2009年08月21日

トムラウシ山遭難事故レス総合3

トムラウシ山遭難事故レス総合3
Yさん

>どちらかといえば、霧雨男だったからで、
>出来るだけ好条件の時にという事と、
>一人で静寂の中で山の風を感じるのが好きだったという事もありました。

ああ、これ分かりますね。
山は、晴れてる時に登るのが一番です。
もう楽しさが違います。
あとね、山の特色として、一人で登っても全く寂しくない。
山では、仲間とおしゃべりするより、自然を感じるほうが楽しいですね。
あと、じっくり写真を撮るには、少人数だったり一人の方が便利。


>そういった意味(無茶がてんこ盛り)でも
>今回の遭難できるだけありのままを明らかにして欲しいですね。

 そうなんです。実際に私の友人たちの中には、トムラウシ山遭難事故のガイドみたいな無茶苦茶なやつがいて、何度注意しても聞く耳をもたないやつがいるんです。だから正直言って、トムラウシ山遭難事故は、人ごとのように思えないんです。知り合いでなくても、近場の山で、かなりヤバソウな団体様をみかけています。

だから他人事ではないと思いました。
トムラウシ山遭難事故は、
条件さえあえば、私の身近でもおこりうる!


というのが偽らざる感想です。もちろん自分自身への戒めも含めています。まあ、それにしてもトムラウシ山遭難事故は、ちょっと御粗末すぎましたけれどね。でも、その御粗末の中に教訓がいっぱいあったような気がします。

 私から口で言われても馬の耳に念仏というか、単なる小言にすぎなかったでしょうが、こういう実例を見たら『ああ、なるほど』と今更ながら分かったことでしょう。私に烈火のごとく怒鳴られても、事の重大性が分からず反発する者もいました。そういう私も、若い頃に日没近くの18時頃に山小屋に入り怒鳴られてシュンとしたことがありましたが。

(昔はテント持ってても怒鳴られたもんです)


>登る能力と、まとめる能力は、
>ある意味まったく逆方向のもの。


そうです!
まさに、そのとうり!



 だから、本格的な山屋さんの立場で事件を眺めると、ちょっと別の意見が出てくる。

 例えば家庭教師が、麻布高校の生徒を教えるのと、偏差値40の人を教えるのでは、教え方が根本的に違っていますよね。同じ家庭教師の仕事でも、仕事内容がまるで違いますよね。もう別次元の仕事になる。それを一緒くたにしてはダメだと思います。

 だから、今回の事件に、いろいろコメントする人がいますが、プロの登山家のコメントも良いですが、もっと日常的に寄せ集めの大人数で登山ガイトしている人間のコメントを聞いておいた方が良いと思いますよ。

 でもね、そういう人たちは、どういう訳か沈黙しているのです。
 下手なことを言って明日はわが身になりかねませんから。
 私だって同じです。
 そういうリスクを背負って、ここに書き込んでいる。

 それとですね、トムラウシ山遭難事故は、山屋の立場からの見方と、ガイド屋の立場にたった見方では、ちょっと違ってくるんですよね。

 ガイド屋の立場にたったら『山に入ったら自己責任』ではすまされない。金をとってガイドするなら船長と一緒で、全員の命を預かっているも同然。舵取りに全神経を使うわけです。お湯を沸かすとか、場所取りをするとかは、本来の意味では、ガイドの仕事じゃありません。そういうのは各自でやってもらって、もっと別次元の仕事をすべきですね。天気に関するあらゆる情報を集める。場合によっては、偵察に行く。体調の悪い人を介護する。これがガイドの仕事ですよ。これは、ネパールでもスイスでも一緒ですよ。

 しかし、山屋の立場にたつと、ちょっと違ってくる。『山に入ったら自己責任』なんですよ。つまり御客様は、山屋の立場に自分を置き、ガイドは、ガイド屋の立場にたつ。これが一番理想的なパーティーなのかなと思います。

つづく

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posted by マネージャー at 01:11| Comment(8) | TrackBack(0) | 登山関係の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トムラウシ山遭難事故 実況見分は26、27日に【新得】

http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=1550
Posted by きたむら玄堂 at 2009年08月24日 23:11
情報ありがとうございます。明日、実況見分ですか。それにしても、加害者に認定されるかもしれないガイドが参加しないとは。まあ、警察には、山の専門家もも多いですから必要ないということなのかなあ? 私が当事者なら絶対に参加しますけれどね。

ところで、私の友人が、昔、つとめていた会社が犯罪行為をした事が発覚した時、その友人は真っ先に警察に電話して、必要なら何でも話に行きますよと言ったらしいのですが、警察は電話では相手にしなかったらしいです。でも、刑事が突然事情を聞きに来たらしい。電話の相手と、刑事との間に連絡が無かったのに驚いたらしい。通報しても、刑事まで連絡が伝わらないと、嘆いていました。
Posted by マネージャー at 2009年08月25日 06:22
ありがとうございます。
今回のエントリーでトムラウシの遭難でずっと感じていた、違和感の正体がやっと判りました。今回も長いのをお許し下さい

■今回の遭難で感じたことを喩えますと、
おかしな喩えですが、「宅建業者」を通じて、よく調べずに分譲地を買ったけれども、水害で流れて崩壊した。分譲地は「宅建業者」も家を構えていたので、一緒に損害を負った。で、分譲地は一応法には基いていたが、そこは前から大雨降ったら危ないよと言われていた。さあどっちに責任が?…みたいな感じを受けてます。

お金は払ったんだからと言う被害者側と、
天災だからという、業者側。 
法的には説明の有無と、予期の可能性、に収束せざるを得ないのでしょう。
でも、きっと法で裁くことによって真実が見えにくくなる。水掛け論になってしまう。結論はお決まりの業務上過失と、ガイドのキャリアと人生の首切り。
ここに違和感を感じているのだとやっと気づけました。25日、26日の実況見分の結果はどうなるのでしょうね…。

山に入れば、人界の理(コトワリ)は通じないといいますか、山の理に従わないと、万一の時に死んでしまう訳で、その山の理に基いて、行動するのが山屋、なんですけれど、今回はガイドさんも、参加者も、「契約行為」と言う人界の理を山に持ち込んだ挙句こんな事になって…。

山の理に照らせばミスは多いものの、人界の法では裁ききれないから個人を主に切り落とす。でも、法の厳格化は過重装備=コストの高騰化と、山の魅力の減退を招きかねない。
でも発言できる人、すべき人は、リスクを抱えて発言できない、しづらい。
発言自体リスクを抱えていらっしゃる。
>でもね、そういう人たちは、どういう訳か沈黙しているのです。
>下手なことを言って明日はわが身になりかねませんから。
>私だって同じです。
>そういうリスクを背負って、ここに書き込んでいる。

で、発言している人は
普通の一般人や、著名登山家、法律家、マスコミ、私のような山をかじった無資格者(社会的影響力&責任ゼロ)のコメントが中心。?!!…なんて事でしょう。
肝心のものがかけていたのですね。その発言すべき方の無言にも強い違和感を感じていたのだなと気付いた次第です。
この件のブログエントリー、個人的な危機感と警鐘からして下さってるということを考えると、頭が下がるだけではなく、重みがあると思います。

■今後のガイドに関して言えば、本当はもう、答えは出ているのですね。
>>しかし、山屋の立場にたつと、ちょっと違ってくる。『山に入ったら自己責任』なんですよ。つまり御客様は、山屋の立場に自分を置き、ガイドは、ガイド屋の立場にたつ。これが一番理想的なパーティーなのかなと思います。
マネージャー様に迎合しているわけではなく、実際、これしかない。とそう思います。
仮定ですが、私が今から難易度の少し高い山に突如挑むとすれば、山の身近でガイドをしている人の経験や勘を買いたいですし、むしろそういう所(例えば、気象図製作)を代行してくださるのであれば、
ガイド料はもちろん、逆に夜食やお湯を沸かすぐらいをしてあげても全然惜しくない。 そもそもガイド料は行為へのお金ではなく、敬意へのお金であるべきと思っています。見た目は「行為への報酬」であっても。山にはまだまだ経験に頼らないと解決しない、人の理を越えた部分は多少なりともある、と思うのです。
■世間ではガイド業への誤解と言うものが、多少ともあるのかなと、思います。
ガイド業は本来は「監督業」「コンサルト業」なのに、「職人」と勘違いしてしまっている。ガイドは百歩譲っても「ボウシン」(職人たちのリーダー)の立場ですが、
なぜか世間は実績ばかりを求めている気が・・・世間では、著名登山家や冒険家のイメージばかり先行し、(著名登山家は有能な職人に過ぎない)名プレイングマネージャーを求めてばかりいる。

山での遭難についても、法律面であんまりガイドや会社の責任が問われると
「(ツアー会社でも)宿には一切迷惑かけません、山で何かあっても一切の責任を認めません」って言う一筆書かなきゃいけなくなりかねません。紙も保管場所も無駄ですし、そんな世の中になって欲しくないと思います。そうなったら、きっと本当の悪徳ポーター的業者やもっと適当な宿が出現して逆に遭難者が増えるかもしれません。今回の遭難は、ガイドシステムを考え直すスタートであってゴールではないのですね。
いずれにしても責任論だけでは、亡くなった方は犬死になってしまう様な気がしています。

他にも過去のエントリー読み直すと、なるほどと思う事仕切り…。もう一度読み直してみます。
Posted by Y at 2009年08月25日 08:48
Yさん

>で、発言している人は
>普通の一般人や、著名登山家、法律家、マスコミ、
>私のような山をかじった無資格者(社会的影響力&責任ゼロ)
>のコメントが中心。?!!…なんて事でしょう。
>肝心のものがかけていたのですね。


マスコミも取材はしたと思いますが、誰も発言しないと思います。
怖くてできない。狭い業界だから。
自分だって、今回のようなミスがおきないともかぎらない。
気軽に発言できるのは、安全圏にいる人たちです。
私だって過去に無謬であったわけではありません。
自然界を毎日相手している人で無謬でいられる人は少ないと思います。
だから、自然を知っている人ほど、極度に臆病になります。
石橋を叩きまくる。
雨天中止にする。
でも、雨天中止にできるガイドは、少ないだろうなあ。
そういう意味では、ガイドさんには同情しています。

でも、それにしても、今回は、御粗末すぎましたけれどね。御粗末すぎて、話にもなりません。これじゃ、他の真面目にやっているガイドさんが可哀想です。

しかし、真面目にやっているガイドさんたちだって、なかなか発言できないみたいです。どこの業者のブログだって、何も言ってませんから。実際は、はらわた煮えくりかえってると思いますが、沈黙が多かったですね。なにしろ明日は、わがみですから。どんなに気をつけていても自然界は、油断ができませんから。
Posted by マネージャー at 2009年08月26日 09:36
マネージャー様、お返事ありがとうございます。
そうですね。自然ほど怖いものはないですね。冬の地吹雪なんかも本当に怖い。
 一人でなら多少の無茶は平気ですが、人の命を、それも見ず知らずの方の命を背負う事を考えれば慎重になりすぎるという事はないのでしょう。
 
山にも個性があるというか、利尻は何故か「優しい感じ」がしたり、大雪山系は「どこか危うい」感じがしたり、何故か鳥海は「怖かった」り。個人的な感覚的なものでなんともいえませんけど、山って、自然って本当に奥が深いと改めて思います。

それにしてもユースホステルの100周年の誕生日が今日だったなんて。お知らせありがとうございます。ここしばらくはお世話になっていませんが、思い出を肴に小さく祝杯をあげたいと思います。
ただ、泊まった所8割がた、なくなってます。礼文の船泊ユースみたいに民宿として頑張っている所もあるんですけどね。
Posted by Y at 2009年08月26日 21:51
もうね、自然を知れば知るほど臆病になりますよ。天気予報が外れて、冬山ツアー中に吹雪になり、磁石があったにもかかわらず、一瞬方向を見失ったことがあります。さいわい、90分遅れの下山ですみましたが、家に帰ってみてびっくり。全国各地で、遭難者続出。谷川岳の平標では、山のベテランが何人もバタバタ死んでいました。

やはり山で大切なことは、安全ですよ。
安全第一。
生きて帰るのが一番。

そのためには、ガイドはガイドとして使命をはたし、御客様は、自己責任の覚悟をもって己の命は、己で守る気概が必要だと思います。

話は、変わりますが、昔、船泊ユースホステルのファンでして、合計50泊はしていると思います。懐かしい単語がでたので、昔を思い出しました。懐かしいなあ。

Posted by マネージャー at 2009年08月28日 00:13
遅レスですみません。
22日から27日まで北海道に旅行いってました。
実況見分があったっていうのは,北海道のニュースでやってました。
26日はよく晴れていて,ファーム富田からトムラウシ山もきれいに見えていましたが,27日は山頂方面完全に雲に隠れていました。

帯広の小料理屋さんで,地元の元消防署員(60代 嘱託でまだ消防署に勤めてるらしい)の人に聞いたところ
「北海道をなめている」との意見でした。
8月に入ってからならともかく,7月中旬はまだ雪渓もいっぱいあって夏山といえる状態ではないと
北海道は内地と違って,雨が降り始めたらすぐにザーッと本降りになると
…おっちゃんも二三十年前に仲間内で今回の事故と逆コースでトムラウシ山に登ろうとしたことがあったけど
途中で雨がパラパラしだして,カッパを着ようとしたらもうびしょ濡れ
登るのあきらめてバス停のあるとこまで急いで
バスに乗り込んでバスの中で下着まで着替えて,温泉に入って引き上げたそうです。
下界は暑かったので,スイカ持って行ったくらいだったのに山は寒かったとのことです。

乗り換えの時間待ちで新得にも行ってみました。
新得そば おいしかったです。
Posted by bobcat at 2009年08月30日 15:34
bobcatさん
北海道の山は危険というのには、激しく同意します。危険な理由の一つは、真夏でも突然、寒波が襲ってくるからです。私は、2回体験しましたが、一夜で氷点下になったのに驚愕しました。あと、逆に熱波に襲われることもあります。羅臼岳が35度を超えて登れなくなったことがあったんですね。
Posted by マネージャー at 2009年08月31日 23:16
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