>そんで、江戸の時代物の小説を書いていらっしゃる、時代小説家でもあるそうで。
その人、時代劇の歴史を知ってるのかなあ。
そもそも時代劇というものは、踊る大捜査線みたいなものだったんです。
山手樹一郎さんが、それまでのチャンバラ劇に、新しい視点(町人の視点)を付け加えて、
桃太郎侍・遠山の金さんなんかを作った。
それまでは、サムライの視点しかなかった。
つまり、『太陽にほえろ』しかなかった。
これをチャンバラ劇と言ってたんですよ。
ところが、今で言う民間サラリーマンの視点の刑事を登場させて
チャンバラ劇の『踊る大捜査線』を作ったのが山手樹一郎さん。
遠山の金さんみたいに、町人に化けたサムライや、
身分を隠した将軍の弟なんかが町人に化けたりする作品を作った。
そして必ず脇役にオキャンな娘を登場させた。
主人公に、密かに恋するオキャンな娘。
(おきゃん=今で言うツンデレ)
なんのことはない、元祖ツンデレ娘を登場させたのも山手樹一郎さんでした。
桃太郎侍
又四郎行状記
江戸名物からす堂
遠山の金さん
どの作品にもオキャンな娘(元祖ツンデレ)がでてきます。
つまり今のアニメやライトノベルの基本構造は、
戦前から戦後にかけて山手樹一郎さんが全部書いている。
つまり、山手樹一郎さんは、
時代劇の『踊る大捜査線』を作ったひとであり
時代劇の『ライトノベル』を作ったひとでもあります。
当然のことながら、山手樹一郎さんは、あまり尊敬されなかった。
山手樹一郎さんの作品は、売れに売れまくったけれど、
みんな『山手樹一郎』を読んでることは隠していた。
吉川英治は、隠さなかったけれど、
山手樹一郎を読んでることは隠したものなんですよ。
山手樹一郎の本は、隠し持った。
そのくせ、池波庄太郎・藤沢周平・山本周五郎あたりは、誰も隠さなかった。
ライトノベルぽくないからです。
でも、売れまくったのは、山手樹一郎。
池波庄太郎・藤沢周平・山本周五郎が、束になっても敵わなかった。
しかし、この山手樹一郎の作品が、映画にしてもテレビにしても大ヒットして、戦後の時代劇の定番になったわけです。もし、山手樹一郎が、武士の家計簿で時代劇を書いたら、ぜったいに、あんな作品になってないです。もっとユーモアたっぷりな作品になっていたでしょうし、時代劇の『踊る大捜査線』を作っていたでしょう。で、結末は、オキャンな町娘のツンデレに困り果てて、尻に帆かけて逃げ出すラストシーンになっていたことでしょう。
そういう経緯を理解しないと
面白い時代劇は書けないと思いますね。
最近の時代劇が、ワンパターンで面白くないのは、
そういうところに原因があったりして。
つづく
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ラベル:武士の家計簿を見た感想+α
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ましてや、シナリオセンター講師として、シナリオのノウハウ本も出版されていらっしゃるようですけれどもね。
それでいて、失礼ながら、その方の代表作って、どうやら、この「武士の家計簿」くらいしか、タイトルを見ても存じ上げないんですよね。
私が浅学なだけかも知れないけれど。
山手樹一郎さんて、お名前はよく見かけていた記憶があって、池波さんのスクラップブックから集めたような未収録エッセイなんかでも見かけたことがあるお名前だったんですけれど、「桃太郎侍」や「遠山の金さん」を書いていらしたんですね。
「桃太郎侍」は、父が時代劇ファンなので、よくドラマを一緒に観ていました。
懐かしい…。
それにしても、ライトノベルって、いつの時代も立場が弱いものなんですね…。
私もジャンルは違うけれど、そもそも、活字の本を読むようになったのは、いわゆる、コバルト文庫シリーズからで、先年亡くなられた、氷室冴子さんの『なんて素敵にジャパネスク』という作品に出会ってからですから…。
ライトノベル出身で、実力派の書き手が出てきている訳ですから、あの世界の書き手をあなどってはいけないですよね。