2011年06月13日

刷り込み3

Akiさんへ

> ブルーベリーでは省電力化をはかって、
>LED電球を導入されたとうかがいましたが、
>やはり食堂には適用せずに白熱電球なのでしょうか?

 LED電球です。
 こいつです。



 5000円もします。
 これが7個ついてます。


>蛍光灯やLED電球にも「電球色」という色合いの物がありますが、
>やはりこれらは白熱電球とは異なりますか?


 多少ことなります。
 というか、そもそもメーカーによってLED電球の色が違います。
 東芝は、ちょっと赤っぽいし、パナソニックは白っぽい。
 各社で、性能(ルーメン)が違っているのも、
 そのへんがあるかもしれません。


> 蛍光灯はその名の通りですし、今の白色LEDも青色LEDに
>黄色の蛍光体をかぶせて白く見えるようにしているので、
>電球では広いスペクトルの光が出ているのに対して、
>三原色そろっていても限られた波長のピークを持つ光だけ出ているようです。


するどい御指摘ですね。
実は、そのためにLED電球に交換することによって思わぬ恩恵にあずかっています。
カメムシの数が減ったんですね。
これは森の中の宿屋としては、大きなメリットです。

カメムシは、電球の入っている照明器具の中を好むようで、春秋は、毎週のように虫駆除のために照明掃除をしていたんですよ。それが1年に3回くらいしか掃除しなくてよくなったんです。おそらくLED電球では紫外線をカットしているためだと思われます。


> 蛍光灯では料理が美味く見えないというのは良く聞きます。
>私自身は白熱電球よりは明るい蛍光灯の方が良いという育ちで
>刷り込まれてしまったせいかあまり感度をもたないのですが、
>美味く見えないという理由が、上記のようなスペクトルの狭さ
>からくるとすると、やはり差異があるのではないかと推察します。
>もしそうなら、いつかは白熱電球も入手できなくなるのかもしれず、
>貴重品になっていくのかな。

 蛍光灯では料理が美味く見えない理由は、私の知る限り2つあります。
 で、2つの理由は、根本的に異なる理由です。


1.色温度のため

 まず第一の理由は、色温度によって食欲が変化するからです。
 赤提灯はありますけれど、青提灯はないですよね。
 青提灯では客が入らないんです。
 ラーメン屋に青い店もないですね。

 しかし、黒い居酒屋はある。
 でも、これは罠です。
 黒い居酒屋は、夜になると真っ赤になる。
 赤い照明で真っ赤になる。
 赤で御客さんを呼び寄せるんです。
 この場合、店全体が赤い必要は無い。
 むしろ外は暗い方がいい。
 暗い中で、赤い光にライトアップされた暖簾がポイントなんです。
 あれに人々は、吸い込まれるように入っていく。
 人は、赤く明るいい方向に向かう習性があります。
 色は、無限のメッセージを発信しているんですよね。

 これは有名な実験なのですが、同じ店で、日替わりで青・黄・赤のテーブルクロスを交代で使って売り上げを調べた実験がありました。その結果、青は、赤に対して15パーセントの売り上げが減ってしまい、御客さんの声も静かだったんです。こっちは50パーセント減。

 この実験は、飲食店や宿主なら、みんな知っている常識です。秘密でも何でも無い。しかし、以前、日本ユースホステル協会のホステル委員会の人たちが来たときに、これを申し上げても全く理解してくれなかった。分からない人には、全く分からないんですね。生活がかかってないから。

 しかし、宿屋は違う。生活がかかっている。だから必死になっていろいろ試してるから、赤になると売り上げが変わることを体験で知っている。知っているけれど、理屈は分からない。理屈は分からないけれど、赤と黄色が御客さんの喜ぶことは、体験で知っている。蛍光灯では駄目なことは常識で知っている。

 しかしね、今は、インターネットというものがあります。
 なぜ青では駄目なのか? 
 なぜ蛍光灯では駄目なのか
 ということは、ネットで調べれば、いくらでもでてきます。
 よーするに、暖色系の色は交感神経を刺激させる力をもっているんですね。
 そして寒色系は、副交感神経を刺激させる。
 それだけのことなんです。

 自律神経は、正反対のはたらきをする2つの神経 から成り立っています。

1.交感神経・・・活動している時、ストレス・緊張している時に働く
2.副交感神経・・・休息・体の修復をしている時に働く

 昼間の活動での、疲労やダメージを受けた体を夜間の睡眠で休息させて、疲労やダメージを修復して、元気な状態に戻す。この二本立てで、健康を維持できるしくみとなっています。つまり、食堂では赤の光が、御客さんの活発な談笑をさそうわけですが、客室は、むしろ青の蛍光灯で副交感神経を刺激してリラックスさせることにより、「からだの修復」をしてもらう。

 昼間の活動によってたまった疲れや、体に受けたダメージを、副交感神経に切り替わった睡眠中に修復して、元気な状態に戻してもらうのです。だから北軽井沢ブルーベリーYGHの客室は、蛍光灯だったりします。そのほうが、腕白な子供さんが静かになってくれる。すぐ眠ってくれる。



2.影が必要。

 蛍光灯では料理が美味く見えない理由は、影ができないためです。
 私は昔、カメラをやっていたから分かるんですが、
 影がないと美人もブスになってしまう。
 料理も同じなんですね。

 テレビや映画で照明の名人・撮影の名人と言われた人は、みんな影を付ける天才なんです。コントラストをつける天才なんです。ここで、こなさんに美味しそうに見える料理の撮影の仕方を伝授します。斜め上から逆光ぎみに撮影することです。影を利用するんです。逆に一番不味そうに見える撮影の方法は、真上から撮影することです。真上から撮影した料理は、みんな不味そうにみえます。影がないからです。一度試してみてください。

 さて、料理を美味しそうに見せるコツですが、
 一番良いのは、スポットライトのレフ球で、斜め上から照射することです。
 そうです!
 スーパーや、築地や、アメ横なんかで
 サンプルに当てているスポットライトの方式です。

 デバ地下に行ってみてください。
 みんなスポットライトです。
 で、スーパーに行くと、蛍光灯。
 どっちにOLが群がっているか?
 どっちが美味しそうにに見えるか、試してみるといいです。


つづく

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ラベル:刷り込み3
posted by マネージャー at 16:25| Comment(3) | TrackBack(0) | テーマ別雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕の友人は焼き鳥の「大吉」を営んでいます。夜は赤い看板に真っ赤なちょうちんが煌々と光る「大吉」です。
大吉の店を出店する場所は本社の方針で、メインの通りではなくちょっと路地を入った暗い通りに出すことになっているそうです。

昔、吹雪の小樽の夕暮れ時、ひかり輝く「北一硝子」に吸い寄せられたこともありました。
Posted by わんたろう at 2011年06月13日 20:48
なるほど。
欠けた波長があるとマグロの色が映えないとかあるのかと思いましたがそこまで細かい話ではないのですね。色温度を変えたものはいろいろ作れるでしょうから白熱電球が無くなっても大丈夫そうですね。
カメムシ低減は予想外のメリットでしたね。
実感の裏付けある解説ありがとうございました。
Posted by Aki at 2011年06月13日 22:49
わんたろうさん

>メインの通りではなくちょっと路地を入った暗い通りに出すことになっているそうです。

これは、頭がいいですね。
暗いほど、赤がさえるんです。
屋台なんかは、それをねらっている。
居酒屋の壁が黒いのは、そのせいで、よくみると暖簾の所は赤いんですね。
ま、こういうことは宿屋なら常識の部類なんですが、
それが分からない友人がいました。
その友人の共通点が、居酒屋でバイトした人たちでした。




Akiさん

これからLED電球は、種類が増えていく気がします。
色温度を簡単に変えられるわけですから、
特殊用途のLED電球が発売されてもおかしくないですね。
ケーキを美味しくするLED電球とか、
魚を美味しく見せるLED電球とか。
Posted by マネージャー at 2011年06月14日 11:22
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