2009年07月27日

トムラウシ山遭難事故に思う9

トムラウシ山遭難事故に思う9
続きです。

 登山になじみのない人は、トムラウシ山遭難事故で、ガイド会社って怖いと思っていると思いますが、今日は、山に行くのにガイドは、必要なのか?という点から考えてみたいと思います。ベテラン登山家にとっては、退屈な内容になりますが、ご容赦ください。

 実は、登山で一番リスクが高いのが、単独登山です。

 これは、初心者であろうが、超ベテラン登山家であろうが、
 基本的に関係ありません。
 具体的に説明してみましょう。

 実は、トムラウシ山遭難事故が起きたときに、別の山で、私の友人が、怪我をしてしまい、山岳警察の救急ヘリコプターの御世話になるほどの大けがをしてしまった。彼は、ベテラン登山家でした。山も別にたいして難しい山ではありません。たまたま運悪く、足を踏み外しただけです。しかし、倒れ方が悪かったために骨折してしまい、動けなくなってしまった。

 と言っても、重傷というわけでもなく、これがもし、下界の出来事ならタクシーで病院に行って治療を受けるか、119番に電話するだけの、何でもないことだったのです。しかし、山の中ですから、タクシーも救急車も無い。もちろん携帯の電波も届かなかった。おまけに骨折箇所が祟って声も出ない。

 こういう時、団体登山なら、誰かが救援を呼べるし、携帯の電波が届く位置に移動することも可能です。しかし、一人だと、どうにもならない。動けないで、そのまま放置され、最悪のこと命を失う。

 だから単独登山には、リスクがある

 たまたま足を踏み外すことくらい、何百回も登っていたら1回くらいあるかもしれない。運悪く蛇に噛まれたりするかもしれない。15年前、山小屋の裏で倒れて、小屋の人に発見されるまで5時間も雨に打たれ続けた人もいた。肋骨を折ったために声が出なかったし、自力で動けなかった。その人も、単独登山だった。

 単独登山は怖いのです。

 では、単独登山するには、どういう準備がいるのか? 救急ヘリコプターの御世話になってしまった私の友人は、どうして助かることができたか? 彼を救ったものは何なのか? それは....

 いつも胸につけていた、ホイッスルでした

 これを吹き続けることによって、通りかかった3人の女性のパーティーに発見してもらい
「滑落して、ケガをしているので助けて下さい!」
と叫んだためです。

 それに彼には、ザックにビバークのための用意と、非常食があった。サバイバルシートもあったし、何でもあった。2日や3日、人が通らなくてもやっていけたから落ち着いた対処ができた。で、ヘリで病院に運ばれたわけです。

 もっとも、彼は救急病煉で治療を受けている間、自分が情けなくて泣き続けていたらしい。救急ヘリコプターの御世話になるなんて、山屋にとっては、屈辱ですからね。しかし、人間、運・不運というものがあります。どんなバリバリの登山家でも、不運には勝てない。その不運が起きたとき、単独登山をしていたら、絶体絶命のピンチになる可能性がある。

 でも、それを避ける方法もあります。
 友人や家族と登る。
 山岳会に入る。
 ツアーに参加する。

 あと、山で友人をつくってしまう。
 (旅は道連れ世は情け)


つづく。

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posted by マネージャー at 04:32| Comment(3) | TrackBack(0) | 登山関係の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほどな〜と思いました。
私も日帰りで単独登山に出かけたことがありましたが、
一人っきりだったのは、行きの電車の中と登り始めるまででした。

確かに、単独って何かあったときが怖いですね。
事故があったときに、冷静に対処できたのはすごいなと思いました。
私だったら、冷静さをすぐに失っちゃうなぁと思いました。
でも、何かあったときにどうするかというのを知っているのと知らないとでは
その後の対処が違ってくるので、情報ってありがたいです。
Posted by ささらー at 2009年07月27日 18:29
1回だけ単独登山したことあります!
確か去年のゴールデンウィークの北海道の藻琴山でした。
途中、雪が残っている場所もあったし今考えると
結構恐ろしいことをしたもんだ、とこの文章を読んで思いました。
Posted by マサ at 2009年07月27日 22:42
ささらーさん
マサさん

 他の登山客が、いっぱいいれば、単独でも問題ないのですけれどね。でも、事故には、防げる事故と、防げない事故、つまり運が作用する事故があります。運が悪いと、いくらベテランでもダメです。私も山で靱帯損傷したことがありますが、怖かった。2時間後に足が動かなくなるのが分かっていて、下山に4時間かかる場所だったから。この時は、素直に自分の荷物を友人に担いで貰いました。

Posted by マネージャー at 2009年07月28日 07:03
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