話しは変わりますが、去年、国会図書館で調査するために代々木ユースホステルに数泊したことがありましたが、そこで偶然にも日本文学を研究しているアメリカ人に出会いました。これが凄い人で、日本語ペラペラなうえに、スペイン語・フランス語・ドイツ語までできる天才でした。さらに日本の江戸時代の古文まで読める。さすがに古文書は無理でしたが、かなり難しい文章を読めるのです。しかも25歳くらいの若さで。こういう人を天才というのだろうと絶賛したのですが、彼女の答えは違っていました。
「マンガとアニメで日本語を勉強しました」
「はあ?」
御存じの通り一般的なアメリカ人は、外国語をしゃべりません。世界中で英語が通じると思っていますから外国語を勉強しないのです。しかし例外もいます。マンガを読みたいと思っているアメリカ人たちです。私は「どうして、そんなにマンガが読みたいの?」と聞きました。
「今まで、ああいう表現のものは無かったのよ」
「ああいう表現て?」
「アメリカにもコミックはあるのだけれど、筋肉モリモリのスーパーマンみたいなのが、悪と戦うストーリーばかりなの。子供なら、それも男の子なら熱中できるかもしれないけれど、歳をとると熱が冷めるのよ。でも日本の漫画は大人でも読める」
「なるほど」
「あと、少女マンガがアメリカにはないの」
「え?」
「アメリカのコミックは、みんな筋肉モリモリのマッチョだらけ」
「あはははは」
「で、女は、グラマーで水着スタイル」
「あはははは」
「男性社会を象徴しているような絵」
「・・・・」
「だから少女マンガのようなものはないの」
「なるほどねえ」
実は、もっと話をしたかったのですが、国会図書館でコピーした資料の整理があったので、ここで彼女と別れて個室に戻りました。私は、調査という仕事で東京に来ていたので、なるべく他人とは接触しないようにしていたのです。
ところが、翌日、国会図書館でバッタリ会ってしまった。向こうは、私と何か話したがっていたのですが、調査があると言って断り、代々木ユースホステルで再会を約束して別れました。で、夕方に代々木ユースホステルで、アニメの話などで盛り上がったのですが、国会図書館でコピーした資料の整理があったために、早々に切り上げるために、若い日本人学生を3人ほどつかまえ、私の代わりに相手させて、私は早々に自分の個室に撤退したのです。
そして翌日。
また国会図書館でバッタリ会ってしまった。
で、彼女は言いました。
「昨日は、どうして途中でいなくなったの?」
「ごめんごめん資料の整理があったから。あれからどうだった?」
「うーん」
「あれ? もりあがらなかったの?」
「うん」
「どうして?」
「だって、あの子たち、英語で話しかけてくるから」
「はあ?」
「私は日本語でマンガやアニメの話をしたいのよ」
「・・・・」
「マンガやアニメのおかげで私の世界は、とても大きく広がったんだから」
つづく
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