2010年11月06日

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)2

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)2




 「武士の家計簿」についての続き。

 この本には、武士の結婚についても書かれてあります。江戸時代における武士の離婚率は、非常に高かったわけですが、その理由は長い間わかりませんでした。

 ところが「武士の家計簿」を読むとわかってしまいます。彼らの経理には、「妻から借り入れ」と書かれてあるからです。つまり、妻と夫の財産は別物であったわけです。さらに、妻の実家から多くの援助があったことも「武士の家計簿」によって解明されました。武士の妻にとって、嫁ぎ先より実家の方が親密だったわけです。嫁ぐと言っても、完璧に嫁ぎ先のものになってなかった。逆に言うと、娘が嫁いだとしても、それで縁が切れるわけでないので、さまざまな援助が、後々まで必要になってくる。そのへんが猪山家の家計簿を調査する上でわかってしまった。

 面白いのが結婚です。

 嫁ぎ先は、将来の嫁(いいなづけ)に対して、ものすごく気をつかっています。何度も会食の設定をし、貧乏なのに豪華な土産をもたせています。で、結納を行い、藩の許可をもらって、さあ結婚かと思いきや、結婚おためし期間というものがありました。これは『江戸の親子(中公新書 太田素子)』にも明らかにされていますが、4ヶ月も同居させる例も珍しくなかった。猪山家の場合は、何度か、嫁が両家に行ったり来たりする状態が続き、本人たちに愛が生まれると、15日くらいお泊まりをし、そして実家に戻り、実家の親に
「嫁になりたい」
と言って、正式な結婚をするわけです。

 つまり、見合い結婚といっても、
 実質的な恋愛結婚なのですね。

 見合いは、親同士の面接。
 そのあとに「おためし期間」がある。
 この「おためし期間」は自由恋愛ゾーンであり、
 このへんが分からないと、
 昔の時代劇の考証が分からなくなる。

 で、結婚後、
「やっぱり駄目だ」
と思ったら簡単に実家に戻った。
妻は、結婚しても、完全に嫁ぎ先の人間になってなく、実家との結びつきが強かったのです。





http://www.bushikake.jp/


キャスト

猪山直之:堺雅人
猪山駒:仲間由紀恵
猪山成之:伊藤祐輝
猪山政:藤井美菜
猪山直吉→猪山成之:大八木凱斗
猪山常:松坂慶子(特別出演)
おばばさま:草笛光子
猪山信之:中村雅俊

西永与三八:西村雅彦
嶋田久作
宮川一朗太
小木茂光
茂山千五郎


スタッフ

監督:森田芳光
原作:磯田道史『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』(新潮新書)
脚本:柏田道夫
音楽:大島ミチル
撮影:沖村志宏
制作:エース・プロダクション


つづく。

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posted by マネージャー at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
武家の結婚は女性ばかりがつらい…という印象が強かったですが(一番つらいのは入り婿?)、思ってたよりもリベラルなんですね!

江戸の長屋暮らしの人々の結婚(ひっつきあい)の場合、圧倒的に女性優位と知った衝撃より、強いですね…!
時代劇が基本の知識は覆されますね。

私事ながら、
この書き込みしてる今、アロマ検定試験前日なんですが、矢も盾もたまらず、書店で本を購入してきてしまいました…!

とりあえず、アロマ検定試験が終わったら、早速読もうと思います!
Posted by みわぼー at 2010年11月06日 18:19
日本はメンズファーストなんですよ。
女性が強すぎたので。
レディーファーストの逆ですね。
これも江戸時代が平和すぎたためでしょうね。
平成時代と似ています。
Posted by マネージャー at 2010年11月07日 08:59
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