息子が2歳0ヶ月になったときに、ひらがなを覚えさせる実験をした事は前に述べた。ひらがな積み木を使った。ひらがな積み木とは、表にリンゴの絵が描いてあり、その裏に「り」という文字が書いてある積み木である。まず、りんごの絵を見せて、「りんご」と言わせる。これを50音全部言わせる。1週間ぐらいで、すべてマスターする。その後に「り」の字を見せて「りんごのり」と教えるのだ。りんごを連想させて、「り」の字を記憶させる。これを毎日朝に30分、夕方に30分ぐらい遊びながらやれば、1週間ぐらいで、ひらがなをマスターするのである。
この方法を使えば、カタカナや数字も2週間くらいでマスターすると思われる。つまり、 2歳児ならば2か月もあれば、ひらがな、カタカナ、数字をすべて覚えられると言うことだ。ただし、忘れるのも早い。実は、これらの言葉を早く覚えさせても、あまり意味は無いらしい。
2歳で覚えても、 3歳で覚えても、 4歳で覚えても、その後の成長に大した影響を受けないらしい。というのも、幼児は 3歳になる以前の記憶をすべて忘れてしまう傾向にあるからだ。まだ前頭葉が完全に発達してないからだと言われている。
なので、ひらがなを覚えさせることをやめてしまった。
何年か前に読んだ脳科学の本では、 2歳でひらがなを覚えさせても、 4歳になってからひらがなを覚えさせても、その後の学力に変化がないことが書いてあったからだ。だから、ゆっくり文字を覚えさせることにしたのである。
あまりにも早く勉強さすことの害毒を
私は自分の体験から知っている。
勉強は、ゆっくりでいいのである。
今はひたすら野山で遊んでもらった方が良い。
そう考えていた。
言葉よりも、もっと大切なものがあるからだ。
それは心と体の健康である。
そう思って、文字の勉強やめさせてしまった。
ところがである。
皮肉なもので、そうは問屋がおろさなかった。
息子が朝起きると、どどどどと、ひらがな積み木のところに走っていくのである。そして、それを手に取って私のところにやってくるのだ。そして、私にひらがな積み木を差し出すのである。私が勉強やめさそうとしても、息子の方でそれを許さないのだ。
しかし息子が「勉強好き」という事は絶対にありえない。
私の遺伝子を受け継いでいる限りは、ありえない。
それは保証できる。
ではなぜか?
考えられることとして、
「息子は、親子で共同作業(ゲーム)をしたがっている」
と、言う見方をした方が自然である。
でないと、あれほど喜んで、ひらがな積み木を持ってくる理由がわからない。
そもそも 2歳になる以前に、ひらがな積み木を渡したとしても、勉強する気配はなかったと思う。それを使って 1人遊びをした可能性が高い。積み木を放り投げたり、破壊したりする行動をとった可能性が高いのだ。現に、絵本を与えても破り捨てることが多かった。
ところが、 2歳になると同時に、 1人遊びではなく、親とゲームをする方を選ぶようになってきた。ひらがなを覚えるための絵本を与えても、親に渡して、ゲームをするように要求してくる。ひらがな積み木も、一人で放り投げる遊びよりも、親との共同作業をしたがる。親が積み木を使ってクイズする方を喜ぶ。
もちろん、親と一緒に積み木を組み立てるのも大好きなのだが、ひらがなを当てるゲームの方を、より喜ぶようになってきた。積み木による親子の共同作業よりも、積み木による親子のコミュニケーションの方を好むようになってきたのだ。
長い話をしてしまったが、ここから本題に入りたい。
何を隠そう私は宿屋をやっている。
なので息子のおもちゃの1部をロビーに置いておいた。もちろんひらがな積み木も置いてある。当然のことながら、それを使って親子で遊ぶお客さんたちも多い。 2歳児のお父さんお母さんに多いようだ。他にもおもちゃはあるのだが、どういうわけかお父さんお母さんは、ひらがな積み木を選ぶのである。まず、このことに驚いた。
私が見たところ、旅先で勉強させたくて、ひらがな積み木を選んでいるのではなさそうだ。本能的に、 2歳児のお子さんが、それを喜ぶ事を知っているような感じなのである。よくよく聞いてみると、お父さんお母さんたちも、幼児の頃にひらがな積み木で遊んだ記憶があるらしい。その潜在意識が蘇って、 2歳児のお子さんと一緒にゲームをするようなのだ。
もちろんひらがな積み木で遊ぶ2歳児のお子さんには、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいたりもする。そのお兄ちゃんお姉ちゃんたちは、傍目で見ていてもコミニケーション能力が高いのである。もちろん、私が接した親子のお客さんの数は少ないので、統計のサンプルとしては不十分かもしれないが、 2歳児のお子さんと親子でひらがな積み木で遊ぶ家のお兄ちゃんお姉ちゃんは、挨拶もよくできるし、空気を読む能力が高いように思う。そして礼儀正しいのだ。
それを考えると、2歳児が親と一緒に、ひらがな積み木でひらがなを覚えるように遊ぶ行為は、ひらがなを覚えることよりも、親子でゲームすることに重要な意味があるのではないだろうか? 親とゲームをすることによって、コミニケーション能力を高めていく。そこが重要なのかもしれない。文字を覚えるのは、その副産物であって、本当に大切なことは、親とコミュニケーションの練習をすることなのかもしれない。
そう考えると、どうしても子犬の成長段階のことを思い出してしまう。生後2ヶ月の子犬も、飼い主とゲームをするか否かによって、その後の成長に大きく変化が出てしまうからである。現に、私は愛犬コロを生後2ヶ月から、庭先にはなして盛んにゲームを行った。おかげで、ろくに躾もしてないのにアイコンタクトで、ある程度のコミニケーションを取れるようになった。
うちの犬は、どのドッグランに行っても、いちばんよく走るし放置すれば1時間でも2時間でも走っているのだが、帰るそぶりを見せると、素直に一緒に帰ってくれる。まぁ犬種の違いもあるのだろうが、同じ犬種でも飼い主の言うことを聞かない犬もいるので、やはり子犬の頃に、一緒になってゲームをしたのが大きかったと思うのだ。
まあ、それはどうでもいいとして、2歳児にとって、このうえなく楽しいこと。そして必要なことは、親子でゲームすることかもしれない。その親子によるゲームによって、人格が形成される可能性が高いのではないだろうか? それが、たまたま「ひらがな」の暗記に繋がっているのかもしれない。
そういう意味では、小さい頃から絵本の読み聞かせをすることは、大切なのかも知れない。子供は、必ずしも読書好きにならないかもしれないが、絵本の読み聞かせをすることによって、コミュニケーション能力が高まる可能性がある。その後の子供の人生を変えるかもしれないのだ。
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