この山は、私にとってはかなりお気に入りの山です。春から秋にかけては毎日ここで犬の散歩をしているくらいです。なので、この山は私にとって庭先のようなもので、今では目を閉じても登れてしまいます。なので熊には十数回であってますし、カモシカに至っては50%の確率で対面しています。ですから、熊・カモシカ・山鳥・テンなんかは少しも珍しくありません。しょっちゅう出会っているからです。
珍しいのは、人間の赤ちゃんや幼児です。赤ちゃんや幼児を連れて登山する人はさすがに少ないです。とはいうものの、まったくないという事はなくて、都会から来たであろう幼稚園バスが駐車場に止まっていて、幼稚園の先生が子供たちを連れて小浅間山に登っている姿は何度も見かけました。不思議なことに、それらの幼稚園バスは、地元民のバスではなく都会の幼稚園のバスです。どういうわけか、地元の幼稚園は、小浅間山に園児を連れて登ろうとはしません。こんなに素晴らしい自然があるにもかかわらず、これを活用しようとはしないのです。
まあそんな事はどうでもいいとして、今回小浅間山にスノーシューで登っているときに、 3歳10ヶ月の幼児を連れたお父さんに出会えました。 3歳10ヶ月といえば、うちの息子とほぼ同じ頃の生まれです。
「何月生まれですか? 」
「 3月14日生まれです」
「え?」
「ホワイトデーに生まれてるんです」
「それはそれは… 」
この日はマイナス10度ぐらいの寒さの上に、強風が山に吹き荒れていましたから、その中を登ろうとする訳ですからたいしたものです。うちの息子も、去年の今頃(2歳の頃)、冬の小浅間山に何度も登っていますが、幼児には結構ハードルの高い寒さなんですよね。そういうところにお父さんと2人でチャレンジしている訳ですから、大したものです。オンブもなし。抱っこもなし。肩車もなし。小さな3歳児は、マイナス10度の冬山を自分の力だけで登っていました。素晴らしいお子さんでありお父さんだと思いますね。
話は変わりますが、お客さんから
「お子さんは、素直に幼稚園に行ってくれますか? 」
と言う質問を頂きました。私は答えました。
「うちの息子は、最初から幼稚園が大好きなんです。今でもそれは変わらなくて、 3日ぐらい休ませると、自分から『幼稚園に行きたい』 と駄々をこねます」
「それはすごいですね、私の知り合いは、幼稚園に行きたがらないで、毎日のように駄々をこねています」
「なるほどねぇ。幼児用幼稚園好きにさせるちょっとしたコツがあるんですけれどね、普通のお母さんには、わからないのかもしれませんね 」
実は、小さいお子さんのいる親御さん達から、こういう質問を何度もされています。世の中には幼稚園や保育園に行きたがらないお子さんが多いみたいですね。そのたびに、お子さんを幼稚園好きにさせるコツを述べていますが、この際だから、このブログにも書いておこうかと思います。
子供を幼稚園や保育園を大好きにさせる方法は、とても簡単で、入園前に親子でアウトドアで徹底的に遊べば簡単に解決します。私は、息子が幼稚園に入る前に、氷点下5度から10度にもなる冬山に何度も一緒に出かけました。標高1,600メートルもある小浅間山にも何度も登っていますし、雪の積もっている浅間園を何度も散歩しています。軽井沢離山にもスノーシューを履いて何度も登っています。軽井沢おもちゃ王国で雪遊びもしました。
2歳児は、親と一緒にいるだけで大喜びですから、氷点下10度の山の中でも全く気にしません。それどころか、雪山の中で私が差し出すお菓子が目当てで、毎日のように「山に行きたい」とせがんできます。もちろん、雪山を歩く訳ですから、2歳児の息子にとっては苦しい毎日だったと思います。けれど親と遊べるという喜びと、その時にだけ食べられる美味しいお菓子のためなら、多少のことは我慢できたのでしょう。
やがて息子も3月26日の3歳の誕生日を迎え、そして4月になります。
こども園と言うタイプの幼稚園の入園式になります。 4月ですから春の陽気でぽかぽかと暖かくなります。幼稚園に入った息子は驚きます。幼稚園には、お父さんお母さんこそいませんが、たいして身体は使いません。マイナス10度の冬山で凍えることもありません。おもちゃを与えられて、山に登れなくとも、幼稚園では給食やおやつを無条件にもらえます。息子は、
『幼稚園は楽園ではないか? 』
と思ったはずです。
ちなみに、どの幼稚園でもどの保育園でも、入園したばかりの時は、慣らし保育と言って、 1時間とか2時間しか預かってくれません。息子の場合は、 4月末のゴールデンウィークまで2時間ぐらいしか預かってくれませんでした。当然のことながら、幼稚園から帰ったら山に連れて行きます。厳しいアウトドアが待っています。もちろん息子は、親と一緒にいられるので大喜びではあるのですが、親と一緒の時間帯には、必ず厳しいアウトドアがセットとなっている事に気が付きます。幼稚園とどっちが楽なのか、いくら鈍感な息子でも気がついたと思います。
また、時々 、息子に幼稚園を休ませて、標高2,100メートルの湯の丸山に連れて行きました。湯の丸山は、結構体力を使う山です。幼稚園のない日に、そういうところに連れていくわけですから、いやでも幼稚園の方が楽だということが分かってしまいます。もちろん親と一緒に山登りをして、頂上でお弁当食べる訳ですから、息子は大はしゃぎで楽しんではいるのですが、そういうことが2〜 3日続くと、布団で寝る時に
『明日が幼稚園に行きたい』
と、かわいらしい顔でせがんできます。その時に、優しそうな顔で言ってあげるのです。
「そうだね、明日は幼稚園に行こうね。しずか先生に会いに行こうね」
すると息子は嬉しそうな顔で
「明日は幼稚園に行こうね。しずか先生に会いに行こうね」
と何度も私の言ったことを復唱しながらゆっくりと眠りに落ちていくのです。
こうして私の息子は幼稚園と担任の先生が大好きになってきました。
こうなればしめたもので、
担任の先生もやりやすくなるので可愛がってくれるかもしれない。
これが、子供を幼稚園好きにさせるコツです。
つづく。
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