しかし 5歳児の子供に私有財産はありません。お小遣いも持ってないし、あったとしても家の周りにお店なんかありませんから、物を買うということができませんので、お金を所有するということ自体にあまり意味がありません。そもそもうちは宿なので、現金で買い物をすることがほとんどありません。業者を通して仕入れるか、カードで買い物するかのどちらかなので、息子にしてみたら現金の使い方を見る機会もありません。
もちろん、おもちゃとか絵本とかdvdとかが宿には大量にありますけれど、宿に泊まりになるお客様のための備品に過ぎません。息子の私物では無いのです。この辺ははっきりと所有権の区別をしていますし、そうしないと絵本やおもちゃをめぐって争奪戦が起きてしまうからです。あくまでもお客様のものであって、息子のものでは無い。ただしお客様が使ってないときには、使ってもいいよ。と、かなり小さい頃からしつけてきていますから、自分の所有物でないことが理解できています。
つまり5歳の息子には、私有財産がほとんどなかったわけです。
そして、ここが大事なところなんですが、
それを1番よく理解していたのが5歳の息子であり、
1番よくわかってなかったのがその親だったんです。
まず息子は、自分の私有財産が驚くほど少ないことに気がついた後、おやつを少しずつ宝箱か何かに貯蔵することを始めました。いろいろな人たちからもらったプレゼントも、レストランのお子様セットに付いていたおもちゃも、封を開けずにしまいこむようになりました。そして同じ歳位の子連れのお客様がやってくると、密かにプレゼントをあげたりするようになってきたのです。
しかし、そのプレゼントの渡し方に問題がありました。最初は一人一人、面と向かって渡していたのですが、こっそりお客さんの部屋に忍び込んで枕元にプレゼントを置いてくるようになったのです。お客さんにしたら不気味でしょうがなかったいます。
「なんでそんな事するんだ?」
と不思議に思って本人に聞いてみたら、サンタクロースがそうしている。と答えるではないですか。なるほどと感心し、それならばプレゼンだったとわかるように、ラッピングしなきゃダメだと、 100円ショップで綺麗なラッピングの袋を買ってきて、ラッピングの仕方を教えました。そして手紙を入れなきゃダメだよと、手紙の書き方も教えました。
そして去年の12月のクリスマスの頃。雪遊びを目的に小さなお子さん連れのお客さんが大勢泊まりに来ます。息子は、張り切って、たくさんのクリスマスプレゼントを作り、それをラッピングして、何やら手紙を書いて、お客さんの部屋のベットに配っていました。
ああ、何か微笑ましい光景だな・・・
と親の私はのんきに眺めていたんですが、なんとなく嫌な予感がしたので、息子のラッピングしたプレゼントの中身を覗いてみましたら、御菓子の他に、使いかけの鉛筆や消しゴム、使いかけのシャボン玉セット、JAFの雑誌についているすき家の割引券みたいなものが詰め込まれていました。
あちゃー
これは親の私が悪かったと思いました。プレゼント袋に入ってたものは、 5歳になる息子の私有財産しか入ってなかったのです。息子の私有財産といえば、食べずに少しずつ貯めてきたおやつとか、子供会でもらった景品とか、日常で使っている4bの鉛筆とか、使い古された消しゴムやクレヨンくらいしかなかったからです。私は息子を呼び出して、
「プレゼントをあげる時は、使いかけのものをあげてはだめだよ」
と、一緒にプレゼント用のおやつを買いにいきました。
そして、中身を全部交換して、親子で一緒にラッピングして、もう一回プレゼントを配り直したのです。しかし、なんとなく嫌な予感が、また込み上げてきたので、一応念のためにこっそり中身確認してみたら、「サンタクロースより」と言う手紙が入っていました。もちろん5歳児が書いた字ですから、へたくそな字です。バレバレなので、お客さんのお子さんは、
「これ、タケルくんからのプレゼント?」
と聞いてきますが息子は
「ちがうよ。サンタさんからだよ」
と答えます。
あれ? 息子はサンタさんの真実を知ってるのかな?と思ったんですが、そんな息子も窓ガラスに『サンタさんへ、くまのぬいぐるみをください。』サンタさんへの手紙を貼り付けていました。やっぱり息子はサンタさんの真実を知らないのか?それとも知っててやってるのかな?どっちなんだろう?と、訳が分からなくなってきました。
それはともかく、そろそろ息子にも私有財産を与えないといけない時期がきているのかもしれません。
つづく。
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