2017年02月28日

雪かきをする3歳児

 2月28日。今日で息子は、 3歳11ヶ月になりました。早いものであと1ヶ月で4歳になります。最近は、このブログの更新もサボってきましたが、これもまたすべて息子とのふれあいを何よりも優先してきたためです。思えば、 3歳児になった息子と毎日が真剣勝負でした。息子が誕生したころに、諸先輩方たちに、よく言われたのが、「3歳児ぐらいが1番かわいい」という言葉でしたが、当時は、その意味がさっぱりわからなかったものです。でも今ならわかります。 2歳児までは、子犬が可愛いという意味での可愛さだったんですが、 3歳児になると、確かにそういう可愛さは少なくなりますが、日々成長していく姿が見られます。それに感動してしまうのです。

 私が料理を作っていると、じーっと見ています。しばらくすると見てるだけではなくて、料理の真似事をします。タマネギの皮をむいたり、とうもろこしの皮をむいたりします。食器も洗うようになりましたし、洗った食器を拭くようにもなりました。はっきり言って邪魔ではあるのですが、邪険にするわけにもいきません。

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 あれは息子が2歳になったばかりの頃でした。油性マジックペンで壁に落書きをしたことがあったのです。当然のことながら私は激怒しました。そして息子は二度と油性マジックペンを持たなくなりました。ところがです。これが後々まで、悪い影響を残したのです。鉛筆や色鉛筆で、お絵かきをしない子供になってしまったんです。 3歳になって幼稚園に入って、みんなでお絵かきをする時も、息子だけクレヨンや色鉛筆を持ちたがらないんですね。これは私が、壁の落書きを強く叱ったために起きた現象だと思われます。

 どんな野生動物も、子供の頃に強く叱られると、叱られたことに対して非常に警戒心を持ちます。そのように、なってないと、すぐに天敵に殺されてしまうからです。これを進化的適応と言います。親にきつく叱られると、脳の1部が縮小して警戒心が強くなります。叱られない場合は、脳が発達して好奇心が強くなります。しかし警戒心がなくて好奇心ばかりが強くなれば、あっという間に天敵に殺されてしまいます。そういう意味では、人間の子供は、文明と大人たちに守られているので、警戒心よりも好奇心の方が発達する環境にありますから、他の動物に比べて脳が大きく育つ環境下にあるわけです。

 にもかかわらず、必要以上に厳しく子供に接してしまうと、好奇心が育たず、警戒心ばかりが強くなってしまい脳が萎縮してしまいます。その代表的な失敗例が、私が行った「壁に落書きした息子を強く叱った」行為による影響と思われる息子のお絵かき拒絶です。

 こういう結果になる事は、知識として知っていたし、さんざん勉強してわかっていたにもかかわらず、私はやってしまいました。客室が油性マジックペンで汚されたり、 30万円以上もするソファーを落書きされてしまったりして、頭に血が上っていちど激怒してしまいました。

 その後遺症は、想像を絶します。
 息子は積極的に絵や字をかかなくなってしまった。

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 そのような苦い経験があったので、 3歳児の息子が、親の真似をしだしたら、できるだけそれを褒めるようにしました。一緒に料理を作ったり、一緒に掃除をしたり、一緒にベッドメイクをしたり、一緒に雪かきをしました。もちろん邪魔ではあるのですが、決して邪険にはしません。できないのです。そんな事したら、警戒心を持ってしまい二度と雪かきをしなくなるでしょう。

 こういう事は、私たち人間よりも野生動物の方がよく分かっているようです。山猫・ライオン・ヒョウ・狼といった動物たちが、子育てしているときに彼らは滅多に子供たちを叱りません。じゃれて噛み付いてきても我慢しています。そこで叱ってしまったら、狩りのできない出来損ないの子供になってしまうからです。叱る時は、よく考えて叱っています。そして叱られた子供は、警戒心を持って、間違いを犯さないようにします。そうしないと、天敵に殺されてしまうからです。

 もちろん野生動物の子供たちも親を見て学習します。見よう見まねで狩りを覚えていきます。これは人間の3歳児でも一緒のようで、息子は本当に親の真似をします。お客さんが帰って掃除を始めると、後追いのように、親の後ろにくっついてきて、親のやることを見ています。そして見よう見まねでゴミを集めたりベッドメイクをします。正直言って邪魔でしょうがないのですが、根気強く教えていけば、ある程度できるようになってきます。そのうちに
「料理をしたい」
と言い出します。とはいうものの、お客さんの料理に参加させるわけにはいきませんから、まかない料理を一緒に作ったり、おやつを一緒に作ったりします。そして、料理の取り分けも「自分でやる」と言い出して、最後には、私たち親の分まで、取り分けるようになって、親の皿にいたるまで自分で盛り付けるようになります。しかも公平に盛りつけるようになってきた。

 こういう事は、 2歳児の頃にはなかった。 2歳児の頃はすべてが受け身でした。肉は切ってもらわないと食べなかったし、食事も取り分けてもらわないと食べようとしませんでした。でも3歳児になると、大人たちをじっと観察するようになり、積極的に大人の真似をするようになりました。そして、すべて自分でやるようになり、料理の取り分けや、盛りつけまでしたがるようになる。

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 もちろん親のお手伝いをするようになってきている。
 親が働いていると、それを手伝おうとする。
 何か役立ちたがってがんばり出す。
 こうなると本当に可愛いものです。
 子犬が可愛いという意味でのかわいさではなくて、
 日々成長していく姿が、頼もしく見えるかわいさです。

 話は変わりますが、今年は大変な異常気象です。 2月の半ばに春一番が吹くと思えば、翌日には氷点下15度まで寒くなることもあります。 1週間前の北軽井沢は、 5月とも思えるような暖かい日が続き、雨さえも降り続けました。当然のことながら雪解け水が庭一面を覆ったのですが、その後、すぐに寒気に見舞われてしまい、玄関から駐車情までスケートリンク上のように凍ってしまいました。その結果、つるんつるんになってしまって、危なくてしょうがない。愛犬コロさえ滑って転んでしまうくらいですから、お客さんの出入りも非常な危険な状態になってしまいました。

 まずいことに週末には、4歳から1歳の幼児たちが10人近く泊まりに来ることになっていました。小さな幼児たちが、つるんつるんに凍ってしまってスケートリンクのようになっている駐車場や玄関前で転んで怪我されても困るので、スケートリンクのような駐車場の氷をツルハシで砕き、それを手押し車に乗せて森の中に捨てる作業を5日間かけて行っていました。

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 そこに息子が幼稚園から帰ってくるわけですが、息子は家に入ろうとはせずに私の真似をします。私がツルハシで砕いた氷の塊を手押し車に乗せてくれます。そして一緒に手押し車を押しながら森の中に氷のかけらを捨てに行きます。幼児連れのお客さんのために、 3歳の息子が、黙々と雪かきをしたり氷を運んだりするわけです。それも毎日です。

 ありがたかった。
 目頭が熱くなるほどうれしかった。
 と同時に、本当にいとおしくなってしまった。

 しかし、息子は道徳心があって親の手伝いをしているわけではないんですよね。楽しそうに遊んでるだけなんですよね。本能に従って親の真似をしているだけなんです。ミラーニューロン(ものまね細胞)が働いて真似をしたくなってしまう。2歳児から3歳児にはそういうところがあるんです。私はそういう性質を利用して、息子に小学校低学年の漢字を全部覚えさせています。ひらがのもカタカナも九九も都道府県も覚えさせています。といっても勉強させているわけではありません。お風呂場で、私が漢字のポスターを読み上げると、息子が真似をする。ただそれだけの事をしているだけなんです。

 つまり、黙々と雪かきをしたり氷を運んだりする行為も、息子にとっては遊びの1部でしかないわけです。親の真似が、子供にとっての遊びの1部なわけです。もちろん今日も、私がツルハシで砕いた大きな氷を手押し車にのせて、せっせと森に捨てていました。楽しそうに捨てていました。幸せというものがあるとしたら、その瞬間を一緒に親子で共有している時間かもしれません。いや、全てが終わってスヤスヤ眠っている息子の寝顔をながめている瞬間かもしれません。



つづく。

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posted by マネージャー at 22:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする