で食べようたって食べられません。1本1万円はしますよね。その高価な寒ブリが、昔の佐渡島じゃ安かったのです。信じられない話ですね。特に船が欠航する冬では、今日もブリ、明日もブリと、ブリがでるたびにがっくりしたものです。なんて贅沢な子供時代だったのだろう。

 その代わりに佐渡に少なかったのがサンマやアジ。
 特にサンマが珍しかったです。
 ですからサンマが御馳走でした。


 さて、今をさること15年前。
 友だちを20人くらいつれて佐渡に遊びに行きました。
 『風のたより』というグループで佐渡島に行ったのです。
 そのとき、佐渡のスーパーでホッケの格安品を発見しました。

「ホッケが、1匹で25円だ!」

 これを買い占めて家に帰ると父がやってきて、

「うえ〜っ、ドモシジュウを買ってきたのか? シジュウだったら美味しいんだがな、ドモシジュウじゃなあ〜」

 と笑います。
 慌ててパックを見ると、そこには『ホッケ』ではなく
 『ドモシジュウ』と書いてありました。
 え?
 ドモシジュウって何だ?
 どういう魚なんだ?
 と考え込んでいますと、父はこんなこと言ってきます。

「安かっただろう?」
「はい」
「まずいぞ、この魚は。お母さんに助けてもらった方がいいぞ。へたな料理じゃ、とても食べられないからな。ふっふっふっ」

 父は笑いながら消えて行きました。
 おかげで私たちは、大パニック!
 しかし、どうみてもホッケにそっくりです。

「やっぱ、ホッケじゃない?」
「いやいや佐藤さん。これはホッケじゃないですよ。ホッケにしては、色が赤いです」
「そうかなあ〜」
「ここに点々がある。これは、ホッケの模様じゃない」
「そうかなあ?」
「佐藤さん、きっとシジュウがホッケなんですよ。ドモシジュウは、ホッケに似たまずい魚なんだと思います。でなければ25円という値段は、おかしいですよ。東京なら10倍の250円はしますから」

 私は次第に追いつめられていきました。
 そこに母がやってきました。
 母は、話題の魚を見るやいなや、

「ありゃまあ〜、ドモシジュウを買ってきたの? シジュウなら美味しいんだけれど、ドモシジュウじゃなあ〜」

 これには全員大爆笑。
 しかも、とどめを刺すように、また一言。

「お前が子供の頃、よく父さんがドモシジュウを釣ってきたけれど、誰も食べないから、みんな捨てていたんだよね」

 これにも全員大爆笑。

「佐渡島じゃ、あんまりまずくて、誰も食べない魚なんだよね」

 そりゃもう、みんな大喜び!

 そうだったのか、
 この魚は、そんなにまずい魚だったのか。
 そうとは知らずに、大量に買ってしまった。

「やっぱ、まずいねえ」
「味に癖があるねえ」
「25円だもの、仕方がないよ」

 かわいそうなドモシジュウ。皆からボロクソに言われてしまっている。これがホッケだったら、これほどの扱いは受けなかったろうに。よし、お前の骨は、俺が拾ってやる。誰も箸をつけないお前を、私が食べてやろうじゃないか!

「あれ? このドモシジュウというやつ、ホッケに似た味がするなあ
「気のせいですよ」
「そうかなあ、ホッケのアジがするんだが」
「いや、ちがいますね。微妙に違います」
「でも不味くはないと思うんだが」
「いいや、ぜんぜん味が違います。ホッケはもっと高尚な味ですよ」

 その時です!
 台所から、息を切らして走ってくる女の子がいました。
 彼女の顔は青ざめていました。

「どうしたの?」
「佐藤さんの御母さんに聞いたんだけれどね、ドモシジュウってホッケのことなんだって!」
「・・・・」
「な、なんだと?」
「するっていと、シジュウの正体は?」
「シジュウはね、アイナメだって」
「・・・・」


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 なるほどねえ。じゃあ、佐渡島民は、
 ホッケのことをまずい魚だと思っているわけか?
 なんて口の奢った民族なんだ!
 ぜ、贅沢すぎるぞ、佐渡島の人間は!
 よりによってホッケをまずい魚だなんて・・・・。
 いったい何を考えているんじゃ!

 考えてみれば、佐渡島ほど美味しい魚を食べられるところはないかもしれません。それにしても『風のたより』メンバーに言えることは、ホラふきの傾向があるなあ〜。と言うより知ったかぶりの人間が多いってことか。ドモシジュウに対して
「違いますよ、ホッケじゃないですよ」
と真面目に解説した奴(男)は、後日、富良野で民宿をやりましたが、こいつこそ正真正銘の『裸の王様』。


http://pucchi.net/hokkaido/foods/hokke.php




 しかし、そんなことに驚いているうちはまだよかった。メンバーの裸の王様攻撃は、私に休む時間を与えなかった。例えば、こんなことがありました。

「土井君、ジャガイモの皮をむいておいて」
「あいよ」

 ところが、いつまでたってもジャガイモの皮はむけません。よく見ると土井君は、むちゃくちゃ不器用です。もう見ちゃいられません。しかも、30分もたっても1時間たっても、たった1個のジャガイモの皮さえむけません。

「土井君、何やってるんだよ。1個もむけてないじゃないか!」
「そんなことないよ、ちゃんとむけてるよ」
「はあ?」

 よく見ると確かに2〜3個むけています。
 ただし、あまり長時間ジャガイモを手に持っていたために、
 体温で茶色に変色し、皮つきジャガイモと見分けがつかなくなっています。
 これには、みんな大爆笑!
 すると別の男が土井君にジャガイモ皮むきの講義を始めました。

「土井君、ジャガイモの皮のむきかたも知らないのかい? しかたがないな、私が教えてあげよう。ジャガイモは、こういうふうに皮をむくんだよ」

 彼は、さも知ったかぶりをして、土井君に包丁の使い方を説明していましたが、ところが、これが全部でたらめ。その人は、親指を使わずに包丁を使っているのです!

「コラコラ、おめ〜らホラばっかり吹いてるんじゃねえ!」

つづく。

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posted by マネージャー at 14:19| Comment(2) | 教育問題を考えてみる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする