2011年03月15日

阪神大震災の震災マニュアル紹介8(平成7年に発行されたものです)

阪神大震災の震災マニュアル紹介8
(取扱い注意−これは平成7年に発行されたもので、現在では中身が古くなっています)


第9章・救援物資について

★救援物資は、どのくらいで届いたか?
 だいたい2日後には届いています。しかし、避難所によってはバラツキがあります。テレビ報道で有名になった長田区では、救援物資がジャンジャン届いたそうです。逆に神戸以外の都市の避難所には、物資が不足していました。マスコミの影響は、とても大きかったようです。
 私たちは、震災4日後に被災地に入りましたが、物資は溢れていました。物資が足りなかったのは、むしろ周辺都市の方でした。


★救援物資は被災者に届いたのか?
 地震発生直後は、水・食料・毛布が足りないと、マスコミ報道がなされました。そこで、水と食科が全国からどっと寄せられましたが、道路が大混乱したため、食料の輸送に手問取り、各避難所への振り分け作業に手間取り、その結果、パン、おにぎり、牛乳など賞味期限のある食料が次々と捨てられるといったケースがおきました。もし、これが真夏のできごとだったら食中毒の危険もあったでしょう。ですから食料は、保存性が高く加工のいらない乾パンなどがよいのですが被災者には喜ばることはなかったようです。


★御役人の横槍
 震災直後と震災4日後では、被災者が必要とする物が全く違います。しかし、阪神大震災では必要とされてない救援物資がドンドン送られてきたり、必要な救援物資がいつまでも送られてこなかったりしました。
 また、子供のいない避難所に紙おむつが届けられたり、老人のいない避難所に老人用衣類が届けられたりで、なかなかスムーズな配給が行われなかったようです。
 それでも震災初期の頃は、北区に送られてきた救援物資を長田区に回したり、ボランティアの活躍によって、避難所どうしが救援物資の交換をしたりして融通をきかせたりしました。しかし、何週間かたって落ちついてくると、御役所の縄張り争いが始まりました。
「北区の救援物資は、北区に送られてきたものだから、他の区には渡せません」
と言うのです。その結果、救援物資の足りない所と、救援物資の余っている所の格差がドンドン広がっていきました。

 震災直後は、役所の縄張りはなかった。しかし、震災が落ちついてくると御役人が、しゃしゃり出てきてアーでもないコーでもないと、馬鹿馬鹿しい理屈を言ってくる事を知っておいて下さい。
 あと御役人さんは、とても不思議な指示を出してきます。たとえば救援物資の配給で、「欲しいもの1品だけを配給します」と言ってきました。
 しかし、その1品は、パンツ50枚セットとか、歯磨き24本セットとかなのです。そう言うわけで歯磨きを持ってない被災者が、歯磨き24本セットを受け取るという間抜けな事態がおきてしまいます。歯磨きなんて一人1本あれば充分なのに・・・。
 こういう場合、どう対処すればよいと思いますか?
 御役人を怒鳴りつけたりした人もいたようですが、あまり効果はなかったようです。阪神大震災の被災者たちは、歯磨きとパンツを物々交換したり、被災者どうしが救援物資を回しあったりしていたようです。「御役所や御役人は役に立たない。だから自分たちでなんとかしよう」というのが被災者たちが学んだ事です。
 あとボランティアの活躍が目覚ましかった事も覚えておいて下さい。御役人のやる事が、あまりにも事務的なので、ボランティアは「どこに何が足りないか?」というところまで調査して、救援物資の流通を担っていたようです。


★流通機構の問題点
 今回の震災でコンビニエンス・ストアの弱点である在庫のなさが問題になりました。それに対して個人商店には、2〜3日分の在庫のストックがあり、震災で活躍したと聞きます。という事は、近所にコンビニしかない地域は、品不足になりやすいという事になりますね。個人商店は、御得意さんを大切にします。
 それから暴利商店の出現を抑えた最大の原因にスーパー『ダイエー』の活躍があります。震災で五百億円の赤字を出したダイエーですが、その大部分が輸送費でした。ダイエーのすごい所は、品物をヘリコプターで運んで、しかも価格を引き下げた事です。
 これでは五百億の赤字が出て当然です。それなのにダイエーの活躍がマスコミに載らないのは何故なんですかねえ?しかもダイエーは、政府よりも3時間も早く震災対策本部を設立し、「道路は渋滞するだろう」という判断のもとに、すぐにフェリーをチャーターしています。

つづく

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posted by マネージャー at 20:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 特設 被災者の疑問を調べます | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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