2011年12月15日

殿様の通信簿

うちの嫁さんは、イケメン俳優好き。
歴史嫌いの、うちの嫁さんが、珍しく「忠臣蔵」は好きだったことが判明しました。
イケメン俳優が大挙してでていた「忠臣蔵」をみたらしい。
で、こんな事を言ってきた。

「浅野内匠頭って、親父ギャグに切れたんだよね?」
「はあ?」
「おまえのは、武士道ではなく、鰹節ドーだと言われて頭に来て切りつけたんでしょ?」
「えええええええええええええええ?」
「ドラマでやってたんだけれど」

 そんな話は聞いたことがない。
 しかし、それで会話を切ってしましては、歴史ファンの名折れなので、こう切り返しました。

「志村けんのギャグで、バカ殿シリーズってあるよね」
「うん」
「あれ、モデルがいるんだよ」
「本当?」
「誰をあろう浅野内匠」

 すると、今度は嫁さんが

「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ?」
「いや、本当さ」
「ドラマじゃイケメン俳優が・・・・・」
「ところが実際は、志村けんのバカ殿シリーズそのもの」
「うそでしょ? 証拠あるわけ?」
「あるある、おおあり! しっかり証拠が残っているし、歴史の本にも分かりやすく書いてある。たとえば、この本を読んでみな」




 浅野内匠頭は、無類の女好き。美女を差し出す人間を重用し、政務を放り出して、夜昼となく酒色にふけっていた。そのうえ政治は家臣に丸投。藩政は大石内蔵助がおこなっていた。だとしたら、あのリーダーシップもあたりまえ。しかし、この大石も評判は悪く「土芥寇讎記」によれば、大石らは女色にふける主君をいさめない不忠者とされています。

 さらに浅野内匠頭の評判記では、内匠頭が下女に非道のことをしたので、いずれ改易になるだろうと噂されていることが書かれている。松の廊下以前にも内匠頭は何回も暴力事件を起こしていた問題児だった可能性もあるのではないかとも言われている。さらに内匠頭の母の弟は、松の廊下に先立つこと21年前に、芝増上寺での将軍家綱の法事で、同役を刺殺している。よーするにバカの一族ということ。

「ほら、完全無欠な志村けんのバカ殿シリーズそのものでしょ?」
「うーむ、これを知ってたら忠臣蔵に感動はしなかった」
「でしょ?」
「家臣こそ、いい迷惑だわ」
「いや、その家臣だって、たかだか四千石の旗本。つまり家来もいない小さな家に、四十七人で乗り込んで惨殺したわけだから、弱いものいじめもいいところでしょう」
「うーん」

 嫁さん、ちょっとショックをうけていたらしい。
 イケメン俳優に騙された報いを受けたようで、ちょっと溜飲がさがった。


つづく。

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ラベル:殿様の通信簿
posted by マネージャー at 10:11| Comment(5) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする