こんなに、つまらなかった映画も珍しいと思いました。
宇宙戦艦ヤマトというより、仮面ライダーとか、見ている気分になりましたね。
というものの、特撮は素晴らしいし、
シナリオも、決して悪くはないし、
キャスト達もがんばっていたんですが、
全体として駄目だったですね。
足し算しているうちに、いつのまにかマイナスになってしまった感じ。
失敗の原因は、2つあります。
キャスティングのミスと、
原作の背景を無視したミスです。
木村拓哉は、がんばっていた。好演していたんですが、木村拓哉を主人公にしたところに、映画の失敗が約束されたようなものでしたね。木村拓哉を主人公にすれば、木村拓哉の映画になってしまう。しかし、宇宙戦艦ヤマトのファンは、木村拓哉を見に来たんじゃないですからね。ヤマトを見に来たんです。
こういう作品は、原作を改編しては駄目だし
主人公に大物を起用しては駄目なんですよ。
だいたい、木村拓哉のキャラは、古代進のキャラじゃないですからね。
古代進は、好戦的なキャラです。
しかし、古代進が好戦的なのには、理由がある。
ラストへの伏線に繋がっている。
宇宙戦艦ヤマトは、海のトリトンと同じラストが待っている。
(敵を必要以上に虐殺してしまう)
だから古代進は、好戦的である必要があった。
よーするに古代進の根本は猛将。決して切れ者ではない。
どっちかというと『勇ましいバカ』に近い。
それから気になったこととして、
設定が目茶苦茶なこと。何度
「えええええええええええええええええええ」
と叫んだことか。
階級も目茶苦茶なら、軍人としての作法がまるでなってない。
戦艦なのに、乗員が少なすぎる。
何から何までおかしなところだらけ。
私が認める「宇宙戦艦ヤマト」は、第1作だけです。
第1作の宇宙戦艦ヤマトと、他の宇宙戦艦ヤマトは別物です。
理由は、単純明快。
第1作の宇宙戦艦ヤマトだけが、
第二次大戦の戦史をなぞっているからです。
例えば、冥王星での反射衛星砲のシーンは、フィリピンのバータン半島攻撃戦をなぞっています。バータン半島の米軍は、あちこちに聴音機を設置し、日本軍の進入を察知すると、どこからともなく砲弾が飛んでくる。あまりに正確な砲撃で日本軍は、身動きできなかったのです。
で、古代進が、冥王星の反射衛星砲を破壊するシーンは、あきらかに映画『ナバロンの要塞』へのオマージュです。私は子供の頃、このシーンにワクワクしてみていました。
ドメル艦隊との戦いなんか、まさに逆ミッドウエイ海戦です。
ガミラス艦隊の空母4隻が全滅するシーンは、まさに逆ミッドウエイ。
だいたいドメル将軍からして、ロンメル将軍のもじりでしょ!
といっても、戦い方は、ミッドウエイ海戦の
空母飛龍の艦長の山口多聞にそっくりです。
コスモゼロは、零戦をなぞってるし、
ブラックタイガーは、フライングタイガーをなぞってる。
波動砲は、46p砲をなぞってる。
あと、初代宇宙戦艦ヤマトの凄いところは、
戦闘シーンが、あまりないところ。
神経戦やプロパガンダをおこなったり、
機雷戦を行ったり、
星と星で挟み撃ちにしたりなど、
敵が巧みなトラップ(罠)をしかけているところです。
つまり、宇宙戦艦ヤマトでの戦いは、高度な頭脳戦がメインなんですよ。
艦隊決戦は、たったの2回しかなかった。
ほとんどが頭脳戦だった。
なのに実写版の宇宙戦艦ヤマトときたら、
安っぽいドラマと、安っぽい戦闘シーン。
いったい、どこに高度な頭脳戦があるのか?
いったい、どこに第二次大戦の戦史をなぞっている場面があるのか?
何も無い。
もっと言うと、松本霊士くささが無い。
西崎くささがない。
安っぽい、お涙ちょうだいになっている。
だから、私の個人的な趣味で言うと、このヤマトは全く面白くなかったです。
スタートレックとは言わない。
せめて、スターウォーズレベルだったらなあ。
つづく
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