2017年09月20日

汚れ無き悪戯 その5・イタズラといえば

汚れ無き悪戯 その5・イタズラといえば

 息子が2歳になって、自分で歩けるようになると、親はイタズラに悩まされます。これはしょうがない事なんですよね。子供は親の真似をするからです。まず最初に行う悪戯は、何から何までスイッチを見つけたら押すことです。子供が生まれるまで気がつかなかったことですが、我々の日常にはスイッチというものもたくさんあるんです。

 電動モーターでストーブに灯油入れてる時に、予約の電話か何かがかかってきて、ちょっと席を外すと、電動モーターのスイッチ入れられて、辺り一面が灯油だらけになっていることが何度あったことか。それも大抵が、チェックインの直前だったりします。もうこうなると時間との勝負ですから、ありったけのバスタオルを床一面に放り投げて灯油を吸い取ります。もちろんバスタオルは二度と使えなくなります。

 私も人間ですから、トイレに行くこともあります。息子のイタズラは、その時におきます。いろんなところにあるスイッチを押しまくるわけです。テレビ・ビデオ・電気・エアコン・パソコン・ストーブ・電子レンジ・トースター・換気扇・・・・。ありとあらゆるスイッチを押しまくります。夏に暖房のスイッチ。冬に冷房のスイッチ。ボイラーのスイッチを切られて、風呂に入ってた日には・・・・。

 でもこれは、まだまだかわいい方で、 三歳くらいになるともっと高度な悪戯を始めます。スイッチを回すということを覚えるんです。こうなってくると、非常に危険です。電子レンジに物を入れて、スイッチを回転させて実際に動かせるようになるからです。そうなると、電子レンジの中に入れるものによっては、電子レンジが爆発物になってしまうから厄介です。この前も、レンジの中に電球入れて動かそうとする息子を寸前で止めて事なきを得たばかりですから。もちろん料理中にガスの元栓を閉められたりもする。

 三歳くらいになると食洗機も使えるようになりました。脚立を使って、何でも洗ってくれます。けっこう操作方法が難しい物でも使えるようになり、カバンでも携帯でも洗ってくれます。さすがに四歳になると、洗うのは食器だけだと理解するようになっていますけれど。

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 私の仕事は宿屋ですから、当然のことながらパソコンで予約の管理をしています。 数万にのぼる膨大なデータが、パソコンの中に入っていて、予約および顧客管理をしているのですが、ちょっとしたことで席を外すと、息子にいじられてデータを消去されそうになることがあります。息子は私の仕事ぶりを、ニコニコしながらじーっと見ているわけですが、最初は
「かわいいなぁ」
と思っていたのですが、これがとんでもない。

 ニコニコしながらじーっと見てる時は、私の作業を観察しているわけです。
 操作方法を研究しているんです。
 だからそういう時こそ要注意なんです。
 三歳だからと言って油断なりません。
 もうアルファベットも数字も覚えているのでパスワードなんかすぐに見破ってしまいます。
 親が考えているよりも子供というのは、頭がいいんですよね。

 四歳ぐらいになると、呆れる位に悪知恵が働くようになります。
 つまり大人の真似が出来るようになってしまうんです。

 例えば目覚まし時計。
 目覚まし時計が止まってしまうと朝起きれません。宿屋というのは大抵は、慢性の睡眠不足に苦しんでいますので、目覚まし時計なしでは起きれないんです。もちろん寝坊したら、お客さんの食事が作れません。ですので、用心のために二つ以上の目覚ましをセットしています。それが二つ同時に故障してしまうことがあります。よく目覚まし時計が壊れていましたので、
「最近の目覚まし時計はよく壊れるなぁ」
「電波時計なのに、どうして時刻が狂ってしまうんだろう? 」
と疑問に思いながら、次から次へと新品を買い足していたのですが、気がついたら10個ぐらいに増えてしまった。

 その増えてしまった目覚まし時計を、息子はずらりと並べてしまう。どれが壊れてて、どれが正しく動作するのかさっぱり分からなくなってしまう。壊れた目覚まし時計を、どこかに隠しておいても、鼻のきく息子は必ず見つけ出して、コレクションのように窓際にずらりと並べてしまう。そして、どの目覚ましが正確に作動するのか分からなくなってしまう。

 仕方がないので、すべての目覚ましをセットしておくと、朝、10個の目覚ましがすべてが正常に動いて、大音響に飛び起きてしまった。調べてみたら、どの目覚まし時計も壊れてなかった。息子が勝手に、時間を狂わせていたんですね。もちろん電波時計ですから、 四歳ぐらいの幼児が簡単にはセットできない目覚まし時計なんですけれど、息子はいともやすやすと、それを狂わせてしまう。親が操作してるのをじっと見ているからです。

 つまり、おとなしそうにじーっと見ていたら、
 もうその時点で要注意なんですね。


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 ある日、嫁さんが私に、「大河ドラマの録画できてないんですけれど」文句を言ってきました。嫁さんは、超がつくほどの歴史オンチなんですけれど、真田丸を見て以来、歴史に興味を持ったらしく、大河ドラマだけはどんなに忙しくても見ているんです。で、夏の忙しい時に録画できてない回が何回かありました。で、調べてみたら本当に録画できていない。というかそれ以前にテレビが写ってない。

「アンテナケーブルが、はずれているのかな」

と調べたけれど問題は無い。機械が故障したのかなと思うと、それも問題なさそう。とにかく電波が入ってない事は確かなので、いったいどうしたんだろうと、数時間ほどさんざん頭を悩ました上に、休憩のためにテラスのソファーで休んでいると、息子がニコニコと何枚ものB-CASカードを持ってトランプのように遊んでるのが見えました。これじゃTVは録画できません。というか、全部のテレビのB-CASカードを抜いたのかよ!

 これなんかまだましな方で、 CDやDVDともなると無惨なものです。勝手に取り出され、鉛筆の中に串刺しにして入れて遊ばれてしまいます。大量のCDやDVDの穴にヒモを通してあそんでる。買ってきたCDが3日もたたないうちに破壊されていることが何度あったことか。

 子供は穴が好きなんですよ。穴があるとそこに何か入れたくなる。CDやDVDには穴があるので、鉛筆を差し込みたくなるわけです。もちろん、おでんのちくわなんかにも穴があるために、食べる前にちくわの穴に指を入れる。5本指に竹輪が5個。ドーナツなんかも穴から覗くことをする。そして目の周りが油だらけになってしまう。とにかく穴があるとそこに何かを入れたがる。

 宿屋やってる関係上、お客さんのゴミを片付けることが多いために、私たちはゴミ箱の中に物をぽんぽん入りてしまいますが、それを見ていた息子は、やはり真似をしてしまいます。
 財布がない、
 sdカードがない、
 クレカがない、書類がない・・・・と思ったら、事務所のゴミ箱に入れられていたということが何度かありました。さすがに四歳になると、そういう所と分別はついてきていますが、 2歳位の時は、それで青ざめたことが何度もありましたので、ゴミ箱のゴミを捨てるときはかなり慎重になったものです。

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 息子も今月26日で四歳六ヶ月なので、ものの善悪はだいぶ分かってきています。そういう意味では、安心なのですが、今度は別の系統のイタズラが目立つようになってきました。倉庫から大量のコンセントを持ってきてそれを次々とつなげて、アート作品を作り上げたりします。うちには、予備の電源タップが30個くらいありますので、それをタコ足にタコ足をつなげて100本足のタコを作って見たり、長ーくつなげてソファーを使って縄張りを作ってみたりです。それを御客様のチェックイン直前に発見したときは、超焦ります。まあ、床が灯油だらけになるよりはマシなんですけれどね。

 あれ? カメラが無いぞ?

 と思った時も、大抵は息子が持っていることが多いですね。そして何百枚も写真を撮っている。その写真が、かなりのアートです。自分の指紋だったり、親の禿頭のつむじだったり、愛犬コロの耳の中だったりする。その無駄な写真を後で消去するのは本当にめんどくさいですので、最近は古いカメラを息子に与えています。そしてsdカードがいっぱいになるたびに、フォーマットをかけています。

 これもおそらく親の真似なんでしょうね。宿屋の人間は、すきあらば観光地の写真を撮って、使える写真ストックしておくものなので、その姿を見た息子は盛んに真似をしているんだと思われます。

 真似といえば、料理もやりたがって困っています。もちろん賄い料理くらいなら一緒に作ったりするんですが、お客さんに出すものを料理させるのはさすがに衛生上まずいですので、なんとか説得してやめさせています。すると息子は、せめて配膳をしたいと言い出します。これも絶対に無理ですので、なんとか説得して止めさせました。すると息子なりに考えたのか、みんなが食べ終わったとの醤油(しょうゆ)・ソース・ドレッシングを集めて持ってくるようになりました。

 まあこのぐらいならいいか

 と、この範囲なら大目に見ています。


つづく。

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2017年09月16日

汚れ無き悪戯 その4・知らないうちに英才教育を受けていた息子

 私も今年で55歳。このぐらいの年齢になると、古くからの友人も色々と出世して、各方面で大活躍しています。企業に勧めているしがないサラリーマンだった友人も多くは、部長や取締役になって、社会に影響力を持つ人間になっています。

 なかには、南極大陸で活躍している人もいます。実は半年ぐらい前に、南極の昭和基地から絵はがきが届きました。もちろん我が家の家宝です。昭和基地の消印のついた絵はがきを持っている人間は、そう多くないと思いますから。

 漫画家として活躍している女性もいます。彼女と知り合ったのは、今は亡き毛越寺ユースホステルというところです。早朝に一緒に座禅をした事は懐かしい思い出です。そんな彼女も、素敵なご主人と出会い、結婚され、男の子の息子さんを出産しています。ちょうどその時、私は、ユースホステルの生みの親であるドイツ人教師リヒャルトシルマンの伝記を出版していて、日本ユースホステル協会からついでにリヒャルトシルマンの漫画を作る計画もあって、その漫画を彼女に書かないかと彼女に打診したこともありましたが、ご長男の出産が間近だということで、断念したこともありました。

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 その数年後に、我が家で子供が生まれたわけですが男の子でした。今の息子です。男の子同士ということで、しばらくすると漫画家の友人から、大量のベビー用品のお下がりが送られてきました。どれもこれもブランドもので、洗濯してもピシャッとしています。量販店で買ったベビー用品は、すぐに毛玉になったり、サイズが小さくなっちゃうんですが、ありがたいことにいただいたブランド物のベビー用品は、全くそんなことありません。感謝感謝です。私は漫画家の彼女に頭が上がりませんでした。もちろんお礼にジャムやら何やらを送りましたが、お下がりとは言え買えば何万円もするベビー用品ですから、ありがたくてありがたくて、申し訳なかったです。

 しかも1回や2回ではありません。何度も何度も、お洋服やら、オモチャ・こどもチャレンジなんかがどっさりと送られてきました。おかげで、おもちゃなんかほとんど買わずに済みました。買わなくても全く困らない。とにかく大量のおもちゃが送られてきていたのです。しかもみんな高価なものばかり。本当にありがたく使わせて頂きました。

 話は、かわりますが、うちの息子は、どういうわけか鉄道好きです。物心ついた頃から鉄道マニアになってしまっています。うちの息子は、鉄道好きです。親子で一緒に登山する時も、電車ごっこで登る位です。おもちゃ王国に行くと、将来に機関車トーマスに乗りたいと言ってきます。

 なぜだろう?

 と、常々不思議に思っていました。実は、我が家の近所には駅がありません。鉄道だってないのです。なのにどういうわけか、鉄道好きになっています。最初は男の子というものは、そういうもんなのかなあと思っていましたが、鉄道のない田舎からやってきたお客さんの話によると、

「近所に鉄道がないから、うちの息子は鉄道に全く興味がないんだよね」
「鉄道に乗った経験がないから、息子は自動車好きなんです」
「鉄道を見たことがないから、ピンと来ないみたい」

と言う事。
 つまり、身近に鉄道がないと、鉄道に興味を持てないみたいなんです。
 そういうお子さんは、自動車に興味を持つらしいんです。
 そうなると、ますます
「どうしてうちの息子に限って鉄道好きなんだろう?」
と言う疑問が湧いてきました。

 確かにうちの息子は、あまり鉄道に乗ったことがありません。 2回か3回ぐらいしか載っていません。ほとんどが自動車で移動です。こういう場合、たいていのお子さんは、鉄道好きにはならず、自動車が好きになるものらしいですね。ところが、うちの息子は鉄道好きなんです。どうして、かなぁ?と疑問が湧いてきて、嫁さんに
「うちの息子はどうして鉄道好きなんだろう?」
と尋ねたことがいました。嫁さんはあきれ顔で答えました。

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「鉄道好きなのは、当たり前」
「え? どうして」
「今までどこに目をつけていたの?」
「はあ?」
「あの大量のおもちゃは、一体何? 」
「?」
「いただいた大量のお洋服を、よく見て」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! そうか、そうだったのか?」

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 よく見てみたら、息子が普段から着ていたお洋服は、すべて鉄道関係のものでした。プラレールのTシャツだったり、機関車トーマスのTシャツだったり、どれもこれも鉄道関係のお洋服ばかり。おまけにおもちゃまで、すべて鉄道関係です。自動車はほぼゼロ。つまり息子は、生まれたときから、鉄道のTシャツと、鉄道のおもちゃで、鉄道の英才教育を受けていたんですね。よくよく考えてみたら、漫画家の彼女のご主人は、バリバリの鉄道マニアだった。すっかり忘れていました。



つづく。

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posted by マネージャー at 05:44| Comment(0) | グンマーで嫁が出産と育児 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

汚れ無き悪戯 その3・文字を使ったイタズラ

 夏休み中、息子は、いつも保育園で私を待っていました。私は、決まって13時に息子を迎えに行ってたのですが、時々 、遅れることがあります。そんな時、息子は玄関先で椅子に座って絵本を読みながら私を待っていました。息子は私の姿を見つけると、とたんに笑顔となって絵本を教室に戻して駆け寄ってきます。

 息子は、保育園に通っています。
 といっても、子供園という施設です。

 子供園というのは、基本的に幼稚園なんですが、幼稚園が終わると、延長保育という形で保育園になります。もちろん延長保育を受けるには、保育園児と言う形で入園します。幼稚園に入園した子供たちは、延長保育を受けることありません。うちの息子は、幼稚園には入っていません。保育園児として、子供園に入園しています。けれど、幼稚園児と一緒に幼稚園教育を受けるわけです。ただし、幼稚園は午前中で終わってしまうので、幼稚園児は給食を食べたらすぐ帰ってしまいます。そして残された保育園児が、延長保育を受けるわけです。これが子供園のシステムです。

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 ところで、幼稚園には、長期間の夏休みがあります。保育園には基本的にそういうものはありません。夏の間、幼稚園が夏休みに入ると、子供園は、朝から晩まで保育園になってしまいます。もちろん息子も保育園に預けます。保育園ですから送迎バスはありません。幼稚園にはスクールバスがあるのですが、保育園にはスクールバスありません。親が連れていくしかないのです。当然のことながら、その役目は父親である私の仕事となります。私が買い出しに出かけるからです。

 夏休みは、 1年で1番お客さんが来る時期で、死ぬほど忙しいので、買い出しのついでに息子を子供園に預けます。そして大急ぎで、宿に戻って掃除洗濯をし、庭や家のメンテナンスをし、ベットメイクを終わらせ、大量のゴミを捨て、昼飯を食らって、ペットの犬を散歩させて、 13時頃に息子が待っている保育園に向かうわけです。毎日忙しさで死にそうなくらいです。本当ならば、 16時頃まで息子を預けておきたいのですが、そういうわけにはいきません。お客さんが、チェックインしてくるからです。電車バスでやってくるお客さんの送迎もあります。 13時までに息子を家に連れ帰って、風呂に入れなければいけません。

 宿屋の人間は、たいてい14時前に風呂に入ります。 15時からは食事の準備があるので、体を清潔にしておかないとならないからです。なので、13時に息子を連れて帰り、一緒に風呂に入るのですが、これがまた一苦労なんですね。小さな子供が、 13時におとなしく風呂に入ってくれるわけがないからです。もちろん風呂から上がったら昼寝をさせるわけですが、これもまたおとなしく昼寝をしてくれるとは限りません。

 そこで役立つのが、絵本とビデオです。私は息子に2歳になる前に、文字を覚えさせたので、息子は暇があれば自分で絵本を読むようになりました。嬉しいことに、子供園のほうでも絵本の貸し出しをしてくれます。息子は毎日、いろんな絵本を借りて持ってきます。そして、私に読んでくれとせがんできます。 2歳で文字を覚え、もう4歳5ヶ月になっているので、かなりすらすらと自分だけで絵本を読めるようになっています。それでも、親に読んでくれと言ってきます。

 まず母親に読ませて、次に父親の私に読ませます。 2人とも読み方が違うので、 2つの読み方を楽しんでいるようです。そして、そろそろ寝てくれないかなーとこちらが思っていると、
「今度はタケちゃんが読むね」
と、お気に入りの絵本を持ってきて、私に読んで聞かせます。私は、日頃の睡眠不足のせいか、息子が絵本を読んでくれると、ウトウトと寝込んでしまいます。気がついたら御客様のチェックイン開始時間の15時頃ということがままありました。

 で、息子のほうは昼寝してくれたかというと、これがまた寝てないんですよ。 1人で他の絵本を読んでたりする。仕方がないので、録画したビデオを見せて、こちらは夕食の準備をします。そうしないと、仕事の邪魔をしにくるんです。

「タケちゃんも料理を作りたい!」
「タケちゃんもゴミ袋のセットする!」
「タケちゃんも皿洗いする!」
「タケちゃんも皿を運ぶ!」

 幼児を育てているお母さんなら分かるかと思いますが、こうなってしまうと、もう仕事どころではありませんから、このような状態にならないように、息子が好きそうなEテレの幼児番組を大量に録画しておいてみせるわけです。

 ここで不思議なことがおきます。大量の幼児番組を録画してあるので、ストックはいくらでもあります。 1回見た番組はもう見ないだろうと思って、別の日付の番組を見せようとするんですが、そうすると息子は怒り出します。気に入った番組を何度も何度も見たがるのです。それこそ何十回と同じ番組を見ようとします。そして同じところでケラケラと笑っているんです。

「この番組、前に見たよね、別の日付のものを見ようか」

といっても、受け付けません。同じ番組だけを何度も何度も見ようとします。

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 これは絵本においても同じで、気に絵本を何度も何度も繰り返し声を出して読みます。もちろん借りてきた新しい本も読むんですが、どちらかというと親に読んでもらうことのほうが多く、自分が自主的に読む本は、やはりお気に入りの本に限られてきます。お気に入りの本だと親にも読んで聞かせます。何度も聞かされる私は、悪いと思いつつも、寝てしまう。

 これじゃ、どっちが親か分からない展開です。

 話は変わりますが、息子が通ってる子供園では、積極的に絵本の貸し出しをしてくれます。なので息子は毎日、いろんな絵本を持って帰ります。最初は庭先の木陰でお母さんに読んでもらい、次に、風呂上がりに、または寝る前に、布団の上で父親の私に読んでもらいます。

 そこで気がついたんですが、息子が借りてくる絵本に1つの傾向がありました。毎回同じ作者なんです。いつも作者が一緒なんです。もちろん、その作者の絵本を一通り読破すると、別の作者の絵本に移ります。どうやら息子は、絵本の作風を理解している様なんですね。一時期は、アニメ「はなかっぱ」の作者である「あきやまただし」の絵本ばかり借りていました。

 こう書くと、息子は「あきやまただし」のファンになっていたみたいに聞こえますが、本人にそういう意図があったとは思えません。たくさんの絵本を読んでいるうちに、知らず知らずのうちに自分の好みが出来上がったんだと思われます。もちろん、息子は「あきやまただし」なんて人に興味を持ってないし、名前も知らないと思います。しかし一時期に、その作者の本ばかり借りていたことは確かなんです。もっとも、現在は別の絵本作家の本ばかり借りています。ブームは一過性だったようです。

 これも子供園に大量の絵本の蔵書があったからで、それを毎日1冊ずつ借りられるから、 3歳から4歳の間に濃密な読書力が備わったのではないかと思われます。それと、子供園にある大量の蔵書は、もう一つ別の効果を息子にもたらしています。絵本のなかには、読んでもらいたい絵本と、自分の声に出して読みたい本の2種類あるということです。これは大量の絵本が身近にないと、幼児には気づけないのです。

 読んでもらいたい絵本というのは、ストーリーのある絵本です。そういう絵本は、借りてきてすぐに、
「お父さん読んで」
と言ってきます。それに対して、自分で読みたい絵本には、ほぼストーリーがありません。擬音がほとんどだったり、童謡の歌詞だったり、単純な単語の羅列だったりします。例えば「お弁当箱の歌」の歌詞をそのまま絵本にしたような本は、大のお気に入りで、 1日に5回も6回も読みます。というか、私に読んで聞かせてくれます。よくもまあ飽きないものだなぁと感心しますが、これも子供園に大量の蔵書があったために、読んでもらう絵本と、自分が読む絵本を使い分けるようになったんだと思います。

 この息子の読書好きは、2歳になる前に、ひらがなカタカナを覚えさせたことと無関係ではないでしょう。また、 3歳以降に漢字を覚えさせたこととも無関係ないと思われます。

 私はよく息子とスーパーに買い出しに行きますが、その時に文字を読むと得するということを学習しています。例えば御菓子売り場に行くと、息子は片っ端からラベルを読み始めます。そして大好きな煎餅という文字を見つけると、
「お父さん煎餅があるよ」
と、私に煎餅をおねだりしてくるわけですが、私は苦笑しながら買ってあげます。すると、それに味をしめて、息子はいろんな商品のラベルを次々と読み始め、自分の好物が入っていたら盛んにおねだりします。私もついつい、買ってあげるものですから、息子にとって文字を読むという行為は、「得をする」とイコールなんです。こうなると絵本に限らず、様々な文字を読もうとします。

 また、自動車で移動している時に、牛丼の吉野家の看板・カツ丼のカツ屋の看板を見つけたりすると
「お父さん、吉野家があるよ 。あそこでご飯を食べようか」
「カツ丼のカツ屋があるよ」
「スシローだ、お寿司屋さんがあるよ、お寿司を食べよう」
なんて言ってきます。

 これがもし、オフシーズンだったら、喜んで、吉野家・カツ屋・スシロー・サイゼリアなんかに入って、親子で食事をするんですが、夏休みの忙しい時は、とてもそんな暇ありません。大急ぎで買い物をして、車の中でサンドイッチをほおばりながら、宿に向かわなければなりません。なぜならば、夏の軽井沢は、ものすごく渋滞するからです。のんびり買い物をしている暇なんかありませんし、外食なんてもってのほかです。気がついたら食事をしてないことなんかザラで、うちの息子も夜の9時ぐらいまで夕食が食べられないことが何度もあります。

 どんなに息子がねだったとしても
 外食なんてできるわけがないのです!
 マックのドライブスルーにも行けないし、
 吉野家に入る時間も無い!


 うちの宿の食事は、品数が多いので、作るのも大変ならば、皿を洗うのも大変で、 3台の食洗機をフル稼働しても夜の9時ぐらいまでかかってしまいます。息子の食事を作るどころではありません。それは息子も分かっているようで、駄々をこねることもなく、じっと腹を空かして我慢をしているのですが、それも少しずつ不満になってきたんでしょう。絵本では無く、大人のよむ雑誌を読み始めるようになってきました。そしてJAFの機関紙である「JAFメイト」という雑誌なんかを読んでいる。

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 ある日の夕方のことです。
「お父さんハサミをください」
と言ってきました。なんだろうと思ってハサミを渡すと、息子は何かを盛んに切り取っていました。それもきれいに切り取っていました。そして切り取った紙の破片を私に渡してきたのです。

「こ、これは・・・・」

 渡された紙の破片は、毎月送られてくるJAFの機関紙である「JAFメイト」という雑誌に付録で付いている提携割引施設の割引券でした。それも、吉野家・カツ屋・・・・。

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 無言の圧力に私の心は、折れそうになりました。
 それにしても綺麗に切ったものだ。
 漢字が読めると、こういう技を使ってくるんだなあ・・・・。
 いや、参った。
 しかし、古い雑誌から切り取ったので、期限が切れているんだよなあ。


つづく。

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posted by マネージャー at 22:37| Comment(0) | グンマーで嫁が出産と育児 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月07日

汚れ無き悪戯 その2・森の中からやってきた少年

 小さなお子さんを連れた御客様が、うちの宿に到着すると、大きな庭にいっぱいある遊具に大はしゃぎします。特に3歳から6歳位のお子さんが大喜びで、滑り台・トランポリン・ゴルフなんかに夢中になって遊びます。すると、どこからともなく4歳位の子供がやってきて、それぞれの遊具について解説したりします。その4歳児はとても人懐っこくて、気がついたら一緒になって遊んだりします。しかし、夢中になって遊んでいると、いつの間にか消えてしまうのです。

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 話が変りますが、うちの宿では、夏の間(6月から9月)にファミリーの御客様に花火のサービスをしています。子供に限って花火が無料でできるんです。費用も一切かかりません。どうしてこういう事を始めたかと言うと、東京では条例があって公園などで一切の花火を禁止している。つまり東京では事実上花火はできないと聞いたからです。だから、東京の子供たちにとって花火というのは、花火大会で見るものであって、ほとんど自分で花火を体験する機会がないと聞いたからです。

 なので、せめて旅先だけにでも花火を楽しんでもらおうと思ったわけです。それで無料で花火を配ることにしました。もちろん、どのご家族も食後に花火を楽しみます。するとどこからともなく、 4歳児がやってきます。そして花火を見ています。お客さんは
「いったい誰だろう? 」
と思いつつ、
「一緒に花火やる? 」
と誘ってくれます。すると、正体不明の4歳児は目を輝かせて一緒に花火をします。

それにしても、いったい誰なんだろう?
迷子なんだろうか?

そう考えた御客様は、正体不明の4歳児に質問をします。

「どこからきたの?」
「森の中から」

えええええええええええええ?
森の中から?
本物の迷子か?
と、御客様は困惑します。

「名前は?」
「ルケタ」
「ルケタ???」

もちろんそんな名前の子供は、泊まり客にも、宿の家族にもいません。ますます不審に思った御客様は、不思議な子供に年齢を聞きます。

「ルケタ君は、何歳なの? 」
「天才」
「・・・・」

思わぬ返答に周りから笑い声が漏れました。そして気がつくと、その子はどこかに消えてしまうのです。まるで座敷わらしのような4歳児ですが、実はこれが私の息子です。

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 一見すると、御客様の質問に対して、酷いデタラメを言っているような感じに見えますが、彼の中では、決してデタラメなんかではありません。大人にとってはデタラメのように見えても、幼児にとっては、ちゃんと筋が通っているんです。息子の正しい名前は、ヤマトタケルからとった「健(タケル)」ですけれど、彼はこれを逆さまに読んで「ルケタ」と自分のことを言っています。彼にとっては、一緒のペンネームみたいなものなのですが、一時期、息子は文字を逆さまに読むことが、ブームになっていました。それで、タケルをルケタと呼んだわけです。

 息子は2歳になる前からひらがなカタカナをマスターしていたので、文字を読むのが大好きなんです。毎日のように、子供園から本を借りてきて、お母さんに読んでもらっていますし、その後に自分も何度も読んでいます。どうして、文字を読むのが好きになったかと言うと、これにも訳があります。

 私はよく息子とスーパーに買い出しに行きますが、その時に文字を読むと得するということを学習しているからです。例えばヨーグルトのコーナーに行くと、息子は片っ端からヨーグルトのラベルを読み始めます。そして大好きなマンゴー入りヨーグルトがあることがわかると、
「お父さんマンゴーのヨーグルトがあるよ」
「このヨーグルトにマンゴーが入っているよ」
と、私にマンゴー入りヨーグルトをおねだりしてくるわけですが、私は苦笑しながら買ってあげます。すると、それに味をしめて、息子はいろんな商品のラベルを次々と読み始め、自分の好物が入っていたら盛んにおねだりします。私もついつい、買ってあげるものですから、息子にとって文字を読むという行為は、快楽を得られる手段になっているわけですね。つまり

 文字を読むこと=得をする

という公式が息子の頭脳にインプットされているわけで、こうなると絵本に限らず、様々な文字を読もうとします。下から読んだり逆さまに読んだりして、自分の名前を「タケル」ではなくて「ルケタ」と御客様に紹介するんですね。

 また御客様の
「何歳なの? 」
と言う質問に
「天才」
と答えたのにも訳があります。うちの宿には毎日たくさんの御客様がやってきますが、その都度彼は何度も何度も同じ質問をされているわけです。同じように4歳と答えるのに、次第に飽きてきます。そうなると少しばかり頭をひねって「 4歳」ではなく「天才」と答えたくなるのものです。

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 一事が万事こんな調子ですから、この夏家に泊まりに来た御客様には、ずいぶん不思議な4歳児に見えたことでしょう。なにしろ変なことを言って笑わしたかと思うと、すぐに消えてしまう。側に親がいるようにも見えない。迷子のように見えるけれど、不安がってる様子はない。子供たちが遊んでいると自然と仲良くなって一緒に遊んでいる。けれどいつの間にか消えていることも多い。どこからきたのと聞いてみたら、
「森の中から」
と答えるだけ。まるで座敷わらしのような、雲をつかむような存在だったので、御客様をずいぶんと、まどわしてしまったと思います。息子の読む絵本の多くには、森の中からやってくる話がいっぱいあるのです。息子はその影響受けて「森の中から」やってきたとか、山の中からやってきたとか、洞窟に住んでるんだよなんて答えたりしたんです。

 いつだったか、子供園の先生に、こんなことを聞かれました。

「浅間牧場にキリンさんがいるって本当ですか? 」
「え?」
「タケルくんが、浅間牧場に行ってキリンさんや象さんあったって言ってたんです」
「・・・・」

 もちろん浅間牧場にキリンさんがいるわけはありません。
 これにも訳があります。

 私は御客様の希望があると、夜に星空案内のツアーを出します。夜の牧場を車で散策しながら、星空を観察したり、流れ星を数えたり、キャベツ畑を案内したり、近くの牧場に連れて行って、草むらに寝そべっている牛たちを見せたりします。その時に行った解説の中にキリンの話が出ることもあります。もちろん息子もお客さんと一緒に付いてきたりします。そして私の解説を一緒に聞いたりします。息子は、その時のことを先生に伝えたんだと思いますが、それが浅間牧場に行ってキリンさんにあったと言う話になったんでしょう。

 ところで星空案内のツアーですが、私は夜の牧場にビームライトを照らして、寝ている牛たちを探します。すると牧場の遥か彼方に光る目玉があったりします。牛たちの体は真っ黒なので、暗闇の中ではなかなか見えません。けれど、牛の目玉だけが光ります。ビームライトを反射して光るんです。もちろん牛の姿は見えません。目玉だけです。その目玉は、キリンに見えたかもしれないし、象に見えたかもしれない。毎日何冊もの絵本を読んでいる息子には、そういう想像力が沸いたって不思議はありません。その想像力を、大人は馬鹿にすることなく大切にしてあげたいものです。


つづく。

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2017年09月03日

汚れ無き悪戯 その1・父親のメガネを持ち出す

汚れ無き悪戯 その1・父親のメガネを持ち出す

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 今年の夏はファミリーの御客様が多かったです。
 今までで最高かもしれません。
 喜んだのは4歳5ヶ月になる息子です。毎日のように
「今日はお友達きてる?」
と聞いてきます。もちろん
「たくさん来てるよ」
と答えてやると目をキラキラさせながら御客様のいるロビーに向かいます。そして少しばかり仲良くなると、ドドドーっと走って戻ってきて、おもちゃや絵本を抱えて、御客様のお子さんの所に向かいます。私と家内が御客様の食べ終わった食器を回収しつつ、皿を洗っていると、4歳の息子が何かをもってドドドーッと走っていくわけですが、皿を洗う頃なら御客様のところに行っても怒られないんだなあと理解しているわけです。

 感心するのは、相手の年齢にあわせて持っていくものが違っていることです。

 1歳児には、ぬいぐるみを持っていき、2歳児にはオモチャを、3歳児以上には、工作の材料や折り紙なんかを持っていきます。たまたま幼児が、いなくて大人しかいなかったりしても、相手してくれる大人が居たら子供園(幼稚園)の写真アルバムを持っていって写真を見せて解説したりします。相手の年齢をみつつ、何をもっていったら良いのか良く見ているんですよね。

 最初は、
「どうして、このような対処ができるのかなあ?」
「兄弟がいないのに、どうして対応を変えられるんだろう?」
と不思議に思っていましたが、息子が通っている子供園が、夏休みで幼稚園モードから保育園モードに切り替わっているためだったためでした。

 子供園が幼稚園モードの時は、学年別のクラス分けになっていますが、その幼稚園が夏休みになり、保育園モードになると、年少組から年長組まで一緒のクラスになります。各種の年齢の子供たちが一緒にあそぶことによって、年齢によって対処が違うことを、そこで学んでいるんですね。その結果、宿屋の御客様にも応用できているようなのです。

 だから、年齢によって相手が喜ぶ物が違うということが理解できたんですね。もちろん幼稚園には幼稚園の良さがあるんですが、託児所の親戚関係にある保育園には幼稚園にない良さがあるんですね。幅広い年齢の子供たちと一緒にいることで、非常に貴重なものを学べるからです。

 話を戻します。
 私が夕食後の皿を洗っていると、そのわきを息子がドドドーッと走っていきます。
 その姿をみると御客様のお子さんの年齢が分かります。

「今日は、ままごとセットか! 4歳児の女の子と仲良くなったな?」
「今日は、ミニカーか! 4歳児の男の子と仲良くなったのか」
「今日は、幼稚園のアルバムか! 大人と仲良くなったな」
「今日は、ぬいぐるみか!さては、1歳児か2歳児と仲良くなったな?」

 こんなふうに、息子の行動を尻目に私と家内は、せっせと皿を洗う毎日でした。うちの料理は、最低でも10皿はでます。デザートを合わせれば13皿。御客様が20人なら460皿を洗うことになります。息子なんかかまってられません。なので息子は、御客様のところに、いろんな物を持ってドドドーッと走っていきます。折り紙だったり、アルバムだったり、オモチャだったり・・・・。いろんなものを持って走っていきます。

IMG_1555.JPG

 ところがある日、息子が、しなりしなりと歩いている時がありました。良く見ると、私のメガネをかけて御客様のところに行こうとしています。私のド近眼メガネでは歩きにくくてしょうがないだろうに、フラフラになりながら御客様のところに向かったのでした。その姿に私は、ただ笑ってみていました。

 翌日、初老の御客様から、こんな話がありました。

「本を読もうとしたんだけれど、老眼鏡が無くて読めなかったんですよ。それをタケル君(息子の名前)の前で話したら、翌日の夕方に、タケル君がメガネをしてやってきたんですよね。前日の私の話を覚えてたんですね。で、マネージャーのメガネを持ってきたんだと思います」

 そうか、そういうことか!
 やっと謎が解けた。
 老眼鏡の御客様に、私の近眼メガネをもっていったのだ。


つづく。

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posted by マネージャー at 20:48| Comment(3) | グンマーで嫁が出産と育児 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする