2021年01月08日

半世紀前に存在した、とんでも授業【3】計算尺

  前回、息子が小学校に入学する時に、用意しなければいけない入学式セットに画板がなかったことを書きましたが、もう一つ、無かったものに十玉算盤があります。十玉算盤が、息子の入学セットに無かった。十玉算盤が無かったかわりに、算数セットというものが増えていた。


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 この算数セットというやつが、くせもので、ちいさなおはじきみたいなものが大量に入っていて、それに一々名前をつけなければならない。そんな面倒くさいことできるかと思っていたら、世の中には、それを商売のタネにしている業者もあって、算数セットのおはじきやコインなどにつける名前シールを販売する業者がいたので、名前シールを注文しました。


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 昔は、こういった算数セットはなくて、かわりに十玉算盤があった。
 というか、十玉算盤で全て事足りるのに、
 どうして算数セットまような面倒くさいものが必要なのか、わけがわからない。


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 実は、うちの息子は、最初、算数が苦手で計算ができなかった。足し算の原理も、なかなか理解できなかった。理解した後も、いつも指を数えていて、計算が遅かった。なので、ネットで買った十玉算盤を与えて渡したら
「すごい! 魔法の道具だ!」
と驚いて、どんどん計算が出来るようになった。

 息子にしてみたら電卓を手にした気分だったと思います。
 そして、どんどん算数ができるようになった。
 暗算ができるようになった。
 頭の中に十玉算盤がイメージできたんだと思います。

 そして、そのうちに2桁までの足し算を暗記するようになり、指を数える必要がなくなり、暗算で答えが出るようになった。その結果、学校の授業が苦痛になってしまった。暗算でできるのに、めんどくさい「さくらんぼ計算」をしないといけないので、それが苦痛でならなかった。

 さくらんぼ計算というのは繰り上がりのある足し算を10のまとまりを作って「10といくつ」で答えを求めていく計算方法です。説明するのも馬鹿馬鹿しいので詳しくは下記のサイトをみてください。

https://js-mama-onayamikaiketsu.com/1833.html

 これは、うちの息子だけでなく、幼児から算盤をやっている子供は、全員が「さくらんぼ計算」や算数セットを苦痛に思っていると思う。へんな道具より十玉算盤の方が、具体的で分かりやすいし、位(くらい)の考え方も、いっぺんで頭にはいってくる。そのうえ何桁の計算でも、一瞬のうちに理解できてしまう。

 極論すれば、十玉算盤さえあれば、2年間で習う算数を1ヶ月でマスターできる。自然と足し算を暗記するようになれる。掛け算の理論まで、簡単に理解できるようになる。

 それに対して算数セットでは、位の考え方を、あとで習うので、わかりにくいし、位取りのところで、落ちこぼれる子供も多いと思う。現に、うちの息子も十玉算盤に出会う前まで、位取りをなかなか理解できないでいました。なので「さくらんぼ計算」や算数セットより、十玉算盤の方が、圧倒的に優れた商品だと思うのですが、いかがでしょうか?

 関係ないですが、いまはやりのインド式計算方法というのがありますが、あれは計算が速いですね。めちゃくちゃ早い。一度、息子に教えたんですが、すごく計算が速くなった。足し算の筆算を前から(つまり位の大きい方から)計算する方法なんですが、これだと計算が速くなる。とんでもなく早くなる。しかし、途中で、これを息子に教えてはダメだと気がついた。この計算方法は、ある程度、知能が高いひとでないと、混乱する原因になるし、学校の授業で習う位取り計算方法と真逆なので、息子の頭が混乱してしまう。なので、これを教えてはダメだと思いました。やはり、十玉算盤が、日本の風土に一番あうように出来ている。

 これは余談になりますが、私が子供の頃には、機械式計算機というものがあって、それのオモチャバージョンがありました。それが学研の『科学』と『学習』という雑誌の付録についてきたことがあった。

 その機械式計算機は、ダイヤル式黒電話(といっても分からないでしょうけれど)のようなダイヤルを回して、数値をいれると、計算結果がでてくるものです。昔の黒電話をかける要領で、ダイヤルを回すと、答えが出てくる。もちろん十玉算盤の方が、圧倒的に便利なのですが、子供の頃に、機械式計算機のオモチャに出会った私は、すごい機械だと大興奮した。そこに父親が
「もっとスゴイものがある」
と見せてくれたのが計算尺です。


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 まあ、そんなことは、どうでもいいとして、大昔にあった授業で、今は存在しない授業に『計算尺』というものがあります。『計算尺』というのは、いわゆる物差しみたいなものを使って、かけ算・割り算・三角関数・対数・平方根・立方根などの計算をする道具ですが、電卓が無かった頃は、みんな、これで計算していました。

 リチャード・ギア主演映画「愛と青春の旅だち」に、ヘンミの計算尺が登場しているし、映画「アポロ13」でも軌道計算を検算する場面でヘンミの計算尺が登場している。映画の『風立ちぬ』でも航空機の設計の場面で登場しています。ちなみに世界の計算尺の8割は日本製(ヘンミの計算尺)で、竹でつくられていたために気温による膨張がなかったために、世界中の一流科学技術者が、日本製計算尺を使っていました。金属製の計算尺だと、夏に熱膨張で狂いが生じるからで、どうしても日本製(ヘンミの計算尺)でないといけなかった。

 当然のことながら私も学校で計算尺を習っています。
 習っていますが、私の世代だと、使い方を説明されて、
 さらっと流しただけで、電卓の授業がメインでした。

 で、電卓の授業で何をやったかというとメモリー計算です。
 電卓にある 「M+」「M-」「MRC」 のキーの使い方を勉強したわけです。


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 使い方としては、例えば、100円のチョコ2個、50円の飴玉を5つ買ったとします。
 さて、全部でいくらになるでしょうか?
 という問題の解答を出すときに使います。

100円のチョコを2個→ [100][×][2][M+]→200
50円の飴玉を5個→ [50][×][5][M+]→250
合計 →[MRC]を1回 →450

 という具合です。
 こういう授業をやったわけです。
 電卓で複雑な計算をやったわけです。

 だから私の世代だけは、「M+」「M-」「MRC」 のキーの使い方を義務教育で習っていて、この使い方を知っています。

 なので、これを嫁さんの前で披露したら、嫁さんの奴は、いたく驚いていた。ということは、昭和四十七年生まれの嫁さん世代は、義務教育で習ってなかったということになる。もっとも嫁さんは、算盤塾に通っていたので、電卓のメモリー計算など知らなくても何の問題もなかったと思いますが。



つづく。

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posted by マネージャー at 20:22| Comment(0) | 教育問題を考えてみる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする