以前、日本ユースホステル協会の理事長・事務局長・事務局の人と、民営ユースホステルの集まりで、話し合いがもたれたとき、すごいデーターを聞いたことがあった。日本ユースホステル協会の会員に、80歳以上の人が何十人もいるというデーターがあったのである。最高齢は、90歳以上であった。
当時、ユースホステル協会が発行していた雑誌『とらいべる』の表紙には、モデルの若い美人女性の写真がデカデカと載っていたが、私は
「もし80歳以上の御老人が、何人も会費を払いつづけてユースホステルを使って一人旅をしているなら、機関誌『とらいべる』の表紙は、その人たちで飾るべきだし、その人たちの特集を組んで、我々が元気をもらえるようにすべきだ」
と私は提案した。
しかし、事務局の方の返事は、さえないものであった。
「このデーターにある方のほとんどは、終身会員の方で、毎年会費を払っているわけでもありません。はたして今でも一人旅をしているのか、わかりません。もちろん生死もわかっていません。だけど終身会員なので、お亡くなりになったという御連絡ないかぎり、雑誌『とらいべる』を送りつづけているわけです」
ああ、なるほど。
終身会員か。
5万円払うと、死ぬまで会員でいられるやつね。
じゃあ、寝たきりでも、
全く旅をしてなくても、
ユースホステルの会員のままなわけだ。
そうだよなあ。
80歳以上で一人旅する人が、ゴロゴロいるわけがないよなあ。
現に、うちの宿にも泊まりにきてないなあ。
と、勝手に納得してしまった。
ところがである。その勝手な納得を最近、ひっくり返されてしまったのである。80歳すぎた一人旅の人がやたらと泊まるようになったのである。85歳のお婆ちゃんは、かれこれ20回くらい一人で泊まりに来ている。もちろん携帯など持ってないので、電話する時は、喫茶店でお茶を飲むかわりに電話を借りて宿に連絡してくる。そういう御客様が増えてきている。
で、今日は、もっと驚いた。
80近い人が、東京から自転車でやってきたのだ。
そして15時頃にチェックインをして、
まだ元気をもてあまして、
庭にいる愛犬コロと遊んでいる。
元気のかたまりである。
さすが、日本の経済をひっぱってきた世代は違う。
スーパーマンといってもよい。
つづく。
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