灯油を入れる
面白いことに気がついた。嫁さんが石油ストーブやファンヒーターへの灯油の給油をしないことである。全くしないと言うことではない。気がついたら私がやるので、ほとんどやらないのである。逆に私は、こまめに気がついたら灯油をストーブに給油している。
これは嫁さんだけではなかった。御客さんの中にも、石油ストーブやファンヒーターへの灯油の給油を嫌がる人は多かった。ある御家族は、ストーブの灯油が残り少なくなると、コタツで家族全員でジャンケンして負けた人が灯油を入れるというバツゲームをしているらしい。
「ええええええええええ? そんな面倒なことする暇があったら自分で入れればいいじゃないですか!」
「いや、それが億劫だからジャンケンするんです」
「私はジャンケンの方がめんどくさいなあ」
灯油入れがバツゲームという感覚は、私にはない。
だから理解しがたい。
そもそも私は雪国で育ったために、ストーブに灯油を入れることを億劫だと思ったことがない。6歳くらいから日課のように入れていた。そしてマッチで火をつけていた。昔のストーブはマッチでないと火がつかなかった。灯油を入れ、マッチをつけることは、子供のころの一種のステータスみたいなものだったので、喜んでストーブに灯油をいれたものだった。
だいたい灯油を入れることなんて、薪で風呂を沸かしたり、ストーブをつけることに比べれば、労力でもなんでもない。幼児の頃は五右衛門風呂だったし、樽式の薪風呂だったこともあった。今でこそ段ボール箱が全盛になっているが、昔は木箱だった。みかんを買うと木箱に入っていた。それを分解し、釘を抜いて風呂の燃料にするのである。1960年代の家庭は、みんなこんなものだった。
それはともかくとして、夫婦で自営業をしながら生活すると、
夫婦で優先順位の違いがめだってくる。
例えば、洗濯物。これは、私が積極的に行うので、いつのまにか私の仕事になってしまった。私は洗濯物を溜めておけない性分なのだ。なぜならば、ためておくと臭いが発生するのと、花粉症のためにダニなどのアレルゲンに我慢できないからだ。これは灯油入れと一緒で、主に私が行っている。
その逆に部屋掃除は、嫁さんが積極的にするので、いつの間にか嫁さんの仕事になった。私からしたら、はやめに掃除しても御客さんがチェックインするまでにホコリがたまってしまうので、ギリギリに掃除しようと思っているのだが、うちの嫁さんは、それが我慢ならないらしい。御客さんが帰ったらすぐに掃除をはじめてしまうので、いつの間にか嫁さんの仕事になった。
皿洗いは、私が主にやっている。嫁さんは、手荒れになるせいか皿洗いを嫌うが、私は皿洗いをすすんでやるので、皿洗いは私の仕事になってしまった。私が皿洗いする理由は、飲食店に勤めた経験から皿洗いの重要性が身についてしまっているからだ。調理人は、皿に残ったものをみて本日の料理の反省ができるからである。
受付は、嫁さんが主にやっている。レジも嫁さんである。電話も嫁さんがメイン。嫁さんはドコモショップの副店長をやっていた関係で、接客とCSを徹底的にたたき込まれている。私は、職人気質のために無愛想なので御客さんから逃げることもおおい。だいたいレジの操作からしてよくわからない。なので、いつの間にかレジも嫁さんが行うようになってしまった。
もちろんボイラー・水道・電気・空調・凍結防止・防虫駆除・車の整備・ホームページ操作などは私がやる。これは嫁さんは、最初から逃げている。そのために私の仕事になる。最初は、このあたりで夫婦喧嘩がおこりそうになった。例えば、私が部屋にこもって数時間もインターネットをやっているとサボっていると思われるからだ。
しかし、
インターネットを駆使して、
100万の見積もりをだされたボイラー設置が、
たったの7万円ですむことに成功すると、誤解も解けた。
自営業は、金を稼ぐだけが能ではない。いらぬ出費を抑える事が大切であり、そのために一晩でも二晩でもインターネットでがんばる必要があることを女性は、なかなか理解しにくいらしい。そういう作業よりも「目の前の仕事をしろ!」と言いたくなるらしい。しかし、3回くらい私が大きな鉱脈を掘り当てると、もう何も言わなくなってしまった。かくして夫婦分業の世界が確立されていくのである。
つづく。
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posted by マネージャー at 23:14|
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