2015年06月25日

松浦武四郎と知床日誌と佐渡日誌

 昨日は、松浦武四郎がテレビの番組で紹介されていた。
 私が知る限り、史上初ではなかったかと思う。
 これほどの人が、今まで紹介されてなかったというのは信じがたいことである。

 松浦武四郎のテレビ番組の中身についての是非はともかくとして、松浦武四郎と私は、少なからず縁がある。あれは今から20年以上も前のことである。下手したら25年以上前のことかもしれない。私は、知床山脈を縦走しようとして、または知床半島を歩いて1周しようとして、いろいろ調べていた。

 ところが、良い資料がないのである。縦走記録として有名なのは、本田勝一の北海道探検記に縦走記録があったか、これはほとんど役に立たなかった。そもそも彼らは失敗している。他にもいろいろ資料を国会図書館で漁ってみたが、ろくなものがなかった。唯一、知床の自然と言う大型の冊子が非常に良く出来ていたが、これでさえ、実際現地に行ってみると色々違っていた。後は知床博物館や、知床自然センターなど、いろいろなところに、資料を求めてみたけれど、不正確なものも多く、なかには明らかに間違いである情報を掴まされてしまった。もうすぐ21世紀になろうとしているのに、これほどまでに知床の情報がないのは不思議としか言いようがなかった。

 そんな中で発見したのが、松浦武四郎である。松浦武四郎とは、幕末の志士であり、海防家であり、北海道の探検家でもあり、北海道の名づけ親でもあるのだが、彼の書いた知床日誌が、非常に詳しいのである。しかも不思議なことに、昭和や平成時代の資料よりも詳しかったのだ。そして驚くべきことに、ほぼ正確であったのである。それは記述だけではなく、絵図においても正確無比であった。恐ろしいほどの記憶力とデッサン力である。

 例えば知床岬に到着した時に、水がなくて困っていたのだが、そういえば松浦武四郎の知床日誌に、あのあたりに水があると書いてあったなあと、出かけてみたら本当にあったので驚いた。地元民から、いろいろ間違った情報を教えられていただけに、松浦武四郎の情報力のすごさに舌を巻いた。

 ただし、 2カ所だけ事実と違うところがあった。 1つは、地震か何かで既に崩れてしまっている場所である。これは仕方がない。もう一つは、幕末の頃には、ちょっと海にも入れば、つぶ貝がザクザク取れると書いてあったが、実際は何も取れないのである。しかし、これは松浦氏武四郎の責任ではなかったように思う。

 知床半島には漁師たちの番屋がたくさんあるのだが、いろいろなところにベタベタするものが流れていた。まるでゴキブリホイホイのように、その液体は海に流れていて、うっかり踏んでしまえば、ゴキブリのように地べたに張り付いてしまうのだが、何の物質かと思いきや、漁師網に塗りつける薬剤であった。それを網に塗りつければ、網に魚介類が付着しないようになる化学薬品であった。いわゆる環境ホルモンというやつである。環境ホルモンによって、貝類が壊滅している可能性が高い。そのせいで松浦武四郎の頃と、海の中の生態が違ってきているようなのだ。つまり、松浦武四郎の記録は、ほとんど正確無比だったということである。彼の業績は、もっと評価されても良いであろう。

 関係ないが、その後、松浦武四郎の佐渡日誌を読んでみた。私は佐渡島で生まれているので、佐渡島のことなら大抵詳しい。なので、松浦武四郎が、佐渡島のことをどのように記録しているか、興味があったのである。そして読んでみて驚いた。佐渡島歴史のを定説をひっくり返すような事実が色々と書いてあるからである。

 江戸時代において佐渡島は、内地に対して鎖国状態であったと言われている。金山経営のために、幕府が佐渡の産物をよそに流さないようにした為だと言われている。これが一般的な歴史の定説である。ところが、松浦武四郎の佐渡日誌によれば、あちこちの漁村に回船問屋がたくさんあって、旅籠もたくさんあるのである。平成時代には、人間が居なくなった漁村にも、松浦武四郎の時代には大いに栄えていて、回船問屋や旅籠が複数あったのである。もし内地に対して鎖国状態であったと言われているのなら、矛盾もいいところである。

 しかし、佐渡島の郷土史においては、松浦武四郎の記録との矛盾を研究している郷土史家たちが存在しているとは思えない。彼らは、あくまでも幕府の公式的な記録を重視しているのである。少なくとも私が調べる限りにおいては、聞いたことがない。私なら、あの正確無比な記録を書く松浦武四郎を重視しないという手はない。これから佐渡島の歴史を研究しようとする人がいるなら、その辺をつついてみると面白いものが発見できるであろう。若い研究者の諸君は、相川奉行所の公式記録よりもそちらの方が調べがいがあって面白いと思う。思わぬ発見をすること間違いないであろう。

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 もちろん佐渡日誌に限らない。彼は日本全国を旅行しているし、記録も残しているので、新しい発見が全国各地からなされるかもしれない。幕府や各藩の公式記録だけを追っていると、思わぬ落とし穴があるかもしれないのである。


つづく。

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posted by マネージャー at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする