続きです。
今回の事故から何が学べるか?
1.事前にガイドの経歴を聞く
2.事前にガイドの装備を聞く
これにつきるのでは、ないでしょうか?
1.事前にガイドの経歴を聞くについて
今回の事故を思うと、トムラウシ山を経験したことのあるガイドが、たった一人だった。それも5回しか経験がなかった。そのうえ凍死についても、低体温症についても分かってなかった。だから川の中を渡渉してしまった。こういう悲劇を繰り返さないためには、最低でも10回以上、トムラウシ山を経験したことのあるガイドが、2人以上いないツアーには参加しないことですね。
あと、ガイド会社によっては、ガイドの指名ができるんです。
これはと思う人を指名するのも手かと。
それに、そういう会社なら、競争原理が働いて
変なガイドは少ないと思います。
2.事前にを聞くについて
これは逆だろう? 参加者の装備だろう?と思うかもしれませんが、ガイドの装備についても、参加者は把握しないとダメだなというのが、私の感想です。トムラウシ山遭難事故に思う3にも書きましたが、いくらなんでも
あのテントは、ないだろう!
と。どうみても、山用テントじゃないでしょう。
少なくとも台風の山に持って行くテントではない。
あれでは、風速25メートルのふきっさらしで
ビバークなんて無理ですよ。
だから、ガイドたちの選択肢が狭まった。
そして一人死なせた。
しかし、その後の判断を間違えなければ、
死者は、たった一人だけだったもしれない。
残念です。
あと、アマチュア無線を持ってるかどうか?
(ここ、重要です! すごく重要です)
(無線を持ってなかったらモグリです)
(ガイド会社の姿勢を疑って良いです)
最低でも防水の携帯電話を持ってないとダメ。
別にGPSがついてなくてもいいですから。
出発前にガイドに提示をさせ、
緊急時の連絡方法を確認すべきですね。
連絡が早ければ、自治体が動いて、
自衛隊の出動命令が出しやすくなります。
(自衛隊は、自治体の要請なしに動けない)
あと、某掲示板に、週刊文春 (7月30日号)の記事が載ってました。
引用して紹介します。以下、引用。
************************************************************
>一行は、天候が悪かったため30分遅れで出発した。他の客からは
>「やめたほうがいいのでは」との声も上がったという。だがメインガイド(多田)は、
>「昼から天候は回復する」と話し、決行が決まった。
>一行は、ヒサゴ沼から稜線に出ると、強風に煽られ、転ぶ人が続出した。風が強くて
>立っていられないんです。先頭のガイドの声が聞こえなくて。それをサブガイド(松本)が
>『風が強く吹いたら、とにかくしゃがんで』と繰り返していました」(真鍋さん)
>通常なら三時間程度で到着するはずの北沼まで、六時間近くかかった。
>「北沼付近で女性一人が寒さで歩けなくなってしまい、みんなで一時間半ほど待っていました。
>吉川ガイドに『どうするんですか』と聞いたら『様子を見る』と。私が大声で
>『遭難しているんだから救助を要請しないといけない。どうするか決めなあかん』と言いました。
>するとメインガイド(多田)が『歩ける人だけで先行します』と決めた」(戸田さん)
>一行は正午ごろ、動けなくなった女性と、付き添いの吉川ガイドを残して再出発。
>先頭に立ったサブガイド(松本)が「ついてこいよー。間をあけないで。早くこいよー」
>と声をかけた。しかし歩みの鈍る客が増えていく一方だった。
>北沼の南側あたりで動けなくなる客が続出。メインガイド(多田)は結局、
>サブガイド(松本)と10人の客を先行させることに。「メインガイドがサブガイドに、
>『十人を責任を持って下山させてくれ』と言うと、サブガイドは『一番体力があるのは
>あなたのほうだよ』と答えていました。サブガイドは川で水に浸かってしまったようで、
>少し元気がなかったのです」(戸田さん)
>この後、女性客は先を急ぐサブガイドに追いつけなくなっていた。
>「サブガイドは怒りながら『早くついて来なきゃダメだ』と言うのですが、
>遅れた人を待とうとせず、間隔は開くばかりでした。しかたなく私が最後尾に
>回った時、すでに8人しか確認できなかった」(戸田さん)
>約三週間前、ツアー客の一人は、このサブガイドと別のツアーで一緒になっている。
>その時もサブガイドは客のペースに合わせず先行し、遅れたツアー客が違うルートに
>入ってしまったという。
>「それでも彼は『前回は遅れて最終列車に間に合うか問題になったが、今回は予定より
>一時間早く下山した』と自慢していた」(ツアー客のひとり)
***********************************************************
あと週刊新潮 (7月30日号)の引用
>戸田さんはガイドに、遭難を認めた上で救助要請をすることを求めたが、
>「携帯電話を持っているかと尋ねたら、持っていないとウソをつかれました。
>通話の圏外だったのでしょうが、ガイドは最後の最後まで救助要請の連絡を
>したがらない。自分の評価が下がるからでしょうが、馬鹿げた話ですよ」
************************************************************
なんか、悲しい。
携帯電話はともかく、
アマチュア無線を持ってないという段階で
モグリと言っているようなものですから。
つづく。
↓ブログ更新を読みたい方は投票を
人気blogランキング
【関連する記事】
- カラマツシャワーが始まっています
- インナーシーツ(スリーピングバッグ)持参しないと山小屋に泊まれない?
- 最近、登山道にマスクのゴミが目立ちます
- 3歳児が、親の手を借りずに三千メートルの山に一人で登れるようになる方法 7
- 3歳児が、親の手を借りずに三千メートルの山に一人で登れるようになる方法 6
- 3歳児が、親の手を借りずに三千メートルの山に一人で登れるようになる方法 5
- 3歳児が、親の手を借りずに三千メートルの山に一人で登れるようになる方法 4
- 3歳児が、親の手を借りずに三千メートルの山に一人で登れるようになる方法 3
- 3歳児が、親の手を借りずに三千メートルの山に一人で登れるようになる方法 2
- 3歳児が、親の手を借りずに三千メートルの山に一人で登れるようになる方法 1
- 2歳児からの登山(幼児のための体験的登山論)
- なぜ浅間山に登るのか?
- アミューズトラベル 業務停止期間中に登山ツアー
- 万里の長城で大雪遭難 日本人の死者3人 主催はトムラウシ遭難事件のアミューズ
- さすが野口健!
- 登山用のザックの話2
- 登山用のザックの話
- 加水分解の話2
- ついでに加水分解の話
- 登山靴の話6
ある程度の事前学習とガイドの人との話し合いなどは必要だということですね。
ここを歩くときは特に。
しかし、ガイドの当たり外れはほとんど運ですね。
ガイドや旅行社の責任は免れないとしても、結局山で死ぬことになった原因は、自分自身です。
ついでに言うと、ガイドの当たり外れは非常に激しいので、ツアー登山に参加すること自体が、すでに危険に足を踏み入れていると思います。
貴記事に「...自称ガイドさんは、重登山靴にピッケルにカラビナにロープという完全装備で登ってきていたのですが、.....湯ノ丸山なのに.....」で爆笑してしまいました。湯ノ丸山をなめているわけではないのですが、高尾山で12本歯のアイゼンをカチカチさせて歩いていたパーティを思い出してしまいました。
で、トムラウシですが、あれだけのロングコースでテントと無線を持ってないのは、その時点で遭難ですね。僕は歩いたことないのですが、地図を見ると避難小屋と避難小屋の間が10時間以上になってる。
ツアーの案内を拝見しましたが「場合によってはテント泊」とある、だったらボッカさんがテントを持ってるはずなのになあ。大体、4人目のガイドというのが怪しい。絶対に「場所取り」なんだから、最初からテントを持って行かないつもりだったんじゃないか。
僕だったら絶対にテント持って行きますよ。テン場で適当に休みながら(酒を飲みながら、停滞しながら)歩く。というか、もしトムラウシに登りたかったら (これも地図で見た限りですが)、短縮登山口から南沼テント泊のピストンで行きます。縦走なんてかなり無理。
で、色々な報道を見ていますと気温のことばかり言っていますが、本当にヤバくなるのは、疲れているときに濡れる、というパターンですよね。気温ではなくて濡れて乾かさなかった (小屋でも乾燥できなかった) のが辛かったのではないかと思います。(フリースを着た人は確かに正解)。
天候判断のことも色々言ってますが、山の天気は判らんですよ。ある程度は経験で言えるようになりますけど、外れるときは外れる。色々なこと言ってるのは、後知恵だと思います。それより外れたときに酷い目に遭わないような装備と判断と余裕が大切でしょう。事故は余裕が無くなった時に起きるものです。
ということで、僕だったらツアーの案内を見て、その時点であのツアーには参加しなかったと思います。
乱筆失礼しました。
「いのち」と「お金」 トムラウシ遭難事故の背景にあるもの
http://homepage.mac.com/hirosis/watching/watch031022.html
地図も磁石もなく‥‥ 思考停止する人びと
http://homepage.mac.com/hirosis/watching/watch030731.html
現場からの視点ありがとうございます。トムラウシについて一番的確な分析と思われました。他の日記も見させて頂きとても勉強になりました。
ユースホステルの名前のことから今回の事件を見てみました。
「名は体を表わす」から考えると
結果、根本から間違った思想のもとに作られた会社であったということです。
結論からすると遅かれ早かれ、起きるべくして起きた事件であったことがわかりました。
事故を起こした会社名がアミューズトラベルです。
アミューズメント【amusement】
娯楽。楽しみ。「―パーク」
会社名をアミューズトラベルとした時点で素人のお客が集まります。また社員も素人が集まります。
そのとき、それにふさわしいやさしい、娯楽的な山岳ツアーにしていたら、事故は起きません。しかし、この名前で、高度な登山ツアー登山を実行したとき、事故が起きます。
社員も素人でお客も娯楽目当てです。
死を呼ぶ、また死のリスクがある登山はアミューズメント娯楽であるわけがありません。
いつかは起きる事故であったということでしょう。
またすでにいくつか起きていたかもしれません。
今後の捜査が望まれます。