2020年08月29日

『いい湯だな』とスマホ

 万座温泉のホテルに泊まった時のことです。あまりに気持ちが良かったので「いい湯だな」を歌っていたら、湯気のむこうから声をかけられました。

「ドリフターズですか?」
「ええ、まあ・・・」

 こういうことは、群馬県ではありがちで、一般的に群馬県人は人なつっこいです。知らない人と、すぐ仲良くなる。相手が群馬県人だと分かった理由は、方言です。群馬県人は、共通語しか話してないつもりでしょうが、分かる人には一発でわかってしまう。一般的に言って方言には敬語はありませんが、関西と群馬には独特の敬語方言があるからです。

20-2-14_14.JPG

20-2-14_02.JPG

「子供の頃、ドリフの8時だよ全員集合をよく見てました」
「私もです」
「でも、さっきの歌、替え歌ですよね?」
「・・・」
「あの歌には万座温泉なんかでてこないですから」
「実は、この歌は、ドリフの『いい湯だな』ではなくて、デュークエイセスの『いい湯だな』なんですよ」
「え? デュークエイセス?」

 いい湯だな いい湯だな♪
 湯気にかすんだ 白い人影♪
 あの娘かな あの娘かな♪
 ここは上州 万座の湯♪





「ドリフの『いい湯だな』は、デュークエイセスの『いい湯だな』の替え歌なんです。デュークエイセスが本家なんです」
「え?」
「この『いい湯だな』は、群馬県の御当地ソングで、一番は草津。二番は伊香保。三番が万座なんです」
「へえー、群馬生まれ群馬育ちなのに知らなかった。ところでデュークエイセスって誰ですか?」
「昔の東芝のコマーシャル知ってますか? 『光る光る東芝ー♬』ってやつ」
「あ、知ってます知ってます」
「あれ、歌ってたのがデュークエイセスです。すごい声がいいんですよ」
「声がねえ?」
「そうだなあ。東芝のコマーシャルじゃ分からないか。それじゃ日本生命のコマーシャル知ってます? こんな歌を」

 モクセイの花咲く頃に♬
 ふるさとへ帰りたいな♬





「ああ、あの歌、デュークエイセスなんですか?」
「そうなんです。じゃ、私、そろそろあがりますんで」

 こうして露天風呂を後にして、休憩室でマッサージをしていたら、露天風呂から出てきたさっきの人が、スマホを持ってきてやってきました。

「デュークエイセスの動画をみました。いい声ですね。『いい湯だな』が群馬の歌で、デュークエイセスが本家なのも確認しました。本当だったんですね」

 その人は、さかんにスマホでネットサーフィンしていました。
 世の中、便利になってきたものである。
 こんな山奥の温泉地で、デュークエイセスの歌をスマホで検索できるようになったから。


つづく。

↓ブログ更新を読みたい方は投票を

人気blogランキング





posted by マネージャー at 22:20| Comment(2) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする