2021年12月09日

クマについて【16】クマ鈴

クマについて【16】クマ鈴

 嬬恋村では、小学生にクマ鈴の装着を義務化されていたんですが、最近になってようやくそれが廃止になりました。実はクマ鈴は非常に危険であることが分かっています。なので私としては、ほっとしているところです。犬を飼ってる人なら分かると思いますが、高音域の音声は、動物にとっては「ごめんなさい」の意味をあらわします。犬で言えば「きゃんきゃんきゃん」という鳴き声になり、参りましたという意味です。逆に低音域は「この野郎」という意味で犬で言えば「うーっ」という唸り声になります。

 この性質を利用してカリスマドッグトレーナーのシーザーは、問題のある犬に対して「シー!」と強く叫ぶとほとんどの犬は、降参するようにお座りをします。これは、我が家の犬でも言えることで、「シー!」と強く叫ぶとすぐに大人しくなりますが、女性が甲高い声で
「あら可愛いわね」
と言うと、この人間は、多少やんちゃしても甘やかしてくれる人間だと認定してしまい、言うことを聞かなくなります。そういう意味ではクマ鈴は高音域なので、適切な音声を出してくれるものではありません。

 また、食べ物の不法投棄によって人間が食料を持っていると学習していまったツキノワグマが、鈴の音に近寄ってくることもありますから危険です。鈴はクマが嫌がる音を出すわけじゃない。積極的に人間を襲うクマには逆効果です。出会い頭に遭遇してしまった場合は、高音域の音が原因で事故率が高くなる可能性もあります。





 2020年。上高地の小梨平キャンプ場でクマの集団に襲われたり、北アルプスの折立登山口近くのキャンプ場で、電気柵が張り巡らされたキャンプ場のまわりをツキノワグマが徘徊し、クーラーボックスを壊されたり、ザックを持ち去られ、キャンプ場利用禁止になったことがありました。この時、クマ鈴は全く効果が無かったばかりか、むしろツキノワグマを呼び寄せています。

 この他にもクマ鈴をしていてもクマに襲われる事故が頻発しています。鈴はクマ対策には効果がないという見方が一般的になりつつあります。そもそも危険動物に対して自ら音を発するのは、ハイリスクな行為です。

 では、どうして鈴の音が聞こえれば、逃げてくれるという都市伝説が生まれたのか? これは昔は、ツキノワグマをガンガン撃ち殺してきたからです。クマの知能は圧倒的に高いので、犬より頭がいいので、人間を恐ろしい動物だと認識していたのかもしれません。また、昔は林業が盛んであったために、その作業を見たクマたちは人間に怯えていたと、北海道の有名なマタギたちは証言しています。

 知床では、クマうちのマタギが船で接岸してから銃を打ったので、マタギが引退するまでは海岸線にクマが出ることはありませんでした。そうやって学習した結果、クマは人間を恐れるようになったわけです。しかしクマが学習しなくなったら、海岸線にワンサカ出てきます。学習しないクマたちにクマ鈴が効果があるかどうか分かるわけがない。

 そもそもクマは、決して耳が言い方ではありません。十匹のツキノワグマを同時に育てた宮崎さんの話によれば、自分に関わりのある音声には敏感なのですが、そうではない音には全く興味をしめさないそうです。クマ鈴の音が聞こえていても、興味をしめさない可能性がある。

 ちなみにクマは視力も悪い。それを利用して撃退する方法もあります。こちらを大きく見せることによって、クマを怯えさすことで撃退が可能なケースがあります。クマは四つ足で歩きますから、二本足の人間が大きく見える。大きく見えたらクマはビビります。

 ちなみにクマの得意は嗅覚。嗅覚を利用して、出会いをさける方法もあります。木酢・竹酢・蚊取り線香・ナフタリンなどです。30年前に私は知床山脈に一ヶ月間調査でこもっていたことがありましたが、焚き火をガンガン焚くことによって接近を防いでいました。これだって学習してない現代のクマに効果があるかどうか、疑問です。

 一番確実な撃退方法は、クマスプレーでしょう。ナタや登山用のストックも武器として使えるかもしれません。私個人は、クマがいるなと思ったら低音で大声を出します。そうでなかったら、耳をすましします。ヤブが動いてる音がしたら、そこにクマが歩いている証拠です。 特に鼻曲山や、17時以降の浅間隠山・浅間牧場では注意した方がいいかもしれません 。昔の草軽鉄道廃線跡にも普通に出てきます。軽井沢で言うと夕方以降に湯川のあたりによく出てきます 。





 話は変わりますが、このブログにクマのことについて書くようになってから、ちょっと不安になりました。私の持っているクマの知識は、30年ぐらい前の知識ですから、現在のクマに通用するのかどうか、自信がなかった。そこで変な知識をブログで発信してはまずいと思って、図書館に行って何冊かクマの本を読んだんですが、非常に驚いてしまった。30年前と現在ではクマに対する対処方法が全く変わっていたからです。

 30年前はどちらかと言うと、もともとクマが住んでいるところに人間がやってきたので、クマが出てきたら、人間は立ち入らないようにしましょうという人が多かった。あーなるほどそんなもんかなぁと最初は私も思ったんですが、その考えが180度変わってしまったのは、知床のルシャの漁師さんに出会ってからです。ルシャというところは、ヒグマが何十頭もぞろぞろといる場所なんですが、そこでうろうろしていると、漁師さん達がやってきた。

 親切な彼らは、テントを担いだ私たちが、知床山脈を縦走することを目的としてることを知ると、安全なところを教えてくれた上に、色々アドバイスしてくれたわけですが、その時にすごい光景を見ることになります。

 クマが一般道に入ってくると、車で追い払うのです。ガンガン車で追い払う。ただし草原にいる限り無視している。道路にクマがやってくるとガンガン追い払ってしまう。人間のいるところにクマが入っていたら情け容赦なく追い払っていました。当時の自然保護関係者が見たら激怒しそうな光景がそこにはありました。当時は、クマを追い払うなんてもってのほかだという空気が充満していた。ところが最近のクマに関する本を読んでみたら「追い払い」が、重要なテーマになっていた。この30年間で、随分時代も変わったものだなあと感心したものです。昔は、追い払いなんてもってのほか。ここは元々クマの土地なんだからと言われていたので。

つづく。

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posted by マネージャー at 13:34| Comment(0) | 自然−動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする