実は私は、毎年、10月連休後に、北アルプスに登って北アルプスの現状を調査し、最近の山情報を仕入れています。なぜ10月連休後かと言いますと、一年で最も晴天率の高い日だからです。10月10日の体育の日は、一年を通して晴れの多い時期とされ、10月10日にオリンピックの開会式が行われたのも、この時期の気候が考慮されてのことです。ですから、この連休の後も晴れが多いのですね。ただし、北アルプスは微妙な時期で、初冠雪で真っ白になることもおおく、多くの山小屋が10月中旬に店じまいするのも、この時期でもあります。
そんなことは、どうでも良いとして、今年も北軽井沢ブルーベリーYGHは、4日間の休館日を設定し、夫婦で北アルプスに向かうことにしたのですが、最悪なことに私は五十肩になってしまっていました。
五十肩とは、腕が上がらなくなる病気で、物が持てなくなります。着替えも一人では出来ないし、ザックを背負うことも難しくなる。もちろんハシゴの上り下りにも困るし、ロープや鎖を持つことなどもってのほかです。ストックだって使えなくなってしまう。
よーするに岩場を歩けなくなる。
で、北アルプスといえば『岩場』が代名詞のような所です。
どの山も岩場無しに登れる山はありません。
つまり五十肩の人間が登れる山ではないのです。
しかし、私は過去に、そういう山に、老人・義足の人・初心者・高所恐怖症の人を連れて行ったことがあるのです。絶対に無理だと言われている人たちを、難かしい山に登らせたことがある。で、考えてみました。
五十肩になってしまった。
そして左腕が使えない。
つまり今の私には、ハンデがある。
そのハンデを背負った今こそ北アルプス縦走に登ってみるべきではないかと。
私は過去にハンデをもった人を何人も連れて行った。
その時は
「大丈夫だよ」
と言って連れ出していたわけですが、私に騙されて連れられていった人の気持ちは、本当のところ分からなかった可能性がある。それを知り得るチャンスは、五十肩で片手が使えない今しかないのですね。そう思うと、どうしてもチャレンジしてみたくなりました。ハンデをもつ人の気持ちを実感したいと。
(左の彼女も、片足が不自由なのですが、気軽に連れて行ってました)
(でも、どういうふうに大変かは、本当のところ実感できてなかった可能性があった)
いつもの年なら涸沢ヒュッテに泊まって休暇で四方から集まってくる山小屋スタッフたちから最新情報を仕入れるのですが、今年は、それを断念し、片手(五十肩)のハンデで北アルプス縦走してみることにしました。候補のルートは、3つ。
1.奥穂高岳から西穂高岳の縦走ルート ★★★★★
2.槍ヶ岳・大キレット・北穂高岳のルート ★★★★
3.北穂高岳・奥穂高岳・前穂高のルート ★★★
この中で1番のルートが一番魅力なのですが、テント泊になってしまう。これは止めました。やはり宿を経営している者としては、山小屋にも泊まってみたい。そして色々と勉強させてもらいたいからです。そうなると、2番か3番のルートになりますが、天候によってどちらをとるか現場で判断して出発することにしました。
10月11日の連休最終日。
御客様を全員送り出して、
大急ぎで部屋掃除をし、
荷造りをし、準備完了したのが、夜の19時。
水をとめ、火の元をとめ、出発したのが19時30分頃です。
つづく
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