2021年06月22日

個人商店が、廃業していく理由

 北軽井沢に引っ越してきたから今年で21年目になります。その21年間の間に北軽井沢も嬬恋村も随分変わってしまいました。一言で言うと店がなくなった。レストランもなくなったし、小売商店もなくなってしまった。潰れてしまったスーパーまである。もちろん生き残っているスーパーもありますが、20年以上前の盛況はありません。みんな軽井沢まで買いに行くからです。

 20年ぐらい前は、地元のスーパーに行くと、ペンションや旅館のオーナー達が大勢いました。そしてお客さんの入り具合とか、景気の話とか、天候の話で盛り上がったものですが、今ではそういう光景は見当たりません。 スーパーだけではありません。小さな店とか、 レストランがどんどん潰れて行きました。最初は、車社会になったために地元で買わなくなったのが原因なのかなと思ったんですが、廃業してしまう人たちに聞いてみたらどうやら違うらしい。

「遠くに大きなスーパーができても、それほど影響はなかったよ」
「じゃあ何が一番痛かったんですか?」
「コンビニだね」

 遠くに大店舗ができてもそれほど影響はなかったといいます。商売が出来なくなったのは、 24時間営業している便利なコンビニが、あちこちにできてからだそうです。それから売り上げがバタッとなくなったらしい。 コンビニができると、小さな商店は、とどめを刺されるらしい。

 かといって、 コンビニが儲かっているとはとても思えません。先週の日曜日に息子の漢字検定試験のために前橋まで連れて行ったわけですが、その途中に潰れたコンビニが何件もあるのを目撃しています。その時のルートは、二度上峠から高崎を経由して前橋行くルートだったんですが、 元コンビニの姿をした建物が何件もありました。

 帰りには、別のルートを通って、つまり渋川から中之条を通って嬬恋村まで帰ってきたわけですが、そのルートにも 元セブンイレブンだと思われる店の姿をした廃墟をたくさん見てきました。昔、私が利用したことのあるコンビニも、今ではシャッターが下りて廃墟になっています。コンビニができると、その近所の小さなお店が廃業に追い込まれるわけですが、廃業に追い込んだはずのコンビニも、何年かすると廃業してしまっている。この現実を見ると、どうなっているんだろうと思ってしまいます。

 話は変わります。スーパーの話です。私は10年ぐらい前から軽井沢のスーパーツルヤで仕入れをしているんですが、以前は地元のスーパーで仕入れをしていました。どうして、高い交通費を出して軽井沢に行くようになったかと言うと、品揃えに問題が出てしまったからです。

 宿屋というのは、一旦メニューが定着すると、大きく変えません。例えば、ある種のステーキソースを使うことにした場合、 そのステーキソースに合わせたメニューで、構成されてこれが何年にもわたって使われ続けます。つまり買うもの(仕入れる品)が固定されて決まってしまうわけです。だからその日の気分で仕入れ先を変えるということは無い。一旦仕入れる店が決まると、その店をずっと使い続けることになります。変更することは、定番のメニューが変わらない限りありえない。


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 うちの宿のレシピノート
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 材料を変えたり、オーブンを新品にするだけでレシピが変わってくる。
 メニュー開発は、面倒くさいのである。



 ところがある日突然、使い続けていたステーキソースが入荷しないということになると、宿屋にとっては大問題となる。また一からメニューを開発しなければならない。めんどくさいなあと思ってしまう。 それが何回も続いてしまうと、もうこの店では買いたくないなと思ってしまう。価格ではない。品揃えなんです。欲しい物が買えないことが致命傷なんですよ。 昨日まで使っていたものが、今日から取り扱わなくなるということに、定番メニューで乗り切っているペンションとかレストランは大きなダメージを受けてしまう。仕方ないので、買えないものはネット通販で買うわけですが、不便だな店を変えようかなと思ってしまう。

 で、店を変えるわけですが、店を変えるにあたって、一番問題にするのは、商品がコロコロ変わらないかどうかということが重要になってきます。で、結局は、安定した軽井沢の巨大チェーングループのスーパーを選ぶようになるわけですが、そういう人間は私だけでなくて、何人もいるらしくて 軽井沢のスーパーで嬬恋のペンションなかまとよく出会います。


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 仕入れ先が変わる度にレシピは変わってしまう。
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 もちろんオーブンが壊れて、買い換えたときもレシピは変わる。
 ガスレンジの性能が変わってもレシピは変わる。
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 なので、そういう面倒くさいことはできるだけ避けたいと考えている。



 20年前は北軽井沢や嬬恋のスーパーで世間話していたのに、今では軽井沢のスーパーで世間話をするようになっている。ちなみにうちのような小さな宿でも年間に200万円ぶんの食材費を仕入れるわけですから、もし嬬恋村のペンション二十軒が、一斉に軽井沢に行ってしまうとなると、4000万の売り上げが吹き飛ぶことになります。これは由々しき問題だと思うのですがどうでしょうか?

 床屋さんについても、似たような話があります。私は床屋だけは、情報収集のためもあって、どんなに高くても地元の床屋さんに髪を切りに行っていたんですが、人手不足のせいか、今日のためか、人手が減っていて、昔ならすぐに髪を切ってくれたのに1時間も2時間も待たされるようになってしまいました。

 暇な時ならいいんですが、夏の忙しい時は待ってられないので、軽井沢に仕入れに行ったついでにバッサリとバリカンで切ってもらうようにしているうちに、地元の床屋さんに行きづらくなってしまいました。床屋さんも、理容室のようにネットなんかで予約制度を入れるとかしないと、今後は生きづらくなるかもしれません 。



つづく。

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posted by マネージャー at 23:10| Comment(0) | 総合観光案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする