品木ダム(しなきダム)は、他のダムと違う目的で建設されています。

草津温泉から流れる酸性の排水を中和するためのダムです。
品木ダムが建設される前の吾妻川は、
「死の川」
と呼ばれていました。水が極度の酸性を帯びていたためです。

草津白根山や草津温泉の源泉から湧出した強酸性の水が流れ込むためで、その酸性度は、鉄釘を1週間で溶かしてしまうほどでした。そのために飲料水はもちろんのこと農業用水にも使えないというありさまで、川には生き物さえなく、橋は、たちまちにして溶け、護岸も数年で溶けてしまいました。この水は、利根川の水質まで汚染したために、あらゆる護岸設備が危機的な状況になったといいます。

そこで酸性水流入の最大原因となる湯川に酸性水中和施設を建設し、石灰を大量に投入することで河川水のpH値を中性にする「吾妻川総合開発事業」を1957年(昭和32年)より始められました。

品木ダムはこの草津中和工場の下流に建設され、ダム湖である上州湯の湖で炭酸カルシウムと硫酸・塩酸を化学反応させて中和を促進、河水を中性にすると同時に石灰の攪拌(かくはん)・沈殿を行い、吾妻川の水質は大幅に改善され、「死の川」の汚名を拭い去ることが出来たのです。
ところが、この品木ダムの成功により吾妻川の水質が改善された事で、八ッ場ダムの計画が推進されることになります。
されはともかく、品木ダムは、完成以後石灰水を貯水し続けたために、完成から40年以上が経過した現在、堆砂率は79.8%と、石灰で満杯状態となっています。品木ダムの寿命もあと僅かなので、品木ダムの若返りをすすめていく必要があります。

また、品木ダムの堆積物にヒ素が高濃度にあることも、問題となっています。下流に流すはずのヒ素が、品木ダムで貯めてしまっているせいでしょうか?
つづく。
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posted by マネージャー at 23:29|
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六合村
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