2011年02月01日

ユースホステルは甦るのか?19

ユースホステルは甦るのか?19

 初期の頃の日本ユースホステル協会というか、中山正男氏は、大きな風呂敷を拡げるのが好きだったようです。公営ユースホステルを飲み込んだのもそのためだったようです。利用者の便宜をはかるためでもあったでしょうが、公営ユースホステルの有る無しでは、統計が違ってくるのです。年間の総宿泊利用者数が違ってくる。

 中山正男氏は、何でも一番が好きだったので、利用者の数、会員の数、ユースホステルの数が多いのが好きだった。で、公営ユースホステルを飲み込むなどの努力の結果、世界で2番目のユースホステル大国になったわけです。一番は、ユースホステル発祥の地であるドイツです。ドイツは、国ぐるみでユースホステル運動に力を入れているので1番。そして2番目が日本です。

 ここで重要なことは、1番と2番が第二次大戦の敗戦国だったという事実です。
 しかも2番が有色人種の国だった。





 ユースホステルの発祥はドイツであると言っても、ドイツは第二次大戦以降、しばらくは国際ユースホステル連盟に加入もさせてもらえませんでした。連盟の本部は、イギリスにあるのです。ドイツは、ヒトラーの時代に国際ユースホステル連盟を脱退しています。そのドイツが1番になった。国際ユースホステル連盟の会長もドイツ人が就任した。そして日本が2番になった。国際ユースホステル連盟の副会長に横山祐吉氏が就任した。

 これは、当時の状況から考えると凄いことなのです。

 これは、今の若い人には分かりにくいことかもしれませんが、第二次大戦も人種差別は凄かったのです。うちの嫁さんは、1972年生まれですが、その1年前までアメリカでは黒人に選挙権は無かった。横山祐吉氏が戦後の青少年運動指導者としてアメリカ視察に行ったとき、黒人のレストランに入ったわけですが、ものすごい大歓迎された。
「どうしてだろう?」
と不思議に思っていると、店のオープン以来はじめて黒人以外の人間が入店したからです。そのぐらいに世界中の人種差別は凄かった。

 東京オリンピックのときなど、はじめて大半の選手が閉会式まで帰らなかった。これはオリンピック史上初のことで閉会式には、世界中の選手が喜びながら入場してきた。日本のオリンピック関係者たちは「何故だろう?」と不思議に思って選手たちに聞いてみたら、彼らはこう答えました。

「日本人は有色人種の俺たちと、なんの偏見もなく握手してくれる」

 スポーツの世界でも、このくらい人種的な偏見は強かった。





 そんな中で、ましてや敗戦国の日本は、ものすごく肩身が狭かった。
 敗戦国というだけで世界中からバッシングされた。
 たとえば、戦後間初のオリンピックには敗戦国には参加資格を与えられなかった。
 ブリュッセルの南極観測の会議では
「なぜ日本がここに いるんだ。敗戦国日本には国際舞台に上がる資格はない」
と非難されました。

 それに反発した日本が南極観測参加に申し込んだとき、日本に割り当てられた観測場所は、南極東部のプリンス ハラルド海岸というアメリカ・イギリスなどの戦勝国が、7回も上陸を試みて失敗している場所を日本に押しつけてきた。アメリカ海軍の報告書には、接岸不可能と記されていた場所でした。よーするに、そういう嫌がらせさせられたわけです。しかし、その絶対に上陸不可能と言われたところに第一次越冬隊は上陸して、世界中を驚愕させる観測データーを持ち帰った。日本は、こういう差別と戦っていた。





 もちろんドイツも敗戦国だった。
 しかし彼らは人種差別されることはなかった。
 そういう世の中で生きてきたのが中山正男氏であり横山祐吉氏だった。
 これがわかってないと中山正男氏が大風呂敷を拡げる理由がわからないかもしれない。

 中山正男氏には、ユースホステル運動をもって世界に日本の国威を示そうという気概があった。横山祐吉氏に、それがあったかは定かではない。しかし、あったと思う。で、何をしたかというと、日本でユースホステルの国際会議を開いた。飛行機をチャーターしてホステラーをじゃんじゃん海外に送り込んだ。そして大儲けして、その資金を国際ユースホステル連盟に対するロビー活動に使った(のではないかと言われている)。


 そして、横山祐吉氏らは国際舞台で大活躍をするのです。しかし、どんな活躍をしたのかが、今ひとつ分かっていません。しかし、大活躍したことは間違いない。というのもドイツユースホステル協会が、横山祐吉氏を特別扱いしているからです。横山祐吉氏の墓が、リヒャルト・シルマンの墓の隣にあるからです。

 これは、ものすごいことであり、この事実を現在のドイツユースホステル協会の関係者の大半が、知っています。ウィルヘルム・ミュンカー(ドイツユースホステル協会の産みの親)の墓が何処にあるのか知らないドイツユースホステル協会の人も、横山祐吉氏の墓がリヒャルト・シルマンの墓の隣にあることは知っている。そういう人に私は何人も出会っています。つまり、そのくらい横山祐吉氏は、ドイツで知られている。


ウィルヘルム・ミュンカーの墓
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リヒャルト・シルマンの墓
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横山祐吉の墓
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つづく

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posted by マネージャー at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ユースホステルの話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高峰山スノーシュー

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今回のメンバーです。

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小さなキツツキ、コゲラを発見。

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頂上です。

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posted by マネージャー at 03:02| Comment(5) | TrackBack(0) | 高峰山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする