登山による消費カロリーは?
体重1kgが1分間に消費するカロリーは、0.155(kcal)くらいです。
これに年齢を補正します。
例えば、30代、体重60kgの男が1時間、登山をしたとすると
60(体重)x0.155x60(分)×0.96=535kcal
となります。
6時間の歩行なら
60(体重)x0.155x360(分)×0.96=3214kcal
となります。
ただし、空荷の場合です。
実際は、60キロの人間が、20キロの衣類+荷物
を持ちますから、80キロになったりする。
80(体重)x0.155x360(分))×0.96=4285kcal
では、トムラウシ縦走の場合は、どうだったかと言いますと、午前10時半頃、北沼付近で女性1人が低体温症のため歩行困難となった時、すでに5時間ほど歩いてました。
仮に、この女性の体重を50キロとします。
荷物を10キロ。
ただし、風速25メートルの風が、抵抗となっていました。
この風圧で、荷物が増量したのと同じ状態になります。
風速25メートルの負荷を、プラス20キロ相当の荷物と仮定します。
さらに体感温度の低下が、プラス 5キロ相当の荷物と仮定します。
(というのは、登山道が川になっていて頭から冷雨をかぶっているからです。そのうえ風速25メートルで体感温度が低下を考慮してプラス5キロ相当の荷物の量と仮定します)
何も根拠もない大雑把な計算になりますが、
午前10時半頃、北沼付近での女性の消費カロリーは、
85(体重)x0.155x300(分)×0.8(年齢補正)=3162kcal
となりますね。まあ、この計算には、いろいろ突っ込みどころがありますが、それは御容赦ください。これは、あくまでも、いい加減な仮説ですから。正確な計算は専門家にまかすとして、まあ、そのくらいカロリーの消耗が激しかったということです。
しかし、前日、この女性の摂取カロリーは何カロリーだったでしょうか? もし、ジフィーズしか食べてなかったとしたら、カロリー不足になっている可能性があります。下記のサイトによると
http://shop.syuzanso.com/shopdetail/031003000001/order/
牛丼のジフィーズで97カロリー。これにアルファー米をつけても、300キロカロリーがいいところでしょう。これを3食食べても900キロカロリーです。
しかし、遭難した一行たちは、前日に、度重なる風雨に曝されながら十数時間かけてヒサゴ沼避難小屋に到着しています。前日、風が吹いてなかったと計算しても、12時間歩行していれば、
60(体重)x0.155x720(分)×0.8=5356kcal
もし、風速25メートルの風で、水浸しの負荷がかかっていたとしたら
85(体重)x0.155x720(分)×0.8=7588kcal
となります。ジフィーズでは、これだけのカロリーを摂取するのは不可能です。つまり、避難小屋を出発する前にカロリー不足にかかっていた可能性がある。
しかも疲れていると、食欲がでない。
緊張していると食べたいと思わない。
ストレスで胃の働きが停止しているから。
無理して食べてもジフィーズでは限界がある。
このように、ただでさえカロリー不足だったのに、翌日は、もっとカロリーを消費してしまった。ここが落とし穴ですね。で、気になったことは、この楽々プランの食事です。
この画像だと、たったの1.5キロ。あきらかにジフィーズです。
山屋がよく使う「尾西食品」です。
私もよく使いましたが、今は、パッケージのデザインが違うんですね。
それは、ともかくとして、これだけだとカロリー不足は間違いないでしょう。五目御飯で、一食377キロカロリー。倍食べれば、700を超えますが、中高年の人に、倍食べろと言っても難しい。
http://www.onisifoods.co.jp/lineup/alpha01_02.html
そこで、これを補うために、バーム(蜂蜜)、アミノバイタル、チョコレート、ブドウ糖なんかが必要になってきます。特にチョコレートは、板チョコ一枚が、400キロカロリーぐらいですから、カロリー摂取には優れています。
あと、アミノバイタルプロ。20年前に、これを使ったときは、
「ドーピング剤なのか?」
と勘違いしたくらいに効き目がありました。これを飲み続けると、筋肉が疲労しにくい。8時間で動けなくなる人が、10時間くらいまで動けるようになる。でも、それをガイドたちが知っていたかどうか? 知っていても使用していても、焼け石に水だったのか?
悪天候の山でカロリー不足になると命にかかわる。
気をつけないとね。
つづく。
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あとから安全な場所でああだこうだと言うのは簡単です。(各位の考察を非難している訳ではありません 大変勉強になります)
しかしその場にいた時に自分なら何ができたか考えてしまいます。私も8歳の息子と山に登るのですが、このような極限状態なら子供を守る為に、自分ならばとても見知らぬ隣人を助ける事など出来ないんじゃないかと。
とにかく何か食べないと体力が持たないと危機感を抱いたのだそうです。
彼女は同行の人にも勧めたそうですが、ほかの方々はそれどころではない心境だったようです。
医師の方の低体温に関する記事です。
http://www5.ocn.ne.jp/~yoshi515/teitaion.html
なので僕も真似して山に行くときはにぼしを持って行ってますが、甘納豆は需要がないのか最近手に入りませんね。仕方ないのでチョコレートにしています。
新田次郎さんの小説は、単に読み物としてだけではなく、自分の命を守る勉強にもなりますね。
下のカロリー計算の比較表を見ると、登山はサッカー選手や水泳選手なみのカロリー消費量ですね。
大変な運動量です。
http://hbb.amary-amary.com/calc_ex3.shtml
また、登山中は摂取カロリーより消費カロリーが多いというデータもあります。
http://sport.edu.ibaraki.ac.jp/semi/2006/resume/27yoshinaga.pdf
こうした消費量を上回る摂取カロリーが取れないと本当に死が待っていますね。
まさに起こるべくして起こった事故ですね。
本格的な山は登りませんが、朝日新聞の本多勝一、武田文男の山岳遭難の記事は好きでした。
今回、そのようなものは朝日新聞には掲載されそうもなく、週刊誌も期待できない状況で、うれしく思いました。