佐渡の北片辺のことを書いているうちに、懐かしくなってインターネットで北片辺を調べてみました。今は、どんな状況なのかと。で、写真をみつけました。

もう無残としか言いようがないです。
美しかった北片辺の風景は、もうありません。
海岸は、堤防とテトラポットにかわってしまっている。
まあ、仕方ないことなんでしょうね。
Googleマップでも調べてみましたが、昔あった道もなくなっている。かわりに巨大な橋と巨大なトンネルになっている。昔は、正面から車が来ると、どっちかがバックしなければならなかった。第一、島を一周する道路が無かった。だから交通手段は、バスというより船だったところが多かった。
1日1便の両津行きのバスが出ている。そういう場所も多かった。そのために佐渡は、昔の登山ガイドに載っていた。登山道が載っていたのではなく、島の海岸線のルートが載っていた。そのせいか自動車の通行できない僻地なのに旅館は多かった。しかも江戸時代から続いている老舗の旅館も多かった。戸数が三十くらいしかない集落に旅館が三軒ということも珍しくなかった。そういう意味では、僻地だった頃の佐渡島の方が、今より栄えていたのかもしれない。
前にも言いましたが、私は4歳になると、母親と別れ、父親と祖母のもとに引き取られます。佐渡の北片辺という土地から離れ、佐渡の泉というところに住むことになります。ここは、佐渡にしては都会だったので、北片辺のような風景は無かったのですが、やはり鍵はなく、いろんな人が家に出入りしていました。六畳と四畳半と土間の小さな借家だったのに、いろんな人が出入りしていた。
その中の一人に、とても仲がよかったおじさんがいましたが、病気になり死んでしまった。何でも731部隊の将校だったらしく、身元がバレるのを嫌がって、病気になっても病院に入院すること拒んだために病死してしまった。
まあ、そんなことは、どうでも良いのですが、私は父親と祖母によく怒られましたから、新しい環境になじめませんでした。そういう状況の中で、北片辺から老人たちが、よく遊びに来てくれました。
私は、北片辺の人たちに、よほど可愛がられたみたいです。親戚でもないのに、いろんな人たちが次々とやってきた。そして私の顔をみて帰っていった。そのうち北片辺の人たちは、当時、高価だった軽トラを買って、みんなで遊びに来ました。休みになると私を拉致するように北片辺に連れ帰ったりもしました。このように北片辺との交流がつつきました。
こういう子供時代をおくると、街中で老人を見ると無性に涙が出てくるようになる。祖母とは、口喧嘩が絶えないのに、見知らぬ老人に涙が出てくる。こういう条件反射が、二十歳くらいになるまで続きました。
一般的に可愛がられるという行為は、「甘え」の原因を作ると言われます。確かに原因にはなりますが、私は、決して悪いことだとは思いません。そういう記憶は、大人になって、ギリギリのところで人間を人情深くする。つまり人間を性善説にしてしまうと思うからです。
むしろ人に甘えることを知らないまま大人になった方が怖い気がします。「甘え」を知らない子供の方が、大人になってから凶暴になる可能性がある。かといって、無制限の甘えは、人間を駄目にする。ここが難しいところですね。
以前、9歳のお子さんと、お母さんが、スノーシュー体験をしに北軽井沢ブルーベリーYGHに泊まりに来ました。土井君がいないので、私がガイドをしました。最初は、真面目にガイドをしていたのですが、9歳の子が、あまりにも甘えん坊なので、途中で無茶苦茶あそんでしまった。雪をかけて埋めてしまったり、母親がみてないところでポカリと叩いたり、漫画見ながらラーメンを食べてると「行儀わるいな」と鼻をつまんだり。どんどん距離を縮めたら、ものすごく仲良くなってしまった。
で、草津ユースホステルにチェックインするために、お別れすることになったのですが、
「一緒に草津ユースホステルに行こう!」
と駄々をこねはじめた。
お母さんは大爆笑です。
9歳のお子さんは、
私が宿屋のオーナーであることを忘れてしまっていた。
そのくらいに仲良くなっていた。
けれど私は、単に甘やかしただけではない。マナー違反には何度もポカリと頭を叩いている。そのうえで一緒に笑い転げながら雪遊びしている。甘えるところは甘えさせている。これは、かって北片辺の老人たちが、私にしてくれたことを、9歳の子供さんにしただけなんですね。しかし、具体的に、どのように接したか、というのは言葉では説明しにくい。
こういうものは、世代を超えて体験で受け継ぐしか無い。
逆に言うと、体験で伝えられなければ、
終わってしまう。
つづく
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