団体登山について
団体登山と個人登山は別物です。
別の技術がいる。
一つは、後方を歩く人ほど疲れるということ。
一つは、前から2番目が一番疲れないということ。
団体登山で失敗するパターンの多くは、体力的な弱者が、どんどん置いていかれて、後を歩くようになり、強者と弱者の差がますます開き、列が長くなってしまい、弱者がドンドン脱落していくパターンです。今回の遭難事故も、最後には、そういうパターンになりましたし、高校の遠足や、中学の遠足にも多いパターンですね。
これを防ぐのは、とても簡単です。
隊を細かく分割するだけでいい。
18人の団体なら、6人づつ3隊に分ける。
これで一番楽な2番手が、3人も増える。
二番目に楽な3番手が、3人も増える。
で、3隊が、無線やトランシーバーで連絡をとりあう。
先発隊は、偵察隊となる。
危険を後方に知らせる役目です。
と同時にテント地を確保する役割も兼ねていますから、
テントも担いでいます。
中発隊は、ボッカ隊です。
重い荷物を持ってもらう最強部隊を配置します。
この隊は、前後に救援移動する可能性があるので
ロープなどを持っています。
後発隊は、弱者チームになりますが、
ツアーリーダーは、この隊を率います。
そして、最高責任者は、一番最後尾を歩くのが一般的です。
このように3隊に分けると、列が長くなって通行の邪魔をするなど、個人の登山者に迷惑をかけません。あと、仲間の状態をきめ細かく把握できます。
先頭を歩く人間(ガイド)が、後を歩く人を把握できる数は、十人までです。それ以上になると、把握しきれない。ですから軍隊でも、最小単位(分隊)を十人にしてある。
もっと理想的なことを言えば6人がいい。
6人ならテント2個分ですから、
一人のリーダー(ガイド)が背負える(3キロ)テントの
重さでおさまります。
そのために各隊で自己完結できる編成が可能になります。
では、三隊に分けずに、一隊編成で、
ながーい列を作ったらどうでしょう?
仲間が体調を崩したとしても、それが分かりにくい。
分かりにくいために倒れてしまうまで、
分からないまま放置してしまう。
しかしね、
倒れてしまってからでは、遅いケースが多い。
その時になってから慌てても、
遅いのですよ!
ここで、話をかえます。
トムラウシのことではなく私が山岳会で苦労した裏話。
このように3隊に分けても、
うまくいかないことがたまにあるのです。
人間に煩悩があると、うまくいかない。
三隊に分けて、強者を後に配置し、一番の弱者を、2番手・3番手に配置すると、どういう事が起きるかと言いますと、だいたい2番手・3番手には、山に不慣れな若い女性がくる。すると色気づいた男性諸君が、いつの間にか、そのそばに寄ってきていて、列が目茶苦茶になってしまう事が、ごく希にですが、ありました。そうなると休憩ごとに、もう一回、列を作り直さなければならない。
これには、本当に参った。
第一、本人には自覚がないし。
で、困り果てた私は静かに
「■■君、キミは、明日からボッカ隊ね」
と指示を出すのであった。
つづく。
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確かに、10人超えるツアーだとスタッフの方も全員の居所
把握するのに苦労しているときもありますね。
ただ、ツアー参加者を断らず何人でも参加OKというのは
ブルーベリーだけなので続けてほしいです。
>後方を歩く人ほど疲れるということ。
>前から2番目が一番疲れないということ。
このことは知っていました。
私は最近のツアーでは最後方を歩いていますが、私みたいな
奴が後ろ歩いているのは正しいんですかね?
2009 年トムラウシ山遭難発生時の
気象状況に関する考察
http://memo.zouri.jp/2009tomuraushi.htm
また、貴重な情報、ありがとうございました。意外な事実が書いてあって驚きました。
マサさんは、ボッカ隊にもなれますよ。でも、私と土井君が、ダイエットのために先を争って御客様の荷物を奪うので、ボッカになるのは難しいですね。