はっきり言おう!
面白くなかった。
監督も、シナリオライターも、何も理解してない。
時代考証も無茶苦茶だったけれど、
それより腹立たしいのは、原作を全く理解してないところ。
てか、原作、読んでないでしょ!
主人公である、金沢藩・猪山家(70石)の当主直之の小遣いは、年間にして銀19匁。
しかし、家来の草履取りの給金は、銀83匁と月々50文の小遣い。
この差を、なぜ映像にしない?
ここが一番面白い事実なのに、なぜシナリオにしなかった?
シナリオライターは、無能すぎるだろ!
草履取りは、この他に年3回の御祝儀をもらい、
外出するたびに15文の駄賃(チップ)をもらっていました。
外出は、2日に1回くらいありましたから、
そうとうの金額をもらっていたことになります。
しかも衣食住は保障されていました。
つまり、家来の草履取りの収入は、当主の10倍くらいあったわけです。
ここをどうして描かなかった?
私が、ライターなら、主人公は「草履とり」にします。
そして「踊る大捜査線」ふうに作りますよ!
武士達は、どうして草履取りより貧乏だったか?
そこに焦点をあてなきゃ、駄目でしょ!
どうして70石どりの武士の当主が、草履取りより貧乏だったか?
給料の大半を「身分費用」に使っていたのです。
自分の家来に小遣いをわたしたし、
来訪があれば、相手方の家来にも祝儀をわたしていました。
つまり、来客があれば、じゃんじゃん金が無くなっていく。
さらに辻番にも金品をわたしていた。
武士で御座いと威張る費用が必要だった。
また武士には、さまざまな行事があり、そのつど親戚一同が集まるしきたりになっている。
節分や、端午の節句や、袴入れの儀式、元服や、七五三。
これを怠るとどういうことになるかと言うと、武士でいられなくなる。
ここを、どうして描かなかったのだろう?
シナリオライターは、無能すぎる。
「江戸時代は、圧倒的な勝ち組を作らない社会であった。武士たちは、威張っていますが、家来草履取りの給料より少ない収入でいる。幕末の日本に百姓一揆が、大発生していますが、百姓たちは絶対に武士にとってかわって政権を奪おうとしなかった理由が、ここにあります」
どうして、ここをテーマにしなかった?
もし、どうしても主人公を武士側にもってきたかったなら、
江戸時代の武士たちが、トレーダーであった事実に、なぜ目をつけなかった?
猪山家の家禄は70石と切米50俵です。金沢藩の1俵は5斗なので、合計95石。このうち税収が42石。42石うち屋敷に運んだ米が8石。家来含めて8人家族だったので8石だけ、屋敷に運び、のこりの34石を銀に両替しています。この他に拝料金を8両もらっていました。つまり、金・銀で給料をもらっていたのですが、金銀では買い物が出来なかったのですね。銭に両替しなければならない。で、FXをやっていたわけです。あと、米の換金レートにも敏感に対応しなければ、損をするので、江戸時代の武士たちは、意外にことに、みんなトレーダーであったわけです。
このへんを焦点にあてて、どうして映画をつくらなかった?
つづく
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ラベル:武士の家計簿
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まぁ、映画の予告編を見る限り、「家族で一致団結して倹約をする、ファミリー映画」な空気が漂っていましたからね…。
ちょっと気になって調べたら、シナリオセンターの副所長をされている方が、この映画のシナリオを担当されていたんですね。
そんで、江戸の時代物の小説を書いていらっしゃる、時代小説家でもあるそうで。
結局、参考にしたのは、「一家で倹約して団結していくって、なんか現代の私たちの姿にも似ていて、親近感があるでしょ? でしょ?」みたいな部分のみ換骨奪胎したんでしょうね。
そういう無難な落としどころでしか、料理しかできない人物が、若手シナリオライターを育てている訳で、最近、骨のあるドラマや映画がなかなか観られないのは残念ですね。
まぁ、未見の私が言える話じゃないんでしょうけれど。
今度、見てみますね。