今から3年前。私は、生後9ヶ月の息子を背負って愛犬コロと毎日のように小浅間山に登っていました。冬の小浅間山はマイナス10度。私は息子に聞かせるように歌いながら登っていました。雪が降りマイナス5度以上になると、うちの嫁さんは一緒に山にいかないので私と息子二人だけです。二人だけで冬山を独占しているので、誰にも遠慮無く歌声を張り上げました。
せつないことがあったなら♪
大きく叫んで雲を呼べ♪
それでも雲で覆えぬほどの♪
男は大きな宇宙(そら)になれ♪
嬉しい時は腹から笑え
笑えば嬉しい花が咲く
心を花でうすめてみせろ
女は優しい風になれ♪
苦しい時こそ意地をはれ
目をそらさずに雨を見ろ
泣かずに雨を集めてそして
男は大きな河になれ♪
寂しいのは一人だけじゃない
歩けば転ぶ怪我もする
そこで捨てたなら負けになる
男は大きな夢になれ♪
この歌は、映画化された下村湖人の「次郎物語」の主題歌です。
意味は分からないとは思いましたが、何度も息子に歌ってきかせました。
生まれたばかりの息子は、ほっぺは真っ赤、
強風や雪にもかかわらず、キャッキャと大はしゃぎ。
その小さな体が日増しにたくましくなってきています。
新生児を、生後3ヶ月頃から毎日のように山に連れて行ってる親は、
日本中で私だけかもしれません。
それもマイナス10度の冬山に。
山に登ると免疫力がアップすることはよく知られていますが、それは厚生労働省のホームページにも書かれてあります。2泊3日の森林滞在者は、2泊3日の都市部旅行者よりも56パーセントのNK細胞活性を再現しており、30日後もNK細胞活性が一定レベルで継続していることが判明。また、犬などのペットも赤ちゃんの免疫力を高めることは、よくしられています。犬をペットにしている家庭で家庭で育った赤ちゃんは、咳をしにくく、耳の感染症にもかかりにくいそうです。
息子が生まれたのは、2013年の3月26日。
あれから3年たっていますが、
今年は、3つの百名山を3歳の息子と一緒に登りました。
四阿山・浅間山・八ヶ岳。他に湯の丸山・烏帽子岳・根子岳・黒斑山・駕篭ノ登山・水ノ塔山・浅間隠山・鼻曲山・破風岳・離山・小浅間山にも登っています。もちろん親の手は借りずに自力で登っています。
と書くと、どうせ親が背負って登ったんだろうとか、半分ぐらいは親が手伝ったんではないか?と信じない人が多い。しかし私の仕事は宿屋で行事として登山ツアーをしています。3歳の息子もお客さんと一緒に駕篭ノ登山・浅間隠山・鼻曲山・黒斑山など自力で登ってお客さんを驚かせています。
八ヶ岳(赤岳)に登ったときは、山屋さんたちに「3歳児が自力で赤岳に登っているらしい」と言う情報が流れて、わざわざ別ルートから私たち親子を見学しにくる人たちもいました。
四阿山でも地元の知り合いとばったり出会って驚かれましたし、黒斑山・烏帽子岳・水ノ塔山でも森林パトロールに出会って驚かれています。根子岳では、驚いた中高年の団体が距離をとりつつも、ずっと一緒についてきました。
宿をやっている関係上、私が息子を連れて山に登るのは平日ですからリタイヤした65歳以上の高齢者の登山家たちが登っています。で、うちの息子が自分の力だけで山に登っている姿を見て非常に驚かれます。
山に登り続ける高齢登山者たちも、若い頃には生まれたばかりの息子を背負って山に登っている。生後6ヶ月ぐらいの赤ちゃんを背負って北アルプスに登っている。それは山登りが好きな人にしてみたら珍しいことではないらしい。
しかし、その背負われてる3歳児が、実際自分の足で歩くかというと、そうではないらしい。10歳ぐらいになれば、山に登ることあるけれど、3歳児が山に登ることはなかったというのです。
いろいろ工夫してみて、自分の息子や娘に、山歩きをさせようとしても嫌がって登らなかったらしい。すぐおんぶしたりダッコしたりで、ついに自力で登ることはなかったらしい。そういう話を私は何度も高齢登山家たちから聞かされました。
で、どうやって3歳児が自分の力だけで四阿山や八ヶ岳の頂上に連れて行くことができたんだ?と、言う質問をたくさんいただくようになったんですが、質問する人の多くは、スパルタ式で山に連れて行ったんだと勘違いしていました。
子育てに苦労してるお母さんなら分かるかと思いますが、
3歳児をスパルタ式で山に連れて行くなんて不可能です。
スパルタ式では絶対に自分の力だけで山には登りません。
3歳児は煩悩の塊。
どんなに怒っても尻をたたいても、
山どころか50メートルの高さの丘も登りません。
スパルタ式では無理なんですよ。
せいぜい10メートルぐらいの丘なら泣きべそかきながら登るかもしれませんが、
標高三千メートル級の高山に登れるわけがない。
幼児は、嫌いなことは絶対にやらない。
殴って怒鳴っても20分と長続きしません。
浅間山・四阿山・八ヶ岳といった百名山は、
8時間以上歩く必要がありますから、スパルタ式で登れるわけがない。
本人が楽しくなかったら絶対に登りません。それが幼児なんです。
ではどうすればいいか?
そのヒントは脳科学者の本に載っています。
脳科学を応用して子育てをすると、ほぼ百パーセントその通りの結果になってしまう。これが教育学者のいう通りやったところで、教育学者の言うような子供にはならない。
しかし脳科学者が行った実験は、そのまま私の息子にも当てはまる。恐ろしいほどピシャリと当てはまってしまう。生後45日目に、嫁さんの実家から息子が我が家にやってきた時、アンドルー・メルツォフ博士の実験をしてみました。その実験方法は、新生児の前で舌を出す。これを何回か繰り返すだけです。実験では赤ちゃんがすぐに真似をすることになっています。
で、私もやってみたら10分ぐらいで真似をした。他にも、いろんな脳科学者たちの実験をやってみましたが全て当てはまってしまう。しかし教育学者の言うことは、必ずしも当てはまらない。もし当てはまっていたら、日本の学校教育はもっと良くなっているはずですが、そのようになってない。
つづく。
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