2021年10月22日

クマについて【12】看板とツキノワグマ

 今回は嬬恋村の群馬坂のツキノワグマの話をします。群馬坂というのは、嬬恋村のシャクナゲ園があるところです 。ここに展望台があるわけですが、その展望台には階段があってその階段に木製の手すりがありました。現在は金属製の手すりになっています。観光協会の仕事でシャクナゲ園を整備している時に、事務局長から
「いつもこの手すりが、熊に壊されるんだよね。佐藤さん、どうしたらいいと思う?」
と相談されました。

「忌諱剤を塗ればいいんじゃないかな? 楽天で簡単に買えるし、予算がないんだったら竹酢なんかでもいいと思いますよ」
「はあ、なるほど・・・」

 しかし忌諱剤を塗られることはなく、翌年は金属の手すりになっていました。


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 前置きはこの位として、 山の中の登山用の案内看板が、かじられていることがあります。特に倉渕村の方の山の看板がツキノワグマにかじられていますが、これには理由があります。ヒグマもツキノワグマもペンキの匂いが大好きなんです。だから新しい看板は必ずかじられます。

 特に防腐剤入りのステインが塗ってあるとかじられます。 クレオトップ・クレオソートなんかは絶対にダメです。道路工事 でコールタールを新しくすると、そこにもヒグマやツキノワグマがやってきます。 この辺を分かってないと、嬬恋村シャクナゲ園の展望台の手すりのように毎年ツキノワグマにかじられるはめになるわけです。良かれと思って塗ってしまった防腐剤入りの塗料(ステイン)のためにツキノワグマを呼び寄せてしまい、手すりをかじられてしまうわけです。もちろんヒグマやツキノワグマが嫌いなにおいがあります。それについては、ここでは説明しません。話が長くなるし難しくなるので・・・。


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  ところで、ヒグマやツキノワグマについて専門家から聞くなどして調べようとするばあい、気をつけなければならないことがあります。クマの専門家というのは、出身母体によって大きく意見が分かれるからです。 例えば農業被害を防ぐための研究者としてのクマの専門家というものがいます。この人たちはどちらかと言うと、人間側の立場でクマを研究します。どうやって熊の害を減らすかとか、どうやって農家への被害を減らすかという研究です。

 それとは反対の立場の研究者もいます。動物学としてヒグマやツキノワグマを研究する人たちです。いわゆる動物学者ですね。この人たちは、できるだけヒグマやツキノワグマを原生的な自然に置いておきたいと思ってる人達です。そしてヒグマ・キノワグマの絶滅を何とかして防ぎたいと思ってる人達です。

 前者の研究者の多くは、北海道の人たちが多くて、後者の研究者は、西日本に多かったと思います。

 1990年から2000年にわたって、私は日本中の山の中に入り、ヒグマやツキノワグマたちといろいろあったりした人間ですが、私の立場は後者(クマの絶滅を防ぎたい)です。後者の研究者にとても大きなシンパシーを感じていました。

 ところが実際にヒグマに対して役に立った智恵は、前者の研究者(クマの害を減らすための研究者) のご意見でした。自分としては敵だと思ってた人たちの報告書が一番役に立った。逆にシンパシーを感じていた人たちの意見はあまり役に立たなかった。というかダメダメだったし、酷いモノだったので、ガッカリした記憶があります。思わず「正気か?」と叫びたくなるような酷いモノでした。皮肉なものです。





 と言っても、これは30年前の話です。今では、そういうことはないと思います。30年前は、後者の人たちの研究は、未熟であって、それに対して前者の研究者たちの研究は歴史があるだけに進んでいた可能性があります。だから今はどうなっているか分かりません。おそらく前者の研究者と、校舎の研究者の垣根というものはなくなっているように思います。 というのも、ここ20年で、熊に関する書籍が大量に増えてきていて、昔に比べて情報が圧倒的多くなってきている。 だからかなり研究が進んでいるような気がしますが、本当のところはよくわかりません。

 私の方も息子が生まれてから、ヒグマやツキノワグマに対する興味が薄れてしまいました。今はクマよりも、人間の子供の成長に興味を持っています。ただ、長年にわたって溜め込んだ野生動物に関する知識が、育児にものすごく役に立っています。子供の成長を面白がってみることができるし、なにより近くで観察し放題なのがいい!


(2歳児の息子・6年前・破風岳)



つづく。

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posted by マネージャー at 22:32| Comment(0) | 自然−動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする