2015年04月19日

近所に住んでいるお客さん

 30 kmも離れてない市町村のお客さんが、よく家に泊まりに来る。その人が、
「こんなに近くから泊まりに来る人間は、私ぐらいしかいないでしょうね」
と自嘲気味に笑っていた。

「いやいやそんなことないですよ」

 実は、家に泊まりに来たお客さんで、最も近くに住んでいた人は、 100メートルも離れていなかったのが最短距離のレコードである。近くに別荘を持っているお客さんだった。いつもは別荘にとまってるのだが、人数があぶれてしまうと家に泊まる。定住者に限って言えば、10キロも離れてない同じ村内に住んでいるお客さんも泊まりに来ている。お嫁さんが息抜きに泊まりに来るケースもあれば、ホテルの寮から抜け出して泊まりに来るケースもある。みんな命の洗濯をしに来ているのだ。

 これは宿屋を経営するまでわからなかったのだが、宿に来る人たちは、必ずしも旅先で泊まる所として利用しているわけではなかった。ただ泊まりに来る人も多かった。体の疲れを癒しにくる人も多いのである。そういう人たちをみてわかった事は、本当に疲れている人は、車で遠くに移動するのも億劫になっている。だからリーズナブルな価格で、疲れを癒せる宿が近くにあったら、そこに泊まりに来るケースも多いのである。宿屋を始めてその事実を知って驚いたものだ。

 同じ村内の嬬恋村に住む人が泊まりに来るケースも多いが、軽井沢町、小諸市、佐久市、東御市、上田市などに住んでる人も、泊まりに来ることが多い。どの市町村も車で1時間の距離だが、よく泊まりに来る。そして「浅間山の反対側を見に行きました」と言うのである。浅間山の南側は、人口が密集してて癒されないのだそうだ。だから浅間山の北側に来て、早朝にのんびり牧場を散歩をしたいらしい。そのためにうちの宿に泊まりに来るのである。

 宿を始める前は、お客さんの大半は遠くから泊まりにくるものだと思っていた。しかし実際に開業してみると、必ずしもそうではないのである。遠くに出かけるから宿に泊まらなければならない、つまり必要に駆られて宿泊するお客様ばかりではなかったのだ。

 あと意外だったのが、前橋や高崎から泊まりに来るお客さんも多かったことだ。前橋は高崎は暑いのだ。夏の暑さを避けるように、うちの宿にやって来ていた。軽井沢町、小諸市、佐久市、東御市、上田市から来る人たちのほとんどが一人旅であるのに対して、前橋や高崎から来るお客さんの大半がファミリーだった。とにかく涼しければそれでいいというご家族もいれば、ハイキングを目的に来るご家族もいる。あくまでもハイキングが目的なので、無理して遠距離に出る必要性はないのかもしれない。

 去年の夏は、大勢の新規のお客様がきてくれたわけだが、その3割ぐらいは群馬県内のファミリーのお客様だった。去年の夏は猛暑ですごかったので、手っ取り早く涼しいところに逃げ込もうとして、北軽井沢の宿を選んでくれたのかもしれない。また、平日には宿屋のオーナーが泊まりに来たりする。こうなると同業者同士で話が盛り上がる。ホテルの営業さんなんかも泊まりに来る。カメラマンや、登山ガイドさんや、遠足の下見に来る学校の先生なんかもいる。私から情報を仕入れるためである。ガイドの仕方を教えてくれということで何泊か泊まっていったガイドさんもいた。その時は私がガイドさんの先生をしたものだ。人形劇団とか、ビジネスマンも多い。中には、不動産を探しに来る人もかなりいる。その中の何人かは、今はご近所さんとなっている。

 印象深い思い出は、嬬恋村出身者の同窓会をうちの宿で行った時にである。全国に散らばっていた嬬恋村出身者が、北軽井沢ブルーベリーを貸し切って同窓会を開いた。私は、みんな嬬恋村出身者だと聞いてなかったので、彼らを相手に嬬恋村の説明をしたり、星空を案内した。みんなものすごく熱心に聞いてくれたので、調子に乗って夜の浅間牧場や、鬼押し出しのあたりを案内した。しまいには二度上峠まで案内した。素晴らしい星空に皆さん感動していた。後で、嬬恋村の出身者だと聞いて腰を抜かしたが、その後にもっと驚いた事は、地元民は、意外に地元の事を知らなかったということである。だから、私の作ったホームページをみて、ここで同窓会を開くことにしたらしい。どうりで反応が良かったわけである。

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つづく。

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posted by マネージャー at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする